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篠
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しの
ふりがな文庫
“
篠
(
しの
)” の例文
一杯飲んでいる内には、
木賊
(
とくさ
)
刈るという歌のまま、
研
(
みが
)
かれ
出
(
い
)
づる秋の
夜
(
よ
)
の月となるであろうと、その気で
篠
(
しの
)
ノ井で汽車を乗替えた。
唄立山心中一曲
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
なぜなら、らんまんたる桜の咲きさかる春のような、または
篠
(
しの
)
つく豪雨のカラリと晴れた、夏のような
風情
(
ふぜい
)
は彼女にはそぐわなかった。
旧聞日本橋:13 お墓のすげかえ
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
篠
(
しの
)
つく雨の中を、消防組の連中が
刺子
(
さしこ
)
を頭からスポリと被ってバラバラと駈けだしてゆくのが、真青な電光のうちにアリアリと見えた。
雷
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
と思う間もなく園の周囲には
霰
(
あられ
)
が
篠
(
しの
)
つくように降りそそいだ。それがまた見る間に遠ざかっていって、かすかな音ばかりになった。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
ひとりうなずいた甲賀世阿弥は、ふすまに使っている鹿の毛皮をとりだし、また、
瘤山
(
こぶやま
)
の
窪
(
くぼ
)
みへ下りて、手ごろな
篠
(
しの
)
を切ってきた。
鳴門秘帖:03 木曾の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
▼ もっと見る
最後は
薬研堀
(
やげんぼり
)
の不動、植木市というほど盆栽の陳列、初春の床飾り、松竹梅に福寿草、当時は
篠
(
しの
)
づくりの梅が流行で飛ぶように売れた。
明治世相百話
(新字新仮名)
/
山本笑月
(著)
陳者
(
のぶれば
)
、今年三月七日、当村百姓与作後家
篠
(
しの
)
と申す者、
私宅
(
わたくしたく
)
へ参り、同人娘
里
(
さと
)
(当年九歳)大病に付き、検脈致し呉れ候様、懇々頼入り候。
尾形了斎覚え書
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
女房のお
篠
(
しの
)
と、老番頭の佐助と、殺された梅吉と、幾太郎の妹のお栄と、幾太郎の
許嫁
(
いいなずけ
)
のお桃と、下女のお仲だけと判りました。
銭形平次捕物控:107 梅吉殺し
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と駒に打ち乗り、濁流めがけて飛び込もうとするので式部もここは必死、
篠
(
しの
)
つく雨の中を
蓑
(
みの
)
も
笠
(
かさ
)
もほうり投げて若殿の駒の
轡
(
くつわ
)
に取り
縋
(
すが
)
り
新釈諸国噺
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
勘次
(
かんじ
)
の
村落
(
むら
)
は
臺地
(
だいち
)
であるのと
鬼怒川
(
きぬがは
)
の
土手
(
どて
)
が
篠
(
しの
)
の
密生
(
みつせい
)
した
根
(
ね
)
の
力
(
ちから
)
を
以
(
もつ
)
て
僅
(
わづか
)
ながら
崩壤
(
ほうくわい
)
する
土
(
つち
)
を
引
(
ひ
)
き
止
(
と
)
めたので
損害
(
そんがい
)
が
輕
(
かる
)
く
濟
(
す
)
んだ。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
夜の明け放れる頃には夜来の嵐は
篠
(
しの
)
つくような
驟雨
(
しゅうう
)
を名残として鳴りをひそめ、ケロリとしたようにすがすがしい朝が一ぱいに訪れていた。
作男・ゴーの名誉
(新字新仮名)
/
ギルバート・キース・チェスタートン
(著)
得意の小ツルは、れいのとおり
篠
(
しの
)
で切ったような細い目を見はり、見はってもいっこうひろがらない目でみんなを見まわし
二十四の瞳
(新字新仮名)
/
壺井栄
(著)
女軽業の連中を引っ担いで来た折助どもは、闇に
