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御自分
ふいと
立つて、「
一所に
來な。」で、
通へ
出て、
右の
濱野屋で、
御自分、めい/\に
似合ふやうにお
見立て
下すつたものであつた。
私が
事と
言へば
御自分の
身を
無い
物にして
言葉を
立てさせて
下さる
御思召有難い
嬉しい
恐ろしい、
餘りの
勿躰なさに
涙がこぼれる
かかる
艱苦の
旅路の
裡にありて、
姫の
心を
支うる
何よりの
誇りは、
御自分一人がいつも
命のお
伴と
決って
居ることのようでした。