つゝし)” の例文
旧字:
そんならくが好い。丁度ステーションのそばに何軒か普請中ふしんちゆううちも有るから、煉瓦でも運んで居りや、かつゑもしまい。たゞ酒だけはつゝしむんだぞ。
椋のミハイロ (新字旧仮名) / ボレスワフ・プルス(著)
道楽もなるたけつゝしんでゐます。余裕がないからです。ともかく、僕は家内以外の女を愛してゐないことを明言します。
クロニック・モノロゲ (新字旧仮名) / 岸田国士(著)
市長ボデスタは客を招き筵を張ることありや。ポツジヨ。稀にそのことなきにあらず。されど招請せうせいつゝしむこといとおごそかなり。
お上の御用を勤める者には、それだけのつゝしみが肝腎かんじんだ、——これを持つて行つて、番頭か若主人にさう言つて、帳面から手前てめえの名前だけ消して貰ふが宜い。
かゝる人はむねあきらかなるかゞみありて、善悪ぜんあくを照してよきあしきをりて其ひとりつゝしむ、これ明徳めいとくかゞみといふ。
つゝしまんぢや困まるぞ、此頃はしきりと新春野屋の花吉に熱中しをると云ふぢやないか
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
さうかと言つて、黙つて何も言ひかけずにつゝしんでゐると、女の方では心配でたまらないと云ふやうな顔をして、機嫌を取らうとすることもある。桑田はいよ/\居辛ゐづらくてたまらなくなつた。
人妻 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
中途で退出したことを聞召きこしめされて大いに御気色みけしきを損ぜられたので、浄蔵は深く勅勘ちょっかんの身をつゝしみ、三箇年の間横川よかわ首楞厳院しゅりょうごんいん籠居ろうきょして修練苦行の日を送ったと云うが、世間一般の人々は
少将滋幹の母 (新字新仮名) / 谷崎潤一郎(著)
彼女は、熱にでも浮されたやうに、平生のつゝしみも忘れて云つた。
真珠夫人 (新字旧仮名) / 菊池寛(著)
母「次の間へいってつゝしんで居れ」
業平文治漂流奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
神の御ばつ夫婦ふうふえんとなりしも奇遇きぐうといふべし。こは我がをさなかりし時の事也き、筆のついでにしるして御機屋おはたや霊威れいゐある事をわかふどにしらしむ。あなかしこ。おそるべし、つゝしむべし。
かならず一日あるひは一昼夜いつちうやをかぎりとして三十四里のこほりみなくだけながれて北海にいづる、そのひゞき千らいのごとく、山もふるふばかり也。此日川にちかき村々はつゝしほかにいづる事なし。