紛
(
まぎ
)
れて荒川の土手、
葭
(
よし
)
や
篠
(
しの
)
の生えたところまで来てしまいました。
大菩薩峠:09 女子と小人の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
「ははあ
本郷真砂町
(
ほんごうまさごちょう
)
か。うむこの辺に大金持ち、
滝山
(
たきやま
)
源兵衛がいた筈だ。その総領のお
篠
(
しの
)
という娘、ちょいと踏める顔だったよ。よしそれでは例の奴……」
剣侠受難
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
いの一番に傘を奪られた勘弁勘次、続いて何か叫んだが、咆える風、
篠
(
しの
)
突く雨、雲低く轟き渡る雷に消されて、二、三間先を往く藤吉にさえ聞き取れない。が
釘抜藤吉捕物覚書:08 無明の夜
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
此の二人
忽
(
たちま
)
ち
躍
(
をど
)
りたちて、滝に飛び入ると見しが、水は
大虚
(
おほぞら
)
に
湧
(
わ
)
きあがりて見えずなるほどに、雲
摺
(
す
)
る
墨
(
すみ
)
をうちこぼしたる如く、雨
二七六
篠
(
しの
)
を乱してふり来る。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
雨雲
天
(
そら
)
をおおいしと見る程もなく、山風ざわざわと吹き下し来て草も木も鳴るとひとしく、雨ばらばらと落つるやがて車の幌もかけあえぬまに
篠
(
しの
)
つく如くふり出しぬ。
知々夫紀行
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
篠
(
しの
)
つく雨の烈しさで、数十本、数百本の金銀の帯が、へんぽんとして舞台目がけてふりくだった。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
篠
(
しの
)
の細道
掻
(
か
)
き
分
(
わ
)
け行けば、虫のこえごえ面白や
合
降りそむる、やれ降りそむる、けさだにも
合
けさだにも
合
所は
跡
(
あと
)
もなかりけり
合
西は田の
畦
(
あぜ
)
あぶないさ、谷
峯
(
みね
)
しどろに越え行け
吉野葛
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
かかすべからずと
強
(
し
)
いられてやっと受ける
手頭
(
てさき
)
のわけもなく
顫
(
ふる
)
え半ば
吸物椀
(
すいものわん
)
の上へ
篠
(
しの
)
を
かくれんぼ
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
篠
(
しの
)
つくばかりの矢だまのなかを、まるで武者押(練兵)でもするもののように面もふらず前進し、やがて指揮者が刀をひと振りするとみるや、脱兎の如く敵の塁壁へと取り付いた。
石ころ
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
頓
(
やが
)
てそれがハラハラと四方に飛散する
状
(
さま
)
は、
恰
(
あたか
)
も線香花火の
消
(
きえ
)
るようであった、雨は
篠
(
しの
)
を
束
(
つか
)
ねて
投
(
なぐ
)
る如きドシャ降り、刻限は午前二時だ、僕ならずとも誰でもあまり
感心
(
かんしん
)
はしまい。
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
すっかり閉め切ってしまったとき、サーッと
篠
(
しの
)
を乱したような大降りになってきた。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
小雨は何時の間にか、
篠
(
しの
)
つく雨となり、はしけのなかの数人の客達は、ずつぷり水浸しになつて来た。ゆき子は、富岡の外套を頭から
被
(
かぶ
)
つてゐた。膝から下がしんしんと冷えてくる。
浮雲
(新字旧仮名)
/
林芙美子
(著)
しかるに
分娩
(
ぶんべん
)
の際は非常なる難産にして苦悶二昼夜にわたり、医師の手術によらずば、分娩
覚束
(
おぼつか
)
なしなど人々立ち騒げる折しも、あたかも陣痛起りて、それと同時に
大雨
(
たいう
)
篠
(
しの
)
を乱しかけ
妾の半生涯
(新字新仮名)
/
福田英子
(著)
篠
(
しの
)
