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費
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つか
ふりがな文庫
“
費
(
つか
)” の例文
「尤も、娘のお清は、
費
(
つか
)
ひ殘りの金を舊藩へ返して、お隣の
松倉至
(
まつくらいたる
)
と、貧乏な世帶を持つた相だから、まづ/\、
諦
(
あきら
)
めるとしようか」
銭形平次捕物控:296 旅に病む女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
なぜならば、わたしは金銭においてではないが、うららかな時間と夏の日において富んでおり、それを惜しげなく
費
(
つか
)
ったからである。
森の生活――ウォールデン――:02 森の生活――ウォールデン――
(新字新仮名)
/
ヘンリー・デイビッド・ソロー
(著)
私
(
わたくし
)
の
思
(
おも
)
うには、これだけの
銭
(
ぜに
)
を
費
(
つか
)
うのなら、
遣
(
や
)
り
方
(
かた
)
をさえ
換
(
か
)
えれば、ここに二つの
模範的
(
もはんてき
)
の
病院
(
びょういん
)
を
維持
(
いじ
)
することが
出来
(
でき
)
ると
思
(
おも
)
います。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
無心した金さえ
費
(
つか
)
い
途
(
みち
)
を、訊いてくれるな、訊くなら
要
(
い
)
らないと云った女。——考えれば危ないものと、どうしても思われてならない。
春の雁
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
或る者はすでに筑波騒動以来の軍用に
費
(
つか
)
ってしまったとも言い、或る者は北国まで上る長の路用に尽きてしまったとも言い、或る者は
大菩薩峠:18 安房の国の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
若者は名は
杜子春
(
とししゆん
)
といつて、元は金持の息子でしたが、今は財産を
費
(
つか
)
ひ
尽
(
つく
)
して、その日の暮しにも困る位、
憐
(
あはれ
)
な身分になつてゐるのです。
杜子春
(新字旧仮名)
/
芥川竜之介
(著)
▲然るにその後久弥はその金を
費
(
つか
)
い果したものか、昨夜突然高林家に忍び入って恩師を
縊
(
くび
)
り殺してその臍繰りと名器の鼓を奪って逃げた。
あやかしの鼓
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
彼は精根を
費
(
つか
)
い果たし、樹の根へとうとう腰を下ろし眼を閉じ奥歯を噛みしめた。身内に熱さえ加わってほとんど人心地もないのであった。
蔦葛木曽棧
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
お金を
費
(
つか
)
おうとしない船員、女を失望させて帰す水夫や火夫なんて、これはとても信じられないお
伽話
(
とぎばなし
)
だ。奇蹟? 不可能。
踊る地平線:08 しっぷ・あほうい!
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
「残額二圓誰かから借りよう。昨今我々は
逼迫
(
ひっぱく
)
して居るから、早く五圓にして丸善へ持って行かないと、
費
(
つか
)
っ
了
(
ちま
)
いそうだ。」
The Affair of Two Watches
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
それから暫くたった時、今日はうまい物を腹いっぱい食べて
銭
(
かね
)
を
費
(
つか
)
ってしまってやろうと思った。
寿司
(
すし
)
が第一に眼についた。
御身
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
むやみに金を
費
(
つか
)
ったり、人に喰ってかかったり、下等なことをわめきちらしたり、……何の理由もなしに自殺しかかったことさえあるんです。
キャラコさん:05 鴎
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
品物の方は早速もう諦め、あとはポケットをふくらませている
紙幣束
(
さつたば
)
をいかにして今夜のうちに
費
(
つか
)
い
果
(
は
)
たすかについて頭をひねることとなった。
宇宙尖兵
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
職工を見よ、農家の夕食の様を
覗
(
のぞ
)
け! 着々、陽気を取り戻した。ひとり、くらきは、一万円
費
(
つか
)
って大学を出た、きみら、
痩
(
や
)
せたる知識人のみ!
