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捕
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つか
ふりがな文庫
“
捕
(
つか
)” の例文
鮎子が右に左に通せんぼうをするのを、
巧
(
たくみ
)
にかい
潜
(
くぐ
)
って、
尻尾
(
しっぽ
)
の二郎美少年を
捕
(
つか
)
まえる遊戯だ。陸上の「子を取ろ、子取ろ」である。
地獄風景
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「いや、」と彼は言った、「私は追跡されています。その室で
捕
(
つか
)
まるばかりです。そうなるとかえってあの女の霊を乱すでしょう。」
レ・ミゼラブル:04 第一部 ファンテーヌ
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
この
鷲
(
わし
)
か。——これもその呂宋兵衛が、
桑名
(
くわな
)
から浜松へくるとちゅうで
捕
(
つか
)
まえたのを、
菊池半助
(
きくちはんすけ
)
のところへ
土産
(
みやげ
)
に持ってきたのじゃ。
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
これまで、このやぶから
出
(
で
)
たもので、いくたり
人間
(
にんげん
)
に
捕
(
つか
)
まって
帰
(
かえ
)
ってこないものがあるかしれない。しかし
人間
(
にんげん
)
は
殺
(
ころ
)
すのではない。
春がくる前
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
そしてあの、おいらを
捕
(
つか
)
まえたときの、騒がずあわてぬとりなし、役者を
止
(
や
)
めさせて、泥棒にしても押しも押されもされぬ人間だ。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
▼ もっと見る
夫
(
そ
)
れから
捕
(
つか
)
まえられたとか斬られたとか、
或
(
あるい
)
は奥平屋敷の溝の中に人が
斬倒
(
きりたお
)
されて、ソレを
又
(
また
)
上から
鎗
(
やり
)
で
突
(
つい
)
たと云うような
大
(
おお
)
騒動。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
何ぼうはあ貧乏してても、もとあ
歴
(
れっき
)
として禰宜様の家柄でからに、人に後指一本差さっちゃことのねえとっさん
捕
(
つか
)
めえてよくもよくも……
禰宜様宮田
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
まず第一番に神尾喬之助を
捕
(
つか
)
まえて事を
質
(
ただ
)
し、
柳営
(
りゅうえい
)
である元旦である、喬之助に理があれば切腹、非ならば
極刑
(
きょくけい
)
に処さなければならない。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
玉
(
たま
)
や、さう/\、お
前
(
まへ
)
も一
緒
(
しよ
)
に
來
(
く
)
れば
好
(
よ
)
かつたね!
空中
(
くうちゆう
)
には
鼠
(
ねずみ
)
は
居
(
ゐ
)
ないだらうけど、
蝙蝠
(
かうもり
)
なら
捕
(
つか
)
まへられる、それは
鼠
(
ねずみ
)
に
酷
(
よ
)
く
似
(
に
)
てゐるのよ。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
私はただ無性に嬉しくなり、むやみに走り廻っては彼らを追いかけ廻した。幾らでも、全く可笑しい位幾らでも、
捕
(
つか
)
まるのだ。
環礁:――ミクロネシヤ巡島記抄――
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
鳩
(
はと
)
はお
腹
(
なか
)
が
空
(
す
)
いてゐました。
朝
(
あさ
)
でした。
羽蟲
(
はむし
)
を一つみつけるがはやいか、すぐ
屋根
(
やね
)
から
庭
(
には
)
へ
飛
(
と
)
びをりて、それを
捕
(
つか
)
まえました。
ちるちる・みちる
(旧字旧仮名)
/
山村暮鳥
(著)
どうも、大変な話じゃありませんか。それから組頭が
捕
(
つか
)
まえられると同時に
家捜
(
やさが
)
しをされて、当人はそのまま
伝馬町
(
てんまちょう
)
に
入牢
(
にゅうろう
)
さ。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
ま詰らん
小商
(
こあきな
)
いをするよりもこれ、一疋虫を
捕
(
つか
)
めえて六百ずつになれば、子供でも出来る事だから宜かろうと頼まれましたんで
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
病夫浪之助を殺して表へ出た時の
着附
(
きつけ
)
だったか、
捕
(
つか
)
まる時のだか、そんなことはもう、
朧
(
おぼろ
)
げになってしまっているといってたのを、はなした。
市川九女八
(新字新仮名)
/
長谷川時雨
(著)
一度は一軒置いてお隣りの多宝院の
納所
(
なっしょ
)
へ這入り坊さんのお夕飯に食べる
初茸
(
はつたけ
)
の煮たのを
摘
(
つま
)
