祖母おばあ)” の例文
老人としより子供こどもだから馬鹿ばかにしておもふやうにはうごいてれぬと祖母おばあさんがつてたつけ、れがすこ大人おとなると質屋しちやさして
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
曾祖母ひいばあさん、祖父おぢいさん、祖母おばあさん、伯父おぢさん、伯母おばさんのかほから、奉公ほうこうするおひなかほまで、家中うちぢうのものゝかほ焚火たきびあかうつりました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
マドレエヌは「マダウさん、よい物を祖母おばあさんが上げよう」と云つて人形を与へる。マダウは「とうさんに見せる」と云つて出てく。
巴里より (新字旧仮名) / 与謝野寛与謝野晶子(著)
祖母おばあさん、一所いっしょに越して来ますよ。」当てずッぽに気安めを言うと、「おお、そうかの。」と目皺めじわを深く、ほくほくとうなずいた。
二、三羽――十二、三羽 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
姉さんが泣き出しましたので、祖母おばあさんがお座しきから出てくると、暗い処で摺鉢すりばちにつまずいて足をたがわかしてしまいました。
三つの眼鏡 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
又私の妻も小娘のときには祖母おばあさんに連れられて榎本の家にいったことがあると云うので、少し往来の道筋がとおって居て全く知らぬ人でない。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
「だつて、さうなれば祖母おばあさんは生きちやゐませんよ。貴下あなただつて祖母さんが子供のために身を粉にして働いてるのが分つてゐるでせう。」
孫だち (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
こんな塩梅あんばいに児供の時分から少し変っていたので、二葉亭を可愛がっていた祖母おばあさんは「この子は金鍔きんつばすかこもるかだ、」
二葉亭四迷の一生 (新字新仮名) / 内田魯庵(著)
あたしは鹿しぼりのひもを首のうしろでチョキンと結んで、緋金巾ひかなきんの腹がけ(金巾は珍らしかったものと見える)、祖母おばあさんのおふるの、の小紋の
旧聞日本橋:02 町の構成 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
「何ですかね、蛇だとか、いろいろな毒虫を見ると、何か呪文おまじないのような事を言って、すぐそれを殺してしまうのです。私の祖母おばあさんもやりますよ。」
北国の人 (新字新仮名) / 水野葉舟(著)
『マア何方どつちにした所で、祖母おばあさんの病気を癒すのが一番で御座いますがね。……何と返事したものかと思ひまして。』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「私だって口惜いと思わないことはないけエど、あんな人達が彼是れ言うのも尤ですよ、貴姉……祖母おばあさんね…」
二少女 (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
「うちへ帰れば悪口も言われようが、何といってもこんな貧乏しなくてもすむ、そればかりでない、お前の祖父おじいさんも祖母おばあさんもどんなに喜ぶか知れん」
拾つた方にも得はかない代物だが、それにしても祖母おばあさんが血脈の入つてゐない箱を一生の間大事にかけてゐたかと思ふと、遺族の人達は何だか変な気持になつた。
明日あしたはもうここを去るというので、三之助は、こんな茅屋あばらやでも、自分まで三代も住んだ小屋かとながめて、夜もすがら、祖父おじいの思い出や、祖母おばあ亡母ははのことなどを、武蔵へ話して聞かせた。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
すると祖母おばあさんがてきて
黒いちょうとお母さん (新字新仮名) / 小川未明(著)
祖母おばあさんに連れられて
都会と田園 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
とうさんの祖母おばあさんの隱居所いんきよじよになつてた二かい土藏どざうあひだとほりぬけて、うら木小屋きごやはうおり石段いしだんよこに、その井戸ゐどがありました。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
私はけてかえって祖母おばあさんに訴えた。祖母さんはだまって白い台紙に張りつけた、さんごじゅまがいの細かいたまのついた網を求めさせてくれた。
「あゝ、明日あすでもはなしにないか、わたしはね、針屋はりやるよ、つてるだらう、祖母おばあさんの實家じつかで、再從兄妹またいとこうちさ。」
月夜車 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「だけど、し貞さんや光ちやんがお父さんに引き取られて、田舍へ行くやうになつたら祖母おばあさんはどうします?」
孫だち (旧字旧仮名) / 正宗白鳥(著)
過日こないだ奧の縁側で、祖母おばあさんと何か議論してるの。そして靜子々々つて何か私の事言つてる樣なんですからね、惡いと思つたけど私立つて聞いたことよ。
鳥影 (旧字旧仮名) / 石川啄木(著)
少くとも「もう飽き飽きだ。要するにそれは、お前のいじけたひねくれ根性のおかげだ。いかに冷酷なお前の祖母おばあさんだってまさかそれほどでもあるまい」
ひとかほいまのとはちがふね、あゝ此母このかゝさんがきてるといが、れが三つのとしんで、おとつさんはるけれど田舍いなか實家じつかかへつて仕舞しまつたからいま祖母おばあさんばかりさ
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
今本紙に「昨日の事」を書いてゐる久保田万太郎氏のうちでは、先日こなひだ祖母おばあさんが亡くなつた。
祖父おじいも、祖母おばあも、おっ母さんも、みんなここに眠ってるんだぜ」
