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柄
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つか
ふりがな文庫
“
柄
(
つか
)” の例文
天にも地にも、たった一人の肉親は、青竹を削って、
鍔
(
つば
)
と
柄
(
つか
)
だけを取付けた竹光で、背中から縫われ、獣のように死んでいるのです。
銭形平次捕物控:076 竹光の殺人
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
何故とはなく全身に
凝縮
(
ぎょうしゅく
)
した感じが起って、無意識に軍刀の
柄
(
つか
)
を押え、宇治は堤の斜面を
辷
(
すべ
)
りながらかけ降りた。高城がすぐ続いた。
日の果て
(新字新仮名)
/
梅崎春生
(著)
ものが大きいし、
拵
(
こしら
)
えが見事なので、その少年のそばへ寄った者は、すぐ少年の肩ごしに
柄
(
つか
)
の
聳
(
そび
)
えているその刀に目がつくのだった。
宮本武蔵:04 火の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
だからこの姿を発見した時も、彼は始は眼を疑って、
高麗剣
(
こまつるぎ
)
の
柄
(
つか
)
にこそ手をかけて見たが、まだ体は悠々と独木舟の舷に凭せていた。
素戔嗚尊
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
そのくせ刀は、濡れた
柄
(
つか
)
をこころもち斜めにして、あと言えばさと
鞘
(
さや
)
を抜け出るばかりに置いてあるのが、殺気を流すのであります。
大菩薩峠:17 黒業白業の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
萩乃へあてた手紙をふところへねじこんだ左膳、この声をうしろに聞いて、左手に濡れつばめの
柄
(
つか
)
をおさえ、尺取り横町を走り出た。
丹下左膳:02 こけ猿の巻
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
そして、もう真に夢中となつて、腰にさしてゐた捕虫網を抜き放つや、
柄
(
つか
)
も折れよとばかりに必死の思ひでゼーロンの尻を擲つた。
夜見の巻:「吾が昆虫採集記」の一節
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
斯
(
こ
)
うして約束すると、刀の
柄
(
つか
)
を
叩
(
たた
)
きながら云った信之助の声の方が、青年の話よりも強く鮮かに、もっと生々して耳に
蘇
(
よみがえ
)
って来た。
春いくたび
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
一旦
柄
(
つか
)
へかけた手の遣り場がないといふならば、おゝ、さうぢや。あれ、あの井戸端の柳の幹でも、すつぱりとお遣りなされませ。
番町皿屋敷
(新字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「この野郎!」そう思いながら、
脇差
(
わきざし
)
の
柄
(
つか
)
を、左の手で、グッと握りしめた。もう、一言云って見ろ、抜打ちに
斬
(
き
)
ってやろうと思った。
入れ札
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
「オホクサカの王は御命令を受けないで、自分の妹は同じほどの一族の敷物になろうかと言つて、大刀の
柄
(
つか
)
をにぎつて怒りました」
古事記:03 現代語訳 古事記
(旧字新仮名)
/
太安万侶
、
稗田阿礼
(著)
背中の心臓と
覚
(
おぼ
)
しきあたりに、
柄
(
つか
)
まで通ったジャックナイフ。その傷口からは、ぬれた着物を通してボトボトと血が垂れている。
黄金仮面
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
逆手
(
さかて
)
に取直し胸の
邊
(
あた
)
りへ押當て
柄
(
つか
)
も
徹
(
とほ
)
れと
刺貫
(
さしつらぬ
)
き止めの一刀引拔ば爰に命は
消果
(
きえはて
)
ぬ
實
(
げ
)
に世に不運の者も有者哉夫十兵衞は兄長庵の爲に命を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
けれどもこの兜には
前立
(
