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立難
又七殿訴へなば
大亂となり白子屋の
家名立難しお常殿は女の事故
其處へ氣も
付れざるは
道理の事なれども
能々勘辨ありて
隨分又七殿を
渡し
殘六十兩は
己が
物とし是迄に
掠取し金と合せ見るに今は七百兩餘に成ければ
最早長居は成難しと或日
役所にて
態と
聊かの
不調法を仕出し主人へ申譯
立難しとて
書置を
考へ給ふ處におよそ奉行たる者は
正路にあらざれば
片時も
立難し
其正直にて
仁義のもの
當世に少し然るに大岡越前守伊勢山田
奉行として先年の
境論ありし時いづれの奉行も
我武威を