んでいるところを
捕
(
つか
)
まえました。
幕末維新懐古談:73 栃の木で老猿を彫ったはなし
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
捕
(
つか
)
まへてお濱さんへの
土産
(
みやげ
)
にする気で、
縁側
(
えんがは
)
づたひに書院へ足音を忍ばせて行つたが、
戸袋
(
とぶくろ
)
に手を掛けて
柿
(
かき
)
の樹を見上げた
途端
(
はずみ
)
に蝉は逃げた。
蓬生
(新字旧仮名)
/
与謝野寛
(著)
しかし
捕
(
つか
)
まえるものがないから、しだいしだいに水に近づいて来る。いくら足を
縮
(
ちぢ
)
めても近づいて来る。水の色は黒かった。
夢十夜
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
息が切れて走れなくなりました。頭や背中には石を投げつけられて
怪我
(
けが
)
をしました。この上
捕
(
つか
)
まったら、どんな目にあわされるかわかりません。
泥坊
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
けっして
捕
(
つか
)
まえないという警察の保証をつけて犯人を
誘
(
おび
)
き出し、その、のこのこ現われたところを子供と一緒に押えちまえばいいじゃないか、と。
チャアリイは何処にいる
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
「いや、ところがやつらだってなかなかそうたやすく
捕
(
つか
)
まるような間抜けはしませんよ。もう心得ていますからね。」
青銅の基督:――一名南蛮鋳物師の死――
(新字新仮名)
/
長与善郎
(著)
「それは御無理と申すもので。まるっきり証拠も何もないことでお
捕
(
つか
)
まえなさるのはあんまり御無理なことで……」
大菩薩峠:10 市中騒動の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
最近東京を騒がした有名な強盗が
捕
(
つか
)
まって語ったところによると、彼は何も見えない闇の中でも、一本の棒さえあれば何里でも走ることができるという。
闇の絵巻
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
孫はきっと天国で梨の実を盗んでるところを庭師に
捕
(
つか
)
まって、首を
斬
(
き
)
られたに違いない。ああ、わしはどうして孫をあんな恐ろしい所へ
遣
(
や
)
ったんだろう。
梨の実
(新字新仮名)
/
小山内薫
(著)
が、碗の壁のそばにぽっかりとあった穴の中に、僕の服はするすると入ってしまって、僕は
捕
(
つか
)
まえそこなった。
海底都市
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
「ところが
捕
(
つか
)
まえたのさ。ちゃんと捕まえたんだからね!」とノズドゥリョフが答えた。「さあ今度は一つ、」と彼は、チチコフに向って言葉をつづけた。
死せる魂:01 または チチコフの遍歴 第一部 第一分冊
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
そうして又、それが泥棒一つ
捕
(
つか
)
まえた経験のない無能な彼の、心中からの……ただ一筋の悲しい願いでなければならぬ事を、彼自身に何度、自覚したことか。
老巡査
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
何となれば、彼は実際出懸けて行った、そして自分の着物に
捕
(
つか
)
まっているスクルージを一緒に連れて行った。
クリスマス・カロル
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
それが
捕
(
つか
)
まると、
棒杭
(
ぼうぐい
)
にしばりつけて置いて、馬の後足で
蹴
(
け
)
らせたり、裏庭で土佐犬に
噛
(
か
)
み殺させたりする。それを、しかも皆の目の前でやってみせるのだ。
蟹工船
(新字新仮名)
/
小林多喜二
(著)
「空巣をやるような人間は、死んでも
捕
(
つか
)
まるまいというような、けなげな精神は持っておらんものです……あれは、空巣以外の、何者か、だったんでしょうな」
あなたも私も
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
それを
聞
(
き
)
いて、ラプンツェルが
編
(
あ
)
んだ
頭髪
(
かみ
)
を
下
(
した
)
へ
垂
(
た
)
らすと、
魔女
(
まじょ
)
はそれに
捕
(
つか
)
まって、
登
(
のぼ
)
って
行
(
ゆ
)
きました。
ラプンツェル
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
「ええうるさい。たとえあたしが
放
(
はな
)
しても、
捕
(
つか
)
まえるのはお
前
(
まえ
)
の
役目
(
やくめ
)
だ。——もうお
前
(
まえ
)
なんぞに
用
(
よう
)
はない。
今
(
いま
)
すぐここで
暇
(
ひま
)
をやるから、どこへでも
行
(
い
)
っておしまい」
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
ただ笑ってるばかりならイイが、「俺を
捕
(
つか
)
まえようてには一師団の兵が
要
(
い
