つか)” の例文
彼は先づかく会釈して席に着きけるに、婦人は猶もおもてを示さざらんやうにかしらを下げて礼をせり。しかも彼はたやすくその下げたるかしらつかへたる手とを挙げざるなりき。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
涙ながらに手をつかへて、吾が足下あしもと額叩ぬかづく宮を、何為らんとやうに打見遣りたる貫一は
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
かくつぶやきつつ庭下駄を引掛ひきかけ、急ぎ行きて、その想へるやうに燈籠によらしめ、頬杖をつかしめ、空を眺めよと教へて、たもとしわめるをべ、すそもつれを引直し、さて好しと、すこし退きて姿勢を見るとともに
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)