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支
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ささ
ふりがな文庫
“
支
(
ささ
)” の例文
官吏は元来心に染まぬが今の場合
聊
(
いささ
)
かなりとも俸銭を得て一家を
支
(
ささ
)
える事が出来るなら幸いであると古川に頼んで、さてそのあとで
二葉亭四迷の一生
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
一人は細い
杖
(
つえ
)
に
言訳
(
いいわけ
)
ほどに身をもたせて、
護謨
(
ゴム
)
びき靴の右の
爪先
(
つまさき
)
を、
竪
(
たて
)
に地に突いて、左足一本で細長いからだの中心を
支
(
ささ
)
えている。
野分
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
主人筑前守には、この鳥取城のお守りを、よくこれまでお
支
(
ささ
)
えなされたと、口を極めて、われら部下の者にも、嘆賞しておられます。
新書太閤記:06 第六分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
円天井はわたしの肩の上へひら押しに落ちかかって来て、わたしの頭だけでこの円天井のすべての重みを
支
(
ささ
)
えているようでありました。
世界怪談名作集:05 クラリモンド
(新字新仮名)
/
テオフィル・ゴーチェ
(著)
垂木
(
たるき
)
は、
年寄
(
としよ
)
りの
重
(
おも
)
みさえ
支
(
ささ
)
えかねたとみえて、メリメリという
音
(
おと
)
とともに、
伯父
(
おじ
)
さんの
体
(
からだ
)
は
地上
(
ちじょう
)
へ
真
(
ま
)
っさかさまに
墜落
(
ついらく
)
したのでした。
僕はこれからだ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
▼ もっと見る
中世後半の
唐南蛮
(
からなんばん
)
の通商は、言わば沖縄島内における宝貝の頸飾りの禁止によって、その花やかさを
支
(
ささ
)
えていたもののように思われる。
海上の道
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
私が通っていた学校は貧乏で、町や郡からの補助費にも限りがあったから、
随
(
したが
)
って受ける俸給も少く、家を
支
(
ささ
)
えるに骨が折れた。
芽生
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ただ一つ、丁度静子の居間の上の、梁から天井をつるした
支
(
ささ
)
え木の根元の、一寸目につかぬ場所に、小さな
鼠色
(
ねずみいろ
)
の丸いものが落ちていた。
陰獣
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
かかる
艱苦
(
かんく
)
の
旅路
(
たびじ
)
の
裡
(
うち
)
にありて、
姫
(
ひめ
)
の
心
(
こころ
)
を
支
(
ささ
)
うる
何
(
なに
)
よりの
誇
(
ほこ
)
りは、
御自分
(
ごじぶん
)
一人
(
ひとり
)
がいつも
命
(
みこと
)
のお
伴
(
とも
)
と
決
(
きま
)
って
居
(
い
)
ることのようでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
終日
孜々汲々
(
ししきゅうきゅう
)
としていてようやく一家を
支
(
ささ
)
えて行く位の有様であるから、誰も進んで木彫りをやろうというものがありません。
幕末維新懐古談:76 門人を置いたことについて
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
折から
一天
(
いってん
)
俄
(
にわか
)
に
掻曇
(
かきくも
)
りて、
颷
(
ど
)
と吹下す風は海原を
揉立
(
もみた
)
つれば、船は
一支
(
ひとささえ
)
も
支
(
ささ
)
えず矢を射るばかりに突進して、
無二無三
(
むにむさん
)
に沖合へ流されたり。
取舵
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
わしは自分を
支
(
ささ
)
えることができない。支えるものが一つもない。わしの
魂
(
たましい