HUMAN LOST
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
何に
費
(
つか
)
っても
可
(
い
)
いような金が二百円ばかりあった。彼女の為とあらば、
錯々
(
せっせ
)
と働いて得た報酬も惜しくない。どうかしてその金を費おうと思った。
船
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
「旅に出て来て一寸
費
(
つか
)
ひ過ぎたもんですから、羽織でも入れたいと思ひましてね。なに、決して御迷惑は掛けません。」
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
この
金
(
かね
)
で
死後
(
しご
)
の
始末
(
しまつ
)
をしてもらい、
残
(
のこ
)
りは、どうか
自分
(
じぶん
)
と
同
(
おな
)
じような、
不幸
(
ふこう
)
な
孤独
(
こどく
)
な
人
(
ひと
)
のために
費
(
つか
)
ってもらいたい。
三月の空の下
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
費
(
つか
)
い
路
(
みち
)
は分りません。社長の命令で会計から渡したのです。私共の店では、社長の個人用の金も、命令次第で名目を
五階の窓:01 合作の一(発端)
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
中には一羽の雉が四、五十円に当るといった人もあります。撃つためには五円も十円も
費
(
つか
)
って料理するためには十銭二十銭を高いとおっしゃいますか。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
然し
懐
(
ふところ
)
に
費
(
つか
)
っても差支えのない金を持って、決して買いはしないが、買いたいものゝ飾窓を覗き込む「よさ」は一寸経験のない人には判らない事である。
琥珀のパイプ
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
線路
(
レール
)
の枕木を切り出す
山林
(
やま
)
を見に、
栗山
(
くりやま
)
の方へ、仲間と一緒に出向いて行った。大分
費
(
つか
)
い込みの出来た叔父は一層
儲
(
もう
)
け口を
見脱
(
みのが
)
すまいとして
燥
(
あせ
)
っていた。
足迹
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
常々あれば心
驕
(
おご
)
りて湯水のごとく
費
(
つか
)
い、無きも同然なるは黄金なり。よって
後世
(
こうせい
)
一
朝
(
ちょう
)
事
(
こと
)
ある
秋
(
とき
)
の用に立てんと、左記の場所へ金——サア、これはわからぬ。
丹下左膳:03 日光の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
闘牛士
(
トレロス
)
たちに祝儀を出してやり、妻の友達たちを招いて連夜の饗宴を張り、おそらく瞬く間に、七、八百万ペセタくらいの金は
費
(
つか
)
い果してしまったであろう。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
さて、おなご衆さん、わしはゆうべ持っとる金をすっかり
費
(
つか
)
い果した。今朝の朝飯代が無い。あんたの仏道の
結縁
(
けちえん
)
にもなる事だから、この旅僧に一飯供養しなさい
とと屋禅譚
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
「まアどうしてそんな遠くで買ったの。……オヤお前さん今日お米を買うお
銭
(
あし
)
を
費
(
つか
)
って
了
(
しま
)
やアしまいね」
竹の木戸
(新字新仮名)
/
国木田独歩
(著)
お嬢さまを
欺
(
だま
)
くらかして偽手紙イなんぞをこせえて、若旦那さまの
入用
(
いりよう
)
だって嘘べえ吐いて、金を取って
費
(
つか
)
やアがって、うぬ、
一昨日
(
さきおとゝい
)
の晩も汝え山口屋へ往って
粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分):02 粟田口霑笛竹(澤紫ゆかりの咲分)
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
社に一人悪い奴がいて、社主が地方へ出張している間に社の金を
費
(
つか
)
いこむ、しておかねばならぬ仕事は手も付けずおまけに社主の妻君と
姦通
(
かんつう
)
したとか、しないとか。
六月
(新字新仮名)
/
相馬泰三
(著)
で、其からといふものは、重右衛門は好く湯田中に出懸けて行つたが、金を
費
(
つか
)
ふ割に余りちやほやされないので、つねに
悒々
(
おふ/\
)
として楽しまなかつたといふ事である。
重右衛門の最後
(新字旧仮名)
/
田山花袋
(著)
つまり、前任者が年に一万両の予算を
費
(
つか
)
ったとすれば、次の年の役人は九千五百両で仕上げ、その次の役人は九千両に節約して、宮中の費用を縮めるのを手柄とした。
にらみ鯛
(新字新仮名)
/
佐藤垢石
(著)
佃教授並に夫人——倹約や貯蓄や恩給が夫婦のたのしみで睦じく四十になり五十になり、墓穴まで行けたであろう。ところが伸子の情熱は佃一人に
費
(
つか
)
い切れなかった。
伸子
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
さうすれば遊佐君は三百九十円払ふ訳だが、これが一文も
費
(
つか
)
はずに
空
(
くう
)
に出るのだから随分
