老婆ばあ)” の例文
「御勝手の道具で、売って幾何いくらにも成らないようなものは、皆なあの老婆ばあやにりましたよ」と豊世は附添えた。
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
なるほどこれはお前にやるとはいったことはあるようだが、矢来の老婆ばあさんのところに来ての話しにも
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
よめになんどおもひもらぬことなりことばかはすもいまはしきに疾々とく/\かへらずやおかへりなされエヽなにをうぢ/\老婆ばあさま其處そこめなさいとことばづかひも荒々あら/\しくいかりの面色めんしよくすさまじきを
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「よせよ、よく山の上のベンチの傍へ来る、老婆ばあさんだろう」
水魔 (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
駒形の家に居る老婆ばあさんネ、あの人も一生懸命で君の留守居をしてるよ。たまに僕が留守見舞に寄ると、これは旦那から預った植木だから、どうしてもこいつを
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
人を使ふ法をも知りやがらない、死んだお老婆ばあさんは彼んなのでは無かつたけれど、今度の奴等と來たら一人として話せるのは無い、お京さんお前は自家うちの半次さんを好きか
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
老婆ばあさんは、前にもいったようにきっとお前や柳町の入れ知恵もあったのだろうが、私にここのうちを出ていってくれといって、後には毒づくように言って追い立てようとした。
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
と植木屋の老婆ばあさんは勝手口のところへ来て言った。義理としても家内は断る訳にいかなかった。
芽生 (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
ひと使つかはふをもりやがらない、んだお老婆ばあさんはあんなのではかつたけれど、今度こんど奴等やつらたら一人ひとりとしてはなせるのはい、おきやうさんおまへ自家うち半次はんじさんをきか
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
老婆ばあさんは手頼たよりないことをいいながら、相変らず状袋をはる手をつづけていた。
うつり香 (新字新仮名) / 近松秋江(著)
老婆ばあや、一寸ちょっと御留守居を頼みますよ。三吉叔父さんの御宅まで行って来ますから」
家:02 (下) (新字新仮名) / 島崎藤村(著)
老婆ばあさんは中風ちゆうふうぬし、おきぬさんはおよめくをいやがつてうら井戸ゐど飛込とびこんで仕舞しまつた、おまへ不人情ふにんじやうれをてゝくし、もうなにもつまらない、なん傘屋かさやあぶらひきなんぞ
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いろ/\の人が鳥渡好い顏を見せて直樣つまらない事に成つて仕舞ふのだ、傘屋のせんのお老婆ばあさんも能い人で有つたし、紺屋こうやのお絹さんといふ縮れつ毛の人も可愛がつて呉れたのだけれど
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いろいろのひと鳥渡ちよつとかほせて直樣すぐさまつまらないことつて仕舞しまふのだ、傘屋かさやせんのお老婆ばあさんもひとであつたし、紺屋こうやのおきぬさんといふちゞれつひと可愛かあいがつてれたのだけれど
わかれ道 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
いろいろの人がちよつと好い顔を見せて直様すぐさまつまらない事に成つてしまふのだ、傘屋のせんのお老婆ばあさんも能い人で有つたし、紺屋こうやのお絹さんといふ縮れつ毛の人も可愛かあゆがつてくれたのだけれど
わかれ道 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
本当に自家うち吝嗇けちんぼうめやかましい小言ばかり言ひやがつて、人を使ふ法をも知りやあがらない、死んだお老婆ばあさんはあんなのでは無かつたけれど、今度の奴等やつらと来たら一人として話せるのは無い
わかれ道 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
此家このやうち一人ひとりもなし老婆ばあさまも眉毛まゆげよまれるなと憎々にく/\しくはなつて見返みかへりもせずそれは御尤ごもつとも御立腹ごりつぷくながられまでのことつゆばかりもわたくしりてのことはなしおにくしみはさることなれど申譯まをしわけ一通ひととほりおあそばしてむかしとほりに思召おぼしめしてよと詫入わびいことばきもへずなんといふぞ父親てゝおやつみれは
別れ霜 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)