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支
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つか
ふりがな文庫
“
支
(
つか
)” の例文
これが
猿
(
さる
)
の
方
(
ほう
)
に
近
(
ちか
)
いか、
人間
(
にんげん
)
の
方
(
ほう
)
に
近
(
ちか
)
いかは、
議論
(
ぎろん
)
があるにしても、とにかく
人間
(
にんげん
)
と
猿
(
さる
)
との
中間
(
ちゆうかん
)
の
動物
(
どうぶつ
)
といつて
差
(
さ
)
し
支
(
つか
)
へはありません。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
鍛冶
(
かぢ
)
は
其
(
そ
)
の
時
(
とき
)
仕事
(
しごと
)
が
支
(
つか
)
へて
居
(
ゐ
)
たが、それでも
恁
(
か
)
ういふ
職業
(
しよくげふ
)
に
缺
(
か
)
くべからざる
道具
(
だうぐ
)
といふと
何處
(
どこ
)
でもさういふ
例
(
れい
)
の
速
(
すみやか
)
に
拵
(
こしら
)
へてくれた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
知らん顔をしていれば
差
(
さ
)
し
支
(
つか
)
えないようなものの、ここの細君の掃除法のごときに至ってはすこぶる無意義のものと云わざるを得ない。
吾輩は猫である
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
江戸の
小咄
(
こばなし
)
にある、あの、「誰でもよい」と
乳母
(
うば
)
に打ち明ける恋いわずらいの令嬢も、この数個のほうの部類にいれて
差
(
さ
)
し
支
(
つか
)
えなかろう。
チャンス
(新字新仮名)
/
太宰治
(著)
……
川
(
かは
)
も
此
(
こ
)
の
邊
(
あたり
)
は
最
(
も
)
う
大溝
(
おほどぶ
)
で、
泥
(
どろ
)
が
高
(
たか
)
く、
水
(
みづ
)
が
細
(
ほそ
)
い。
剩
(
あまつさ
)
へ、
棒切
(
ぼうぎれ
)
、
竹
(
たけ
)
の
皮
(
かは
)
などが、ぐしや/\と
支
(
つか
)
へて、
空屋
(
あきや
)
の
前
(
まへ
)
は
殊更
(
ことさら
)
に
其
(
そ
)
の
流
(
ながれ
)
も
淀
(
よど
)
む。
松の葉
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
▼ もっと見る
昼間差し
支
(
つか
)
えがあって、乗馬できなかった日の夕刻は、旦那は晩飯をすましたのち、三太の手を引いて散歩することにしている。
南方郵信
(新字新仮名)
/
中村地平
(著)
この歳にお父様が、世話をする人があって、
小菅
(
こすげ
)
の監獄署の役人になられた。某省の属官をしておられたが、頭が
支
(
つか
)
えて進級が出来ない。
ヰタ・セクスアリス
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
ウヰルソンの義弟といふのは、
身
(
み
)
の
丈
(
たけ
)
七尺もあらうといふ
背高男
(
のつぽ
)
で、道を歩く時にはお
天道様
(
てんとうさま
)
が頭に
支
(
つか
)
へるやうに、心持
背
(
せな
)
を
屈
(
かゞ
)
めてゐた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「こんなに狭くちゃ、ほんとに寝苦しくて……。」大柄な浴衣を着たお銀は、手足の
支
(
つか
)
える蚊帳のなかに起きあがって、
唸
(
うな
)
るように
呟
(
つぶや
)
いた。
黴
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
それから向うの土手の上には何か
椎
(
しい
)
らしい木が一本斜めに枝を伸ばしていた。それは憂鬱そのものと言っても、少しも
差
(
さ
)
し
支
(
つか
)
えない景色だった。
夢
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
矢
(
や
)
がすりの
袷
(
あはせ
)
に、
赤
(
あか
)
の
帶
(
おび
)
の
竪矢
(
たてや
)
の
字
(
じ
)
を
背中
(
せなか
)
に
負
(
お
)
うた
侍女
(
じぢよ
)
が、
次
(
つぎ
)
の
間
(
ま
)
に
手
(
て
)
を
支
(
つか
)
へて、キッパリと
耳
(
みゝ
)
に
快
(
こゝろよ
)
い
江戸言葉
(
えどことば
)
で
言
(
い
)
つた。
死刑
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
この
人
(
ひと
)
は、
日本
(
につぽん
)
の
敍景
(
じよけい
)
の
歌
(
うた
)
の、まづはじめての
名人
(
めいじん
)
といつてもさし
支
(
つか
)
へのない
人
(
ひと
)
で、この
後
(
のち
)
は
次第
(
しだい
)
に、かうした
方面
(
ほうめん
)
にすぐれた
人
(
ひと
)
が
出
(
で
)
て
來
(
き
)
ます。
歌の話
(旧字旧仮名)
/
折口信夫
(著)
と手を
支
(
つか
)
えました。このような事は今までに一度もありませんでしたので、いつもお帰りの時には玄関にお立ちになって
押絵の奇蹟
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
切腹と覚悟したる文治は、諸役人の姿を見るより門外に飛出し、
後
(
あと
)
に続く罪人一同を制しながら、ピタリと両手を
支
(
つか
)
えて
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
私は生のキウリを噛りながらパンを頬張つてゐたが、妻の注視を享けると、食物が胸に
支
(
つか
)
へてしまつて、
嚥込
(
のみこ
)
むことが出来なくなり、ギヨツとした。
川を遡りて
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
何か
支
(
つか
)
えてでもいるのだろう? と、ぐッと力を入れて引いた拍子に、どしん! 重そうな音がして、大きな荷物が、赤い夜具と一緒に転がり出た。
青い風呂敷包
(新字新仮名)
/
大倉燁子
(著)
料理を講義する人でも、持っていないのだから、一般家庭によい鉋を持っている家は一応ないと考えて差し
支
(
つか
)
えない。
だしの取り方
(新字新仮名)
/
北大路魯山人
(著)
スタニスラウスは一層居丈高になつて、
吭
(
のど
)
に
支
(
つか
)
えて眠つてゐる詞を揺り醒ますやうに、カラの前の方を手まさぐつた。
祭日
(新字旧仮名)
/
ライネル・マリア・リルケ
(著)
「親分、あつしの智慧でも、其處までは行くんですがね