)
が
亡
(
ほろ
)
んでゆくのをはっきりした意識で見ているのは
堪
(
た
)
えられない。
俊寛
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
ルオーの描いた
基督
(
キリスト
)
のように、真面目過ぎるが故に、かすかに
剽軽
(
ひょうきん
)
にさえ見える葛岡の顔が
顰
(
しか
)
められかけて、それを張り
支
(
ささ
)
えるものがあって
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
シャトー・アルヌーへ至るデューランス
河
(
がわ
)
の橋さえもほとんど牛車を
支
(
ささ
)
うること
能
(
あた
)
わじ。彼ら牧師輩は皆かくのごとく、
貪慾
(
どんよく
)
飽くなきの徒なり。
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
弦三は、地響きのために、いまにも振り落されそうになる吾が身を、電柱の上に、しっかり
支
(
ささ
)
えている
裡
(
うち
)
に、やっと
正気
(
しょうき
)
に還ったようであった。
空襲葬送曲
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
三十尺の支柱に
支
(
ささ
)
えられる円形の塔にこもっていることなどをこと新らしく書きだして、大いに世人の好奇心を
煽
(
あお
)
った。
蜘蛛
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
鑑哲は
木乃伊
(
ミイラ
)
のような身体を起して、薄黒い顔でふり仰ぎました。杖にした青竹を力に上半身を
支
(
ささ
)
えるのが精一杯です。
銭形平次捕物控:174 髷切り
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
細い
脛
(
すね
)
に黒いゲートルを
捲
(
ま
)
き、ひょろひょろの胴と細長い面は、何か危かしい印象をあたえるのだが、それを
支
(
ささ
)
えようとする
気魄
(
きはく
)
も備わっていた。
壊滅の序曲
(新字新仮名)
/
原民喜
(著)
片手で躯を
支
(
ささ
)
え、片手で口のまわりを拭きながら云った、「おまえさんあたしを殺すつもりだね、それで吾平のことが気になるんだろ、そうだろう」
醜聞
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
或は代価も置かずして俵を奪ひ去るもあれど多人数なる故
米商客
(
こめあきうど
)
も之を
支
(
ささ
)
ゆる事を得ず、
斯
(
かく
)
の如くに横行して大阪中の搗米屋へ至らぬ
隈
(
くま
)
もなかりしが
大菩薩峠:16 道庵と鯔八の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
徳兵衛は皆から宙に
支
(
ささ
)
えられながら、今までのことをぼんやり思い出してみました。そして、まったく本当に狐に化かされたのじゃないかと思いました。
ひでり狐
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
ぱッと土を蹴って、片手
支
(
ささ
)
えに、五尺の
築地塀
(
ついじべい
)
上
(
うえ
)
におどり上がりながら、ふと、足元の門奥に目をおとしたとき!
旗本退屈男:03 第三話 後の旗本退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
彼は寝ころんでいる兄の腕を掴んで、力任せに引摺り起そうとするので、膝をかしているお花は見兼ねて
支
(
ささ
)
えた。
鳥辺山心中
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
それに、何よりもおどろくべきことには、その巨人は彼の大きな手をさし上げて、空を
支
(
ささ
)
えているらしいのです。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
この現象は、いろいろな意味にとられるが、根本的には、純小説をしつかり
支
(
ささ
)
へてゐた個人主義、ないしは個人性が、それだけ
崩
(
くづ
)
れてきたのだとみられる。
百万人のそして唯一人の文学
(新字旧仮名)
/
青野季吉
(著)
この日、
下島
(
しもじま
)
先生の夫人、
単身
(
たんしん
)
大震中の薬局に入り、薬剤の棚の倒れんとするを
支