まえだて
)
がないのです。
柄
(
つか
)
が残っているので、前立は何んであるかと
詮索
(
せんさく
)
をして見ると、これは
独鈷
(
とっこ
)
であるということです。
幕末維新懐古談:68 楠公銅像の事
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
王子は恐ろしさに震え上がりそうなのを、じっと押しこらえて、剣の
柄
(
つか
)
を握りしめながら、一生懸命に叫び返してやりました。
夢の卵
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
よくも揃った非道な奴らだと、かッと
逆上
(
のぼ
)
せて気も
顛倒
(
てんどう
)
、一生懸命になって幸兵衛が
逆手
(
さかて
)
に持った刄物の
柄
(
つか
)
に手をかけて、
引奪
(
ひったく
)
ろうとするを
名人長二
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
これは
柄
(
つか
)
の
頭
(
あたま
)
が
槌
(
つち
)
の
頭
(
あたま
)
、あるひは
拳
(
こぶし
)
を
曲
(
ま
)
げたような
形
(
かたち
)
をしてゐるもので、
多
(
おほ
)
くは
金
(
きん
)
めっきをした
銅
(
どう
)
で
出來
(
でき
)
て、
非常
(
ひじよう
)
にきれいなものであります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
不意に小一郎は
左手
(
ゆんで
)
を上げ、鞘ぐるみ大刀を差し出したが、
柄
(
つか
)
へ手をやると二寸ほど抜き、パチンと鍔鳴りの音をさせた。
神秘昆虫館
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
ラ・プレッサの
家長
(
いへをさ
)
は既に治むる道を知り、ガリガーイオは
黄金裝
(
こがねづくり
)
の
柄
(
つか
)
と
鍔
(
つば
)
とを既にその家にて持てり 一〇〇—一〇二
神曲:03 天堂
(旧字旧仮名)
/
アリギエリ・ダンテ
(著)
したがって
刃
(
は
)
も薄かった。けれども鞘の
格好
(
かっこう
)
はあたかも六角の
樫
(
かし
)
の棒のように厚かった。よく見ると、
柄
(
つか
)
の
後
(
うしろ
)
に細い棒が二本並んで差さっていた。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
恋の会話は、かならずこのように陳腐なものだが、しかし、この一言が、若い男の胸を、
柄
(
つか
)
もとおれと突き刺した。
犯人
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
そこには三尺あまりもありそうにおもわれる黒い
鱗
(
うろこ
)
のぴかぴか光る胴体があった。武士の手は刀の
柄
(
つか
)
に往った。
山寺の怪
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
和泉の父親はすでに
太刀
(
たち
)
の
柄
(
つか
)
に手をかけ、呼吸次第で、
何時
(
いつ
)
かっと
閃
(
ひらめ
)
いて行くかも知れない、鋭い気配だった。
姫たちばな
(新字新仮名)
/
室生犀星
(著)
そして夫人が用心深く懐剣の
柄
(
つか
)
に手をかけながら立っているのを知ると、再び
慇懃
(
いんぎん
)
に両手の上へ
面
(
おもて
)
を伏せた。
武州公秘話:01 武州公秘話
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その骸骨は半ばはうしろの壁に
倚
(
よ
)
りかかり、半ばは紐でその
頸
(
くび
)
を支えていて、片手の指をそのそばに立ててある古い剣の
柄
(
つか
)
がしらの上に置いているのであった。
世界怪談名作集:16 鏡中の美女
(新字新仮名)
/
ジョージ・マクドナルド
(著)
ハツとしたやうに、此の時、刀の
柄
(
つか
)
に手を掛けて、もの/\しく見返つた。が、
汚
(
きたな
)
い屑屋に
可厭
(
いや
)
な顔して
妖魔の辻占
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
それから精巧に彫りをした刀剣の
柄
(
つか
)
が二本と、そのほか、思い出すことのできないたくさんの小さな品々。これらの貴重品の重量は三百五十ポンドを超えていた。
黄金虫
(新字新仮名)
