老母はゝ)” の例文
篠田の寂しき台所の火鉢にりて、首打ち垂れたる兼吉かねきち老母はゝは、いまだ罪も定まらで牢獄に呻吟しんぎんする我が愛児の上をや気遣きづかふらん、折柄誰やらんおとなふ声に
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
老母はゝは狭き袖に涙ぬぐひて立ち出でつ「オヽ、花ちやん——お珍らしい、くお入来いでだネ、さア、お上りなさい、今もネ私一人で寂しくて困つて居たのですよ——別にお変りもなくて——」
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)
「それからネ、老女おばさん」と、お花は明朝あすの米かしぐ手をばし休めつ「歩きながらのお話に、此頃湖月で話した兼吉の老母はゝうちへ来て居ると先生様がつしやるぢやありませんか、老母おばさん、 ...
火の柱 (新字旧仮名) / 木下尚江(著)