つか)” の例文
言はれて雲飛うんぴ仔細しさい孔中こうちゆうると果して小さな堂宇だうゝがあつて、粟粒あはつぶほどの大さで、一寸ちよつとくらゐではけつしてつかぬほどのものである、又た孔竅あなかず計算けいさんするとこれ亦た九十二ある。
石清虚 (旧字旧仮名) / 国木田独歩(著)
まったくお話しに聞惚ききとれましたか、こちらがさとはなれて閑静な所為せいか、ちっとも気がつかないでおりました。実は余り騒々そうぞうしいので、そこをげて参ったのです。しかし降りそうになって来ました。
春昼 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
友は愚にもつかん事を言っているのだが、其愚にも附かん事を、人生だ、智慾だ、煩悶だ、肉だ、堕落だ、解脱げだつだ、というような意味の有り気な言葉で勿体を附て話されると、何だか難有ありがたくなって来て
平凡 (新字新仮名) / 二葉亭四迷(著)
氣がつかず燒て仕舞ましたら何時いつ眞赤まつかに成まして役には立ず一本の方は洗箒さゝらの樣に成て致し方なければ川へすてましたと申立けるに原田は點頭うなづき然らば愈々いよ/\相違無かとありければ彌十少しもいつはりは御座りませぬと申すにより道具屋林藏は御用濟ようずみたり勝手に引取ひきとるべし太儀たいぎなりと申渡され家主いへぬし嘉右衞門は林藏同道どうだうにて歸りける夫より隱亡をんばう彌十は
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)