)
る」ナドト大言していた。
最後の大杉
(新字新仮名)
/
内田魯庵
(著)
こうして話をしていても、自分やあなたの一言一句を片っぱしから
捕
(
つか
)
まえて、いそいで自分の手文庫のなかへほうりこむ。こりゃ使えるかも知れんぞ! というわけ。
かもめ:――喜劇 四幕――
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
わしは片方の翼と足とを
捕
(
つか
)
まえて、地べたにおしつけて力を入れて抜いた。翼は大きくて小さい骨ほどあるのだからちょっと引っぱったぐらいでは抜けはしないからね。
出家とその弟子
(新字新仮名)
/
倉田百三
(著)
追手
(
おって
)
に
捕
(
つか
)
まって元の
曲輪
(
くるわ
)
へ送り戻されれば、
煙管
(
キセル
)
の
折檻
(
せっかん
)
に、またしても毎夜の憂きつとめ。死ぬといい消えるというが、この世の中にこの女の望み得べき幸福の絶頂なのである。
妾宅
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
隨分泥棒を
捕
(
つか
)
まへて繩を
綯
(
な
)
ふと云ふやうな話であるが、然も其時は事實あれ程の
急劇
(
きふげき
)
な變化、即ち三年後に江戸が東京になる程の變化が來やうとは思はなかつたので、悲しくても
兵馬倥偬の人
(旧字旧仮名)
/
塚原渋柿園
、
塚原蓼洲
(著)
また忍んで
折々
(
おりおり
)
歩いて来る人間があれば、
捕
(
つか
)
まえてじきにニャートンに報知する事になって居る。そのためにここに一軒家があるのです。その家には
婆
(
ばあ
)
さんと
外
(
ほか
)
に一人居りました。
チベット旅行記
(新字新仮名)
/
河口慧海
(著)
何だか、池の水の中に泳いでいる美しい金魚か何ぞのように、あまり遠くへ逃げもせず、すぐに手に
捕
(
つか
)
まりそうで、さて容易に
捉
(
つか
)
まらないというような心地のするのがその女であった。
狂乱
(新字新仮名)
/
近松秋江
(著)
平次と八五郎が、土地の御用聞と連絡して、八方から見張つてゐるにも拘らず、想像も及ばぬほどの殘酷な手段で、娘のお玉を殺した曲者は、それつ切り影法師も
捕
(
つか
)
ませなかつたのです。
銭形平次捕物控:311 鬼女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
……私は急に、私のそばにいる彼女の腕をとって、向うから苦手の人が来るらしいので
捕
(
つか
)
まると
面倒
(
めんどう
)
くさいからと早口に
言訣
(
いいわけ
)
しながら、いま来たばかりの水車場の方へ引っ返していった。
美しい村
(新字新仮名)
/
堀辰雄
(著)
強盗を
捕
(
つか
)
まえたり、殺人事件ならともかく、こういう品物を下っ端探偵なぞが、いくら騒ぎ立てたからとて、出てくるわけがあるもんですか! そこは女ですよ、美しい婦人に、限るのですよ。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
捕
(
つか
)
まった犯罪人のように、彼は、自分の運命が決定したことを直感した。
海に生くる人々
(新字新仮名)
/
葉山嘉樹
(著)
「今度一つ、
投
(
はふ
)
り込んで行くところを、うまく
捕
(
つか
)
まへようかな。」
姉弟と新聞配達
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
「追っかけて
捕
(
つか
)
まえて、やはり殺してしまうです」
はつ恋
(新字新仮名)
/
イワン・ツルゲーネフ
(著)
押していったわ、白木屋の前に来なかったら、ただじゃ置かないと、省線に張り込んでいるからそう思えと言ったわ、あたい、下車するとバスの停留場まで
趨
(
はし
)
ったわ、うしろ向くと
捕
(
つか
)
まえられると思ってがたがた趨った。
蜜のあわれ
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
逃げだすパルチザンを
捕
(
つか
)
まえるためだ。
パルチザン・ウォルコフ
(新字新仮名)
/
黒島伝治
(著)
(般若の五郎は、
捕
(
つか
)
まったか知らん?)
花と龍
(新字新仮名)
/
火野葦平
(著)
「よし、こん畜生
捕
(
つか
)
まえてやるぞ」
加利福尼亜の宝島:(お伽冒険談)
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「
姉
(
ねえ
)
さん、
玉虫
(
たまむし
)
を
捕
(
つか
)
まえてきたよ。
僕
(
ぼく
)
、
揮発油
(
きはつゆ
)
をつけて、
殺
(
ころ
)
してやろうか?」と、
誠
(
まこと
)
さんは、いいました。これをきくと、
春子
(
はるこ
)
さんは
玉虫のおばさん
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
「耳ざとく、よく町へ弥次馬に出かける奴じゃな。捕物とは、
盗人
(
ぬすびと
)
でも
捕
(
つか
)
まったか。清洲の御城下に、盗人があったとは珍しい」
新書太閤記:02 第二分冊
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
捕
常用漢字
中学
部首:⼿
10画
“捕”を含む語句
捕縛
召捕
引捕
捕手
捕吏
捕虜
逮捕
生捕
捕繩
取捕
捕縄
捕捉
追捕
総追捕使
御召捕
魚捕
分捕
捕方
手捕
鼠捕
...