(
ささ
)
ふ。為めに出火の
患
(
うれひ
)
なきを得たり。
胆勇
(
たんゆう
)
、僕などの及ぶところにあらず。
大正十二年九月一日の大震に際して
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
それの安定を保つためには、微妙な数理によって組み建てられた、支柱の一つ一つが必要であり、それの対比と均斉とで、
辛
(
かろ
)
うじて
支
(
ささ
)
えているのであった。
猫町:散文詩風な小説
(新字新仮名)
/
萩原朔太郎
(著)
餓鬼のように衰弱している上に、長い時間、せまい穴の中で腹ばいになって岩をこづいていた疲れのため、からだを
支
(
ささ
)
えていられないくらいになっている。
胎内
(新字新仮名)
/
三好十郎
(著)
医者が今日日の暮までがどうもと小首をひねった危篤の新造は、注射の薬力に辛くも
一縷
(
いちる
)
の死命を
支
(
ささ
)
えている。
深川女房
(新字新仮名)
/
小栗風葉
(著)
壁ぎわであったので
支
(
ささ
)
えることが出来た。それに何よりもよかったのは
夕暗
(
ゆうやみ
)
が
室
(
へや
)
のなかにはびこっていたので、誰にも私の顔の色の動いたのは知れなかった。
松井須磨子
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
十五メートルもあろうかと思われる、途方もなく大きな鉄の
梁
(
はり
)
が、起重機から、わずかに一本の鎖で危く斜に
支
(
ささ
)
えられて、ふらりふらりとさがっているのだ。
秋空晴れて
(新字新仮名)
/
吉田甲子太郎
(著)
山の
斜面
(
しやめん
)
に露宿を
取
(
と
)
りしことなれば
少
(
すこ
)
しも
平坦
(
へいたん
)
の地を得す、為めに
横臥
(
わうぐわ
)
する能はず、或は蹲踞するあり或は
樹
(
き
)
に
凭
(
よ
)
るあり、或は樹株に
足
(
あし
)
を
支
(
ささ
)
へて
臥
(
ふ
)
するあり
利根水源探検紀行
(新字旧仮名)
/
渡辺千吉郎
(著)
かれは長ながといすの上に横になって、下あごを左の手に
支
(
ささ
)
えて、そのひじを曲げたひざの上にのせていた。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
英雄は人類の中心点である、そうだ、中心点だ、車の
軸
(
じく
)
だ、国家を支える大黒柱だ、ギリシャの神話にアトラス山は天が
墜
(
お
)
ちるのを
支
(
ささ
)
えている山としてある。
ああ玉杯に花うけて
(新字新仮名)
/
佐藤紅緑
(著)
この試験によると、蛙の筋肉はおのれの重量に何十倍(何百倍?)の重さをみごとに
支
(
ささ
)
えたので、学生が大いに
拍手喝采
(
はくしゅかっさい
)
して、なおいっそう僕の印象を深めた。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「
可
(
い
)
けないと言うに!」と自分は
少女
(
むすめ
)
を突飛ばすと、
少女
(
むすめ
)
は仰向けに倒れかかったので、自分は思わずアッと叫けんでこれを
支
(
ささ
)
えようとした時、
覚
(
さむ
)
れば夢であって
酒中日記
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
そして底へ沈み込みながらも、左右に腕を動かして取りすがるべき
支
(
ささ
)
えを捜し求めた。彼はそれを見出したと思った。オリヴィエの子供のことを思い出したのだった。
ジャン・クリストフ:11 第九巻 燃ゆる荊
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
が、速度のついた列車が、機関車のブレーキ一つで
支
(
ささ
)
え
切
(
き
)
れないとすると、
脱線
(
だっせん
)
か
転覆
(
てんぷく
)
……か。わずか二、三
両
(
りょう
)
ではあるが、
混合列車
(
こんごうれっしゃ
)
のことなので客車も
連結
(
れんけつ
)
されている。
くまと車掌
(新字新仮名)
/
木内高音
(著)
これはちょうど陶酔や麻痺から、我に返った時のような心境である。われわれの神経からは、今までそれがもたれていた
支
(
ささ
)
え、つまり、リズムが、突然取り去られてしまう。
衣裳戸棚
(新字新仮名)
/
パウル・トーマス・マン
(著)
それにわか姉さんは、下に立って
竹棒
(
たけぼう
)
を
支
(
ささ
)
える
芸
(
げい
)
