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竊
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ぬす
ふりがな文庫
“
竊
(
ぬす
)” の例文
新字:
窃
〔譯〕
漸
(
ぜん
)
は必ず事を
成
(
な
)
し、
惠
(
けい
)
は必ず人を
懷
(
な
)
づく。
歴代
(
れきだい
)
姦雄
(
かんゆう
)
の如き、其
祕
(
ひ
)
を
竊
(
ぬす
)
む者有り、一時亦能く志を
遂
(
と
)
ぐ。畏る可きの至りなり。
南洲手抄言志録:03 南洲手抄言志録
(旧字旧仮名)
/
秋月種樹
、
佐藤一斎
(著)
ソコで
竊
(
ぬす
)
むが如くに水を飲んで、抜足をして台所を出ようとすると、忽ち奥坐舗の障子がサッと開いた。文三は
振反
(
ふりかい
)
ッて見て覚えず立止ッた。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
彼は、いま、
竊
(
ぬす
)
むやうに眼を上げた。おづ/\した、またかき
擾
(
みだ
)
された
容子
(
ようす
)
で、私をちらと見た。彼は再び繪に眼を移した。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
「おゝ! お前は私を押し退けて、私の部下の愛を
竊
(
ぬす
)
みに来たんだな!」あゝ! それは恐ろしい事になるんだ。
科学の不思議
(新字旧仮名)
/
ジャン・アンリ・ファーブル
(著)
三三
故
(
ゆゑ
)
なき所に永く
居
(
を
)
らじと、
三四
己
(
おの
)
が身ひとつを
竊
(
ぬす
)
みて国に
還
(
かへ
)
る
路
(
みち
)
に、此の
疾
(
やまひ
)
にかかりて、思ひがけずも師を
労
(
わづら
)
はしむるは、身にあまりたる
御恩
(
めぐみ
)
にこそ。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
▼ もっと見る
この分けかたは、既に我空想を
喚
(
よ
)
び起して、これを讀まんの願は、我心に溢れたり。されどダンテは禁斷の
果
(
くだもの
)
なり。その味は、
竊
(
ぬす
)
むにあらでは知るに由なし。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
狐は寒をおそるゝ物ゆゑ、我里にては冬は見る事
稀
(
まれ
)
也、春にいたり雪のふりやみたるころ、つもりたる雪中食にうゑて夜中人家にちかづき、物を
竊
(
ぬす
)
み
喰
(
くら
)
ふ事
甚
(
はなはだ
)
悪
(
にく
)
むべし。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
言ひつゝ瀧口が顏、
竊
(
ぬす
)
むが如く見上ぐれば、默然として眼を閉ぢしまゝ、衣の袖の
搖
(
ゆる
)
ぎも見せず。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
が少女の方は、有名なセエラを
竊
(
ぬす
)
み見たりしたら、きっと叱られるとでも思ったらしく、まるでびっくり
函
(
ばこ
)
の中の人形のように、ひょこりと台所の中へ隠れてしまいました。
小公女
(新字新仮名)
/
フランシス・ホジソン・エリザ・バーネット
(著)
各
旨
(
うま
)
い物を
竊
(
ぬす
)
んで少しも自ら味わわず病猴に与え、また
徐
(
しず
)
かにこれを抱いて自分らの胸に
擁
(
かか
)
え、母が子に対するごとく叫んだが、小猴は病悩に耐えず、悲しんで予の顔を眺め
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
「旅は明日志す所へ着くというその夜は誰も安心して必ず其所で
竊
(
ぬす
)
みに逢うものなり」
良夜
(新字新仮名)
/
饗庭篁村
(著)
ここより一の片句を
竊
(
ぬす
)
み、かしこより一の断編を
剽
(
けず
)
り、もってその政論を組成せんと試む、ここにおいて首尾の貫通を失い左右の支吾をきたし、とうてい一の論派たる価値あらず
近時政論考
(新字新仮名)
/
陸羯南
(著)
何だか私自身の側にその死神でも
密著
(
くつつ
)
いてゐる樣で、雨に濡れた五體が今更にうす寒くなつて來た。をり/\私の顏を
竊
(
ぬす
)
み見する人たちの眼にも今までと違つた眞劍さが見えて來た樣だ。
熊野奈智山
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
其処で甚六は小女の死骸を野原へ持って往って、捨てるように埋めて来たが、間もなく小女が
竊
(
ぬす
)
んだと云っていた品物が出て来た。これにはさすがの甚六も気がとがめたであろうと思われる。
一緒に歩く亡霊
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
主君は
歿
(
ぼっ
)
し、国亡び、相手方吉良殿は無事と承わる今日に於ては、臣たる
某共
(
それがしども
)
には、自決の途はあるはずにござりまするが、ただ内匠頭の弟大学が控えておりまするままに、
暫
(
しばら
)
く生を
竊
(
ぬす
)
んで
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
或年
雲飛
(
うんぴ
)
用事
(
ようじ
)
ありて外出したひまに、
小偸人
(
こぬすびと
)
が
入
(
はひ
)
つて石を
竊
(
ぬす
)
んで
了
(
しま
)
つた。
石清虚
(旧字旧仮名)
/
国木田独歩
(著)
あるは、
木履
(
きぐつ
)
を
曳
(
ひ
)
き惱み、あるは
徒跣
(
はだし
)
に
音
(
ね
)
を
竊
(
ぬす
)
み
海潮音
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
おのが
命
(
を
)
を
竊
(
ぬす
)
み
殺
(
し
)
せむと
古事記:02 校註 古事記
(その他)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
ペツポの叫びけるやう。うぬは盜人なり。我錢を
竊
(
ぬす
)
む
奴
(
やつ
)
なり。立派に
廢人
(
かたは
)
といはるべき身にもあらで、たゞ目の見えぬを手柄顏に、わが口に入らむとする「パン」を奪ふこそ心得られねといひき。
即興詩人
(旧字旧仮名)
/
ハンス・クリスチャン・アンデルセン
(著)
竊
部首:⽳
22画
“竊”を含む語句
竊盗
剽竊
竊取
心竊
剽竊版
強竊盗
極竊
竊々
竊伺
竊盜
竊鼠々々
鼠竊々々