おど)” の例文
如何だ、仕方のないやさしさなんだらう、フツ。嘘つき、罰かも知れないよ、こんな悴が居るのも。……一寸、一本おどかしてやらうかな。
鏡地獄 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
何かにおどされたやうな気がしたのである。「女房は俺の不甲斐なさを切りに嘆いてゐる。あいつは此頃になつて漸く俺と結婚したことをほんとうに後悔し始めたらしい。」
素書 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
野郎はあの犬をけしかけて借金とりをおどしたり、自分が小作人いぢめに赴く時の供に使つてゐるさうだが、あいつを一番擲り殺して、ヤグラ岳で狼を退治した、野良を荒し
武者窓日記 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
もう少したつと喜三公の奴があんたが、此処に寝てゐることも知らないで、忍び足で覗きに来るから、シンとしてゐて来たらいきなり二人でワツとおどかしてやらうぢやないか
小川の流れ (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
おどすやうな口調で云はないで呉れよ。」と滝は、怯えたらしい眼眸まなざしでチラリと余の顔色を窺つて、静かにわけもなく、妥協するやうに呟いた。「それもさうだね、仕事に没頭すると……」
西瓜喰ふ人 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
「あゝ残念だつた。おどし損つてしまつた。」
南風譜 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)
おどした。
鬼の門 (新字旧仮名) / 牧野信一(著)