をしているのだから、もし
彼
(
かれ
)
がおっこちるようなことがあったら、下からうまく
救
(
すく
)
ってやろうと、心の中で考えたのでした。
曲馬団の「トッテンカン」
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
それを
支
(
ささ
)
える
度
(
たく
)
が正しいと云って、小太郎をわざわざ私の処へ訂正によこさなくってもいいじゃありませんか。それじゃ、私だっていい加減不愉快になるじゃありませんか。
貞操問答
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
アラムハラドは長い白い
着物
(
きもの
)
を着て学者のしるしの
垂
(
た
)
れ
布
(
ぬの
)
のついた
帽子
(
ぼうし
)
をかぶり
低
(
ひく
)
い
椅子
(
いす
)
に
腰掛
(
こしか
)
け右手には長い
鞭
(
むち
)
をもち左手には本を
支
(
ささ
)
えながらゆっくりと教えて行くのでした。
学者アラムハラドの見た着物
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
重
(
おも
)
い
背嚢
(
はいなう
)
に
締
(
し
)
め
著
(
つ
)
けられる
肩
(
かた
)
、
銃
(
じう
)
を
支
(
ささ
)
へた
右手
(
みぎて
)
の
指
(
ゆび
)
、
足
(
あし
)
の
踵
(
かかと
)
——その
處處
(
ところどころ
)
にヅキヅキするやうな
痛
(
いた
)
みを
感
(
かん
)
じながら、それを
自分
(
じぶん
)
の
體
(
からだ
)
の
痛
(
いた
)
みとはつきり
意識
(
いしき
)
する
力
(
ちから
)
さへもなかつた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
それに引替へ兄はまた
数次
(
しばしば
)
弟に財を与へしより貧しくなりて自ら
支
(
ささ
)
へがたきに及び、かつて与へしこともあれば今は弟に
少時
(
しばし
)
のところを助けてもらはむと、弟のところに
到
(
いた
)
りて
印度の古話
(新字旧仮名)
/
幸田露伴
(著)
今まで彼の幸福を
支
(
ささ
)
えて来た彼自身の恵まれた英気は、
俄然
(
がぜん
)
として虚栄心に変って来た。
ナポレオンと田虫
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
黒眼鏡をかけた毛だらけの
裸男
(
はだかおとこ
)
が、
硝子鉢
(
がらすばち
)
を冠って、直立不動の姿勢をとったところは、新式の
河童
(
かっぱ
)
だ。不図思いついて、彼は頭上の硝子盂を上向けにし、両手で
支
(
ささ
)
えて立った。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
さもこの十四、五貫の重量は私が
支
(
ささ
)
えているのだといった表情をしているのが情ない。
楢重雑筆
(新字新仮名)
/
小出楢重
(著)
これを例するに日本の女の物思ふ時片手の上に
首
(
うなじ
)
を
支
(
ささ
)
へ物
聴
(
き
)
かんとする時
跪
(
ひざま
)
づきたる
腿
(
もも
)
の上に両手を置きやや
斜
(
ななめ
)
に首を傾けて物いふさまその
消行
(
きえゆ
)
くが如き
面影
(
おもかげ
)
のいかに
風情
(
ふぜい
)
深きや。
江戸芸術論
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
白耳義
(
ベルギー
)
のマルビキユーリ、
銷麗
(
せうれい
)
の文才を抱いて
然
(
しか
)
も一家の生計を
支
(
ささ
)
ふる
能
(
あた
)
はず、ひとり片田舎に隠れて其驚異すべき処女作小説を脱稿するや、之を都に残せるその妻に送らむがために
閑天地
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
既にその徳川氏の
支
(
ささ
)
うべからざるを識りたるに拘らず、なお
拮据
(
きっきょ
)
経営、あるいは陸軍を整頓し、あるいは製鉄所、造船所を設け、あるいはまた国債を募り、これを以て一挙諸強藩を平げ
吉田松陰
(新字新仮名)
/
徳富蘇峰
(著)
支
常用漢字
小5
部首:⽀
4画
“支”を含む語句
支那人
支那
支障
支柱
突支棒
支流
差支
支配人
一支
支棒
支度
御差支
気支
突支
切支丹宗
支出
支那海
支那街
切支丹
干支
...