御自分ごじぶん)” の例文
ふいとつて、「一所いつしよな。」で、とほりて、みぎ濱野屋はまのやで、御自分ごじぶん、めい/\に似合にあふやうにお見立みたくだすつたものであつた。
春着 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
わたしことへば御自分ごじぶんものにして言葉ことばてさせてくださる御思召おぼしめし有難ありがたうれしいおそろしい、あまりの勿躰もつたいなさになみだがこぼれる
うらむらさき (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
かかる艱苦かんく旅路たびじうちにありて、ひめこころささうるなによりのほこりは、御自分ごじぶん一人ひとりがいつもみことのおともきまってることのようでした。
その脊中せなか模樣もやう一組ひとくみ其他そのたのものとおなじことであつて、女王樣ぢよわうさまにはれが、園丁えんていか、兵士へいしか、朝臣てうしんか、また御自分ごじぶんのお子供衆こどもしゆうのお三方さんかたであつたかを
愛ちやんの夢物語 (旧字旧仮名) / ルイス・キャロル(著)
『あゝ貴方あなたこゝれられましたのですか。』とかれしはがれたこゑ片眼かためほそくしてふた。『いや結構けつこう散々さん/″\ひとうしてつたから、此度こんど御自分ごじぶんはれるばんだ、結構々々けつこう/\。』
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
玄竹げんちくさまは、わたくしがおのことをおしとつて、ひをしとなまるのをおわらひになりますが、御自分ごじぶんは、しをひとちがへて、失禮しつれいをひつれい、質屋しちやをひちおつしやいます。ほゝゝゝゝゝ。
死刑 (旧字旧仮名) / 上司小剣(著)
早速さつそくわう御自分ごじぶんの作つた詩を見せたいと思召おぼしめしたから、王
詩好の王様と棒縛の旅人 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
偶然ぐうぜんにもふね惡魔あくま御自分ごじぶんたゝつたものであらうか。
同道にて忠兵衞のたくに到り私しは赤坂表町家主長助と申す者なりと初對面しよたいめんの挨拶もすみさて段々だん/\と此お光よりうけたまはりしに御自分ごじぶん事八ヶ年以前八月廿八日未明みめいに平川天神御參詣の折節をりふし麹町三丁目町醫師まちいし村井長庵におあひなされしとの事道十郎殿むじつの罪におちいりしも長庵は其あさ不快ふくわいにてふせり居り弟の見送みおくりにさへ出る事あた
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
指導役しどうやくのおじいさんはそんな御愛想おあいそういながら、おし少女しょうじょみずをすすめ、また御自分ごじぶんでも、さもうまそうに二三ばいんでくださいました。
御自分ごじぶんはかくしたまへども、他所行着よそゆきぎのおたもよりぬひとりべりの手巾はんけちつけしたるときくさ、散々さん/″\といぢめていぢめて、いぢいて、れからはけつしてかぬ
われから (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
『ああ貴方あなたもここへれられましたのですか。』とかれしわがれたこえ片眼かためほそくしてうた。『いや結構けっこう散々さんざんひとをこうしてったから、こんどは御自分ごじぶんわれるばんだ、結構々々けっこうけっこう。』
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
ばあさん、また豆府とうふか。そいつをはせるとちまふぞ。」で、かねてこのみの長船をさふねさやはらつて、階子段はしごだんうへ踏鳴ふみならしたと……御自分ごじぶんではなさらなかつたが、當時たうじのおともだちもよくはなすし
湯どうふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
つまり自然界しぜんかい仕事しごと幾段いくだんにもおくがあり、いかにかかりの竜神りゅうじんさんでも、御自分ごじぶんちからのみで勝手かってあめらしたり、かぜおこしたりはできないようでございます。
御自分ごじぶんくちからてゆけとはおつしやりませぬけれどわたし此樣このやう意久地いくぢなしで太郎たらう可愛かわゆさにかれ、うでも御詞おことば異背いはいせず唯々はい/\小言こごといてりますれば、はり意氣地いきぢもないうたらのやつ
十三夜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)