辛
(
つら
)
い話、君の方は
未
(
ま
)
だ未だ利益になるのをここで見切るのだからこれも辛い。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
然るに高い学費を何年も
費
(
つか
)
ひ込んだ商業学者先生達は会社か銀行の
帳付
(
ちやうつけ
)
にでもなると直ぐ実業家を気取つて、
極
(
ごく
)
愚劣な奴は安芸妓に
陥
(
はま
)
り込んで無けなしの金を入上げる
青年実業家
(新字旧仮名)
/
内田魯庵
(著)
それは吉里が止めておいたので、平田が
別離
(
わかれ
)
に残しておいた十円の金は、善吉のために残りなく
費
(
つか
)
い尽し、その上一二枚の
衣服
(
きもの
)
までお熊の目を忍んで
典
(
あず
)
けたのであッた。
今戸心中
(新字新仮名)
/
広津柳浪
(著)
さも
誇貌
(
ほこりが
)
に
婿
(
むこ
)
の財産を数え、または
支度
(
したく
)
に
費
(
つか
)
ッた金額の総計から内訳まで
細々
(
こまごま
)
と計算をして聞かせれば、聞く事
毎
(
ごと
)
にお政はかつ驚き、かつ羨やんで、果は、どうしてか
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
いち時に
費
(
つか
)
つてしまふやうな遊びはなからうか、——などゝも思つたが、考は浮ばなかつた。
熱い風
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
私の歌をこんなにも美しいものにする 私は歌ふ 私は歌ふ やがて私の心を
費
(
つか
)
ひ果して
閒花集
(旧字旧仮名)
/
三好達治
(著)
いったい私どものような実業家は、どんな場合にでも
算盤
(
そろばん
)
にあわないような金の
費
(
つか
)
い方はしないもんです。だがあれの場合は全くけたはずれでしたよ。もう金銭ずくじゃないんです。
アパートの殺人
(新字新仮名)
/
平林初之輔
(著)
もとはこの穴は
空虚
(
から
)
じゃなかったんだ。ルイ十四世とルイ十五世の時、とうとうこの
宝物
(
ほうもつ
)
を
費
(
つか
)
っちゃったんだよ。しかし第六番目は
空虚
(
から
)
じゃない。ここはまだ誰も手をつけていない。
奇巌城:アルセーヌ・ルパン
(新字新仮名)
/
モーリス・ルブラン
(著)
つまり、その金は一文残らず
費
(
つか
)
いはたしてしまわなければならないわけである。
外套
(新字新仮名)
/
ニコライ・ゴーゴリ
(著)
こうした心配の最中に、ドイツの社交界で羽振りのいいある夫人から、ドイツの戦争に
費
(
つか
)
うお金を寄附するために赤十字社の音楽会に日本を代表して出演して下さい、という依頼を受けました。
お蝶夫人
(新字新仮名)
/
三浦環
(著)
太陽の光をふんだんに
費
(
つか
)
ったという、十八、十九世紀の絵画も、ゴッホ、ゴーガンをもって区切りとし、燃えきってしまって、やがて、一九〇〇年代、ムンクより始まって、キリコにいたる線は
美学入門
(新字新仮名)
/
中井正一
(著)
満伊
(
みつい
)
商会の支店長となって、米国へ往っていた青木の長男を、女優に迷わせたり、投機に手を出させたりして、会社の金を
費
(
つか
)
わせて自殺さしたことと、弟の医学士の五つになる小供を殺し、その次に
雨夜続志
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
そうこうするうちに、持っていた路銀も
費
(
つか
)
い果してしまった。
親ごころ
(新字新仮名)
/
ギ・ド・モーパッサン
(著)
「あげないことはありません。でも何に
費
(
つか
)
ふのですか。」
良寛物語 手毬と鉢の子
(新字旧仮名)
/
新美南吉
(著)
「
真逆
(
まさか
)
、公金を
費
(
つか
)
い込んだんじゃあるまいね?」
三等郵便局
(新字新仮名)
/
尾崎士郎
(著)
かかる
目付
(
めつき
)
の應接におのが
目付
(
めつき
)
を
費
(
つか
)
ひはて
牧羊神
(旧字旧仮名)
/
上田敏
(著)
失踪の二人は金を
費
(
つか
)
い果して帰って来た。
ジロリの女
(新字新仮名)
/
坂口安吾
(著)
磯五郎はあんなに金に困つて居るから、三日前に手に入れた三十兩を
費
(
つか
)
はずに居る筈はないと思つたのがそも/\疑ひの
緒口
(
いとぐち
)
だつたよ。
銭形平次捕物控:171 偽八五郎
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
思い出しても、
癪
(
しゃく
)
にさわってならねえ。おととしからの
炭
(
すみ
)
薪
(
まき
)
や魚の代だ。あの道場で
費
(
つか
)
うのだからちッとやそっとの物じゃあない。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
然
(
しか
)
し
今日
(
こんにち
)
の
所
(
ところ
)
では
病院
(
びやうゐん
)
は、
確
(
たしか
)
に
市
(
し
)
の
資力
(
ちから
)
以上
(
いじやう
)
の
贅澤
(
ぜいたく
)
に
爲
(
な
)
つてゐるので、
餘計
(
よけい
)
な
建物
(
たてもの
)
、
餘計
(
よけい
)
な
役
(
やく
)
などで
隨分
(
ずゐぶん
)
費用
(
ひよう
)
も
多
(
おほ
)
く
費
(
つか
)
つてゐるのです。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
費
常用漢字
小5
部首:⾙
12画
“費”を含む語句
費用
入費
浪費
冗費
消費
旅費
費消
費府
濫費
小費
物費
無駄費
経費
出費
生計費
失費
諸入費
徒費
放蕩費
金費
...