私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア (旧字旧仮名) / シャーロット・ブロンテ(著)
実際岡倉氏のいう如き方法ならば、私の立場として見て、そう仕事の上に差し閊えることもないように思われ、怪しむところもなくなって来ました。
幕末維新懐古談:65 学校へ奉職した前後のはなし (新字新仮名) / 高村光雲(著)
「あ、脅かすなよ、八。朝の味噌汁が胸に閊えるじゃないか、——どこの猫の子がいったい五つ子を産んだんだ」
銭形平次捕物控:114 遺書の罪 (新字新仮名) / 野村胡堂(著)
しかし、仕事が山ほど閊えていて、考えごとなどしている暇はなかったので、わたしは晩、宿へ帰ったときに、やっとはじめて手紙を読み返して見ました。
クロイツェル・ソナタ:01 クロイツェル・ソナタ (新字新仮名) / レオ・トルストイ(著)
「引っ張れ! 引っ張れ! どっかへ閊えたのかな、あがってこんぞ。引っ張れえ!」
井戸 (新字新仮名) / ウイリアム・ワイマーク・ジェイコブス(著)
大仏餅。袴着の祝。新まへの盲目乞食 (新字旧仮名) / 三遊亭円朝(著)
「どうかしましたか」といったが、街灯の光に照出された白蝋のような女の顔を見ると、余りの驚愕に私は言葉が閊えてしまった。それは夕方以来、私を悩ましていた、あの美しい女である。
之が閊えて戸を開け放す事が出来なんだけれど、若し十二時になれば意地の悪い凸点が悉く隠れるから戸は人の力で充分開け放す事が出来るのだ、斯う思って再び戸を見ると戸は自然に後へ返り
などといった言葉も、頭のどこかに閊えている感じである。あたかも、わざわざ小次郎を称揚しに来たような印象を、余五郎は受けていた。
宮本武蔵:06 空の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
それは差し閊えないだろうとの事であったので、とうとう競技会へ製作が持ち出されることになったのでした。
幕末維新懐古談:55 四頭の狆を製作したはなし (新字新仮名) / 高村光雲(著)
銭形平次捕物控:114 遺書の罪 (旧字旧仮名) / 野村胡堂(著)
「あなたは、硝子窓を外から押して合わせた。きっちりとは入らなかった。どこかに閊えているらしかった。そのままにしてあなたはクラブへ引返した。そうでしょう」
と私も閊えているものを下すような気持でそう言ったが、あんまり亭主の様子の滑稽なのに思わず微笑んだ。が、その真っ青な顔を見ていると、何か真剣なものが私にまでも迫ってきた。