/
エドガー・アラン・ポー
(著)
この
蟷螂
(
かまきり
)
少からず神経性だと見える。その利鎌を今度は
二
(
ふ
)
た振り右と左で
空
(
くう
)
に
反
(
かえ
)
す、その
柄
(
つか
)
を両膝に
確
(
しか
)
と立てると、張り肱の、何かピリピリした凄い
蟀谷
(
こめかみ
)
になる。
フレップ・トリップ
(新字新仮名)
/
北原白秋
(著)
ひゅうひゅうと云うのは、切られた気管の
疵口
(
きずぐち
)
から呼吸をする音であった。お蝶の
傍
(
そば
)
には、佐野さんが自分の
頸
(
くび
)
を深く
剜
(
えぐ
)
った、
白鞘
(
しらさや
)
の短刀の
柄
(
つか
)
を握って死んでいた。
心中
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
横ッ腹に伊達政宗という「くせ者」が凄い眼をギロツカせて刀の
柄
(
つか
)
に手を掛けて居る恐ろしい
境界
(
きょうがい
)
に
蒲生氏郷
(新字新仮名)
/
幸田露伴
(著)
「果し合をする迄さ。」と秀和は刀の
柄
(
つか
)
に手を掛けて、二
足
(
あし
)
三
足
(
あし
)
詰め寄つた。「そんな噂を触れ歩くからには、お前にも覚悟があるだらうから、さあ勝負をせい。」
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
彼女は、血まみれの守り刀を、投げ捨てたかったけれど、指が、
柄
(
つか
)
に食いついてしまってはなれない。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
月を負ひて其の顏は定かならねども、立烏帽子に
綾長
(
そばたか
)
の
布衣
(
ほい
)
を着け、
蛭卷
(
ひるまき
)
の太刀の
柄
(
つか
)
太
(
ふと
)
きを
横
(
よこた
)
へたる
夜目
(
よめ
)
にも
爽
(
さはや
)
かなる
出立
(
いでたち
)
は、何れ六波羅わたりの
内人
(
うちびと
)
と知られたり。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
ところが玄関に出てみると最初に見かけた通りの
大前髪
(
おおまえがみ
)
に水色襟、
紺生平
(
こんきびら
)
に白
小倉袴
(
こくらばかま
)
、細身の大小の
柄
(
つか
)
を
内輪
(
うちわ
)
に引寄せた若侍が、人形のようにスッキリと立っていた。
斬られたさに
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
これを見て取ったビレラフォンは、彼の剣を、そいつの残忍な心臓に、
柄
(
つか
)
も通れと突き立てました。結んだようになっていた蛇のような尻尾は、すぐにほどけました。
ワンダ・ブック――少年・少女のために――
(新字新仮名)
/
ナサニエル・ホーソーン
(著)
と、叫んで咄嗟に左にかわし、一気に土手下まで駈けおりて足場を踏み、
柄
(
つか
)
に手をかけてキッとふりむいて見ると、誰もいない。岡埜の
幟
(
のぼり
)
が風にはためいているばかり。
顎十郎捕物帳:10 野伏大名
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
彼は彎刀の
柄
(
つか
)
にすぐ手をやれるようにしたり、刀身が鞘からいつでも抜けるようにしたりした。
宝島:02 宝島
(新字新仮名)
/
ロバート・ルイス・スティーブンソン
(著)
同時に大刀の
柄
(
つか
)
頭で兵藤のひばらの辺に当て身を入れたらしい。兵藤タタタと右手の方へ倒れる。それと仙太が縁側に飛上って奥の吉村と睨み合って立ったのとが殆ど同時
斬られの仙太
(新字新仮名)
/
三好十郎
(著)
よくも
悪口雑言
(
あっこうぞうごん
)
を吐いて祭りの日に自分を
辱
(
はずか
)
しめたと言って、一人と一人で勝負をするから、その覚悟をしろと言いながら、刀の
柄
(
つか
)
に手をかけた。少年も負けてはいない。
夜明け前:02 第一部下
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
かねて用心のために背に負う
手裏剣
(
しゅりけん
)
用の小さい刀の
柄
(
つか
)
に手を掛け、近く来ると打つぞと大きな声でどなったが、老翁は一向に
無頓着
(
むとんちゃく
)
で、なお笑いながら傍へ寄ってくるので
山の人生
(新字新仮名)
/
柳田国男
(著)
おんみかぐろい
快楽
(
けらく
)
