老婆ばばあ)” の例文
何にも知らないからし、老婆ばばあも、我等おれらと一所に働いた奴だ。人に悪事は饒舌しゃべるまい。惜くも無し、心配も無いが、高田の業突張ごうつくばり、大層怒ってな。
活人形 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
それを、上目づかいのあごで下から睨上ねめあげ、薄笑うすわらいをしている老婆ばばあがある、家造やづくりが茅葺かやぶきですから、勿論、遣手やりてが責めるのではない、しゅうとしえたげるのでもない。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
大きな天井に届く老婆ばばあの顔が、のしかかって、屏風越びょうぶごしに、薄髭うすひげあごでのぞいている……そのすごさというものは。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
(ようゆう)ですね、老婆ばばあは、今度は竹箆を口にくわえて、片手で瓶のふたおさえ、片手で「封」という紙きれを、蓋の合せ目へしながら、ニヤリとしている。
雪柳 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)