つか)” の例文
又七殿訴へなば大亂たいらんとなり白子屋の家名かめい立難たちがたしお常殿は女の事故其處そのところへ氣もつかれざるは道理もつともの事なれども能々よく/\勘辨かんべんありて隨分ずゐぶん又七殿を
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
○「エ、なんだ、慌てるにも程があるもんでございますよ、わしへぶっつかって、ハア、提灯ちょうちんもなにも消されて仕舞った」
それでないとこの先の見込みがつかないからと諄々じゅんじゅんと清吉の不勉強や不品行や物覚ものおぼえの悪い点を列挙して、清吉の教育法について呉々くれぐれも心配してくれたのである。
蝋人形 (新字新仮名) / 小川未明(著)
銀のねこすてた所が西行さいぎょうなりと喜んでむるともがら是もかえって雪のふる日の寒いのに気がつか詮義せんぎならん。
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
たのみ外へ遣置やりおき急立せきたつこゝろしづめて覗見のぞきみるにへい四郎は夜具やぐもたれて鼻唄はなうたうたひ居るにぞよく御出おいでなんしたと屏風びやうぶの中にいりぬしに御聞申事がある布團ふとんの上へあがりけれどもなんの氣もつかところ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
フ相談つかぬは知れた事、百両出すなら呉れてもやろうがとお辰をとら立上たちあがすそを抑え、吉兵衛の云う事をまあ下に居てよく聞け、人の身を売買うりかいするというは今日こんにちの理に外れた事
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
照らし給ふ故其盜人が知ましたと云をきゝ惣内親子おやこはハツとかほを赤らめしを組頭くみがしらの佐治右衞門は氣もつかず進み出夫は他國の盜人ぬすびとか村内の者かにくき奴なり早々さう/\吟味さつしやれと張肱はりひぢ
大岡政談 (旧字旧仮名) / 作者不詳(著)
最早もはや三月みつき近くなるにも心つかねば、まして奈良へと日課十里の行脚あんぎゃどころか家内やうちをあるく勇気さえなく、昼は転寝うたたねがちに時々しからぬ囈語うわごとしながら、人の顔見ては戯談じょうだんトつ云わず、にやりともせず
風流仏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)