つく雨に打たれたり、どことも知れぬ所に
臥
(
ふ
)
したりしながら、大半の
道程
(
みちのり
)
を歩かなければならなかった。
泥
(
どろ
)
にまみれ、着物は裂け、
乞食
(
こじき
)
のようなふうをし、また痛々しい
咳
(
せき
)
をしていた。
ジャン・クリストフ:05 第三巻 青年
(新字新仮名)
/
ロマン・ロラン
(著)
その
篠
(
しの
)
突くような強烈な勢い、あとはすぐ晴れるというような軽快な心持が主として人の心を支配しますから、もとこの家に
妖怪
(
ようかい
)
が住んでいたというような陰気な感じは鈍ってしまいます。
俳句とはどんなものか
(新字新仮名)
/
高浜虚子
(著)
それと共に雲は
摺墨
(
するすみ
)
をうちこぼしたる
如
(
ごと
)
く、雨は
篠
(
しの
)
を乱して降って来た。
蛇性の婬 :雷峰怪蹟
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
二階へ行こうというので、常子もお
篠
(
しの
)
お
婆
(
ばあ
)
さんと一緒に上がって行った。
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
さんざん耳から
脅
(
おびやか
)
された人は、夜が明けてからは更に目からも脅される。庭一面に
漲
(
みなぎ
)
り込んだ水上に水煙を立てて、雨は
篠
(
しの
)
を突いているのである。庭の飛石は
一箇
(
ひとつ
)
も見えてるのが無いくらいの水だ。
水害雑録
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
夏の夜は
篠
(
しの
)
の
小竹
(
をだけ
)
のふししげみそよやほどなく明くるなりけり
短夜の頃
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
美篶
(
みすず
)
吹き
篠
(
しの
)
吹く風の
朝東風
(
あさこち
)
は目もすまにして音のさやけさ
白南風
(旧字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
間もなく四辺は、
篠
(
しの
)
つくような雨に煙っていた。
石狩川
(新字新仮名)
/
本庄陸男
(著)
金
(
かね
)
は
篠
(
しの
)
茶話:05 大正八(一九一九)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
あの
嶮
(
けわ
)
しい山中にさえ、近頃は、
茅
(
かや
)
の屋根に
篠
(
しの
)
すだれを垂れ、
夜
(
よる
)
見たらむしろ
怖
(
おそ
)
ろしげな遊女の宿が何軒もできているそうである。
源頼朝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
低
(
ひく
)
い
粟幹
(
あはがら
)
の
屋根
(
やね
)
から
其
(
その
)
括
(
くゝ
)
りつけた
萱
(
かや
)
や
篠
(
しの
)
の
葉
(
は
)
には
冴
(
さ
)
えた
耳
(
みゝ
)
に
漸
(
やつ
)
と
聞
(
きゝ
)
とれるやうなさら/\と
微
(
かす
)
かに
何
(
なに
)
かを
打
(
う
)
ちつけるやうな
響
(
ひゞき
)
が
止
(
や
)
まない。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
並
(
なら
)
んだ二
台
(
だい
)
に、
頭
(
あたま
)
からざつと
浴
(
あび
)
せて、
軒
(
のき
)
の
雨
(
あめ
)
の
篠
(
しの
)
つくのが、
鬣
(
たてがみ
)
を
敲
(
たゝ
)
いて、
轡頭
(
くつわづら
)
を
高
(
たか
)
く
挙
(
あ
)
げた、二
頭
(
とう
)
の
馬
(
うま
)
の
鼻柱
(
はなばしら
)
に
灌
(
そゝ
)
ぐ
風情
(
ふぜい
)
だつたのも、
谷
(
たに
)
が
深
(
ふか
)
い。
十和田湖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
下女のお
篠
(
しの
)
です。二十一歳の純情をぶちまけて、自分達には此上もなく良かつた、主人の妻を救ふ氣になつたのでせう。
銭形平次捕物控:090 禁制の賦
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
吉田に着いてからも
篠
(
しの
)
