夜見の巻よみのまき「吾が昆虫採集記」の一節「わがこんちゅうさいしゅうき」のいっせつ
私は夏の中頃から、鬼涙村の宇土酒造所に客となつて膜翅類の採集に耽つてゐた。私は碌々他人と口を利くこともなく、それで誰かゞ私の無愛想な顔を蜂のやうだと嘲つたが、全く私は眼玉ばかりをぎろ/\させて口を突らせ、蜂のやうに痩せて、あたりの野山を飛び …