よ、七戒を破る蛮気をいとしさに混ぜ合はさうとて、悔恨に満ちたわたくし死刑執行人は、七本の
刃
(
やいば
)
を研ぎすまし、いと深いおんみの愛をとつて
柄
(
つか
)
となし
或るまどんなに:西班牙風の奉納物
(新字旧仮名)
/
シャルル・ピエール・ボードレール
(著)
親王はこれを聴いて烈火の如く怒り、剣の
柄
(
つか
)
に手を掛けて
驀然
(
ばくぜん
)
判事席に駆け寄り、あわや判事に打ち
懸
(
かか
)
らんず
気色
(
けしき
)
に見えた。判事総長は泰然自若、皇太子に向って
励声
(
れいせい
)
一番した。
法窓夜話:02 法窓夜話
(新字新仮名)
/
穂積陳重
(著)
自分の
擲弾兵
(
てきだんへい
)
を取って国王となし、諸王朝の
顛覆
(
てんぷく
)
を布告し、
一蹴
(
いっしゅう
)
してヨーロッパを変造し、攻め寄せる時には神の剣の
柄
(
つか
)
を執れるかの感を人にいだかしめ、ハンニバル、シーザー
レ・ミゼラブル:06 第三部 マリユス
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
即ち
利鎌
(
とがま
)
、
燒鎌
(
やきがま
)
の
柄
(
つか
)
といふ意味から、
束
(
つか
)
の
間
(
ま
)
の束に同音で以てつづけたものである。
愛国歌小観
(旧字旧仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
将校あるいは双眼鏡をあげ、あるいは長剣の
柄
(
つか
)
を握りて艦橋の風に向かいつつあり。
小説 不如帰
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
或る物は手にて
直
(
ただち
)
に
握
(
にぎ
)
りしなるべく、或る物には
柄
(
つか
)
を
括
(
くく
)
り付けしならん。
使用
(
しよう
)
の目的は
樹木
(
じゆもく
)
を
扣
(
たた
)
き
切
(
き
)
り、木材を扣き割り、
木質
(
ぼくしつ
)
を
刳
(
けづ
)
り取り、
獸
(
じう
)
を
斃
(
たふ
)
し、
敵
(
てき
)
を
傷
(
きづつ
)
くる等に在りしと思はる。
コロボックル風俗考
(旧字旧仮名)
/
坪井正五郎
(著)
と
言
(
い
)
ふ
樣
(
やう
)
な
文句
(
もんく
)
で、
隨分
(
ずゐぶん
)
奇妙
(
きめう
)
な、
恐
(
おそ
)
らくは
新派
(
しんぱ
)
先生
(
せんせい
)
一派
(
いつぱ
)
から
税金
(
ぜいきん
)
を
徴收
(
とり
)
に
來
(
き
)
さうな
詩
(
し
)
ではあつたが、
月
(
つき
)
明
(
あきらか
)
に、
風
(
かぜ
)
清
(
きよ
)
き
滊船
(
きせん
)
の
甲板
(
かんぱん
)
にて、
大佐
(
たいさ
)
軍刀
(
ぐんたう
)
の
柄
(
つか
)
を
後部
(
うしろ
)
に
廻
(
まは
)
し、
其
(
その
)
朗々
(
らう/\
)
たる
音聲
(
おんせい
)
にて
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
背の
角
(
かど
)
が
隅入
(
すみい
)
りで、厚みも多く形もよく、家の
記
(
しるし
)
なのかこれに
瓢箪
(
ひょうたん
)
模様が一個入れてあった。
柄
(
つか
)
もいい。だがそれだけではなかった。今まで見たどの
五徳
(
ごとく
)
よりも美しい形のものがあった。
思い出す職人
(新字新仮名)
/
柳宗悦
(著)
防禦
(
ぼうぎょ
)
の術にすぐれており、ホワイトプレーンズの戦いのとき、飛びくる弾丸を短剣で受けながし、弾丸が刃先をひゅうといってまわり、
柄
(
つか
)
にかるくあたるのをたしかに感じたとさえ言った。
スリーピー・ホローの伝説:故ディードリッヒ・ニッカボッカーの遺稿より
(新字新仮名)
/
ワシントン・アーヴィング
(著)
見れば真実や、縁側の、雨戸も障子も開け放し。足の跡こそ、付いて居れ。死骸は立派な覚悟の死。襟
寛
(
くつろ
)
げて、喉笛に、
柄
(
つか
)
までぐつと突込んだ、剃刀はお園がもの。これが自殺でなからふかと。
したゆく水
(新字旧仮名)
/
清水紫琴
(著)
“柄”の意味
《名詞》
(え)道具の握りの部分。
(がら)模様。
(出典:Wiktionary)
柄
常用漢字
中学
部首:⽊
9画
“柄”を含む語句
話柄
小柄
間柄
折柄
長柄
稼業柄
把柄
柄杓
手柄
人柄
足柄
大柄
談柄
肥柄杓
葉柄
刀柄
白柄
笑柄
青貝柄
横柄
...