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
節子はそれを見てくれと言いたげな表情をして、岸本だけをそこに残して置いて、自分は祖母おばあさんや母親の居る部屋の方へ行った。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
その後、長野県の方にお父さんは警部をつとめていて、美妙は、やかましい祖母おばあさんと、お母さんに育てられた、内気な、おとなしい息子むすこだった。
田沢稲船 (新字新仮名) / 長谷川時雨(著)
過日こなひだ奥の縁側で、祖母おばあさんと何か議論してるの。そして静子々々ツて何か私の事言つてる様なんですからね、悪いと思つたけど私立つて聞いたことよ。
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
僕は構わんが、あの調子だもの、祖母おばあさんや妹たちはもとよりだ。故郷くにから連れて来ている下女さえ吃驚びっくりしたよ。母様は、僕を呼びつけて談じたです。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「どうしたの、祖母おばあさん」と私は汽車の中で祖母にきいてみた。けれど祖母は私に何も言わなかった。
むかしのとほりでなくとも田中屋たなかや看板かんばんをかけるとたのしみにしてるよ、他處よそひと祖母おばあさんをけちだとふけれど、れのため儉約つましくしてれるのだからどくでならない
たけくらべ (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
愈々いよ/\葬式といふ事になつて、祖母おばあさんが先年血脈けつみやくをうけた事を思ひ出した遺族の人達は、早速棺のなかへ納めようと思つて、祖母おばあさんが一生の間大事にしてゐた箱をけてみると
祖父おじい祖母おばあっ。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
その節子が眼に見えて違って来て、三年も彼女の側に居て心配しつづけた祖母おばあさんまでがそれを言うほど違って来たことを思い出した。
新生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
祖母おばあさんの若いころには堺町に芝居が三座あり、その外人形座もあり、かげま茶屋といふものもあつたよしに候。
『だからアノ、悪く思はれる様だと私却て済まないことよ。ね。これはホンのお小遣よ。祖母おばあさんにも何か……』
鳥影 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
南町の邸は、祖母おばあさんが監督に附いて、英吉が主人あるじで、三人の妹が、それぞれ学校に通っているので、すでに縁組みした令嬢たちも、皆そこから通学した。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
とつさんは在るけれど田舎の実家へ帰つてしまつたから今は祖母おばあさんばかりさ、お前は浦山うらやましいねと無端そぞろに親の事を言ひ出せば、それ絵がぬれる、男が泣く物では無いと美登利に言はれて
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
祖母おばあさんのかぎ金網かなあみつてあるおもくらけるかぎで、ひも板片いたきれをつけたかぎで、いろ/\なはこはひつた器物うつはくらから取出とりだかぎでした。
ふるさと (旧字旧仮名) / 島崎藤村(著)
鳥か、けものか、それともやっぱり土蜘蛛つちぐもたぐいかと、訪ねると、……その頃六十ばかりだった織次の祖母おばあさんが
国貞えがく (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
じょっちゃん、ようく覚えてらしって、祖母おばあ様に申上げてください、あたしが晩にもってあがろうと思っておりましたって——ひょっとこが余計なことを言っちまうから……」
祖母おばあさんがしまつて置く金時計をもらつて、そして指輪もこしらへて、巻烟草まきたばこを吸つて、履く物は何がからうな、おいらは下駄より雪駄せつたが好きだから、三枚裏にして襦珎しゆちんの鼻緒といふのを履くよ
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
その時は兄の代理として、祖母おばあさんのお送葬とむらいをするために出掛けたことがある。それぎりだ。すべては彼の境涯が許さなかった。
桜の実の熟する時 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
姉は二十はたち、私は十三、妹は十一で、六十を越して祖母おばあさんが、あとに残った……私と妹は奉公に出たんです。
日本橋 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
祖母おばあさんがはばかりへゆきたくなったとお言いだから、けてもらいましょうというと、なに頼みなんぞおしなさんな、先方むこうから悪かったと開けにくるまでったらかしておおき
お前に怒られると己れが困るものをと話しつれて、いつしか我家の裏近く来れば、寄らないか美登利さん、誰れも居はしない、祖母おばあさんも日がけを集めに出たらうし、己ればかりで淋しくてならない
たけくらべ (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
廣い爐邊でノンキに食事をしつけたものが今度は姉の家の祖母おばあさんや姉夫婦の側にかしこまつて、銀さんと御取膳で食ふことに成りました。
七日前なぬかぜん東京驛とうきやうえきから箱根越はこねごし東海道とうかいだう。——わかつた/\——逗留とうりうした大阪おほさかを、今日けふ午頃ひるごろつて、あゝ、祖母おばあさんのふところ昔話むかしばなしいた、くりがものふ、たんばのくに
城崎を憶ふ (旧字旧仮名) / 泉鏡花(著)
「あのやかましい祖母おばあさんに、十八年も仕えるなんて、なまやさしい辛棒じゃない。」