つく雨は、いよいよさかんで、私は駅まで迎えに来てくれていた友人と共に、ころげこむようにして駅の近くの料亭に飛び込んだ。
服装に就いて
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
と、櫓の
狭間
(
はざま
)
から、二百人あまりの射手の射る矢が、拳下がりの狙いうちに、
篠
(
しの
)
のように
射出
(
いい
)
だされた。
あさひの鎧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
扨
(
さて
)
、私申し条も相立ち候へば、即刻下男に
薬籠
(
やくろう
)
を担はせ、大雨の中を、
篠
(
しの
)
同道にて、同人宅へ参り候所、至極手狭なる部屋に、
里
(
さと
)
独り、南を枕にして打臥し居り候。
尾形了斎覚え書
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
とたんにどッと降りだした
篠
(
しの
)
をつくような雨は、風のために横なぐりに落ちて、
窓枠
(
まどわく
)
をピシリピシリと叩いた。密林がこの小屋もろとも、ジリジリと流れ出すのではないかと思われた。
蠅
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それは三之助の位置からも見えた、あけてある障子と、雨戸の隙間越しに、……濁ってふくれあがる水の面を、斜めに
篠
(
しの
)
をなして豪雨が叩くので、いちめんに灰色のしぶきが立っていた。
暴風雨の中
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
といった時、
篠
(
しの
)
突く雨の音を消して、家の
周囲
(
まわり
)
にどっと人声が沸き立った。
つづれ烏羽玉
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
然るに
分娩
(
ぶんべん
)
の
際
(
さい
)
は非常なる難産にして苦悶二昼夜に
亙
(
わた
)
り、医師の手術によらずば、
分娩
(
ぶんべん
)
覚束
(
おぼつか
)
なしなど人々
立騒
(
たちさわ
)
げる折しも、
恰
(
あたか
)
も陣痛起りて、それと同時に
大雨
(
たいう
)
篠
(
しの
)
を
乱
(
みだ
)
しかけ、
鳴神
(
なるかみ
)
おどろ/\しく
母となる
(新字旧仮名)
/
福田英子
(著)
銀子が老母のお
篠
(
しの
)
お
婆
(
ばあ
)
さんに言うと、彼女は子供のような
笑顔
(
えがお
)
で
縮図
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
駄馬にも
篠
(
しの
)
の
鞭
(
むち
)
、という
格
(
かく
)
で、少しは心に勇みを添えられる。
蘆声
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
美篶
(
みすず
)
吹き
篠
(
しの
)
吹く風の
朝東風
(
あさこち
)
は目もすまにして音のさやけさ
白南風
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
そこから
双子山
(
ふたごやま
)
の間にはいる数十町は、山を忘れる高原の平地で、肩まで没しそうな
篠
(
しの
)
と野草がじょうじょうと秋風に白くなびいている。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
おつぎは
汀
(
みぎは
)
へおりようと
思
(
おも
)
つて
篠
(
しの
)
を
分
(
わ
)
けて
見
(
み
)
ると
其處
(
そこ
)
は
崖
(
がけ
)
に
成
(
な
)
つて
居
(
ゐ
)
て
爪先
(
つまさき
)
から
落
(
お
)
ちた
小
(
ちひ
)
さな
土
(
つち
)
の
塊
(
かたまり
)
がぽち/\と
水
(
みづ
)
に
鳴
(
な
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
“篠(ササ)”の解説
ササ(笹、篠、筱、筿、小竹)は、イネ科タケ亜科に属する植物のうち、その茎にあたる稈(かん)を包んでいる葉鞘が枯れる時まで残るものの総称。
(出典:Wikipedia)
篠
漢検準1級
部首:⽵
17画
“篠”を含む語句
小篠
篠懸
篠原
篠山
篠掛
篠竹
長篠
篠村
飯篠
篠崎小竹
飯篠長威斎
篠崎竹雲斎
青篠
篠井
亀篠
小篠堤
篠突
秋篠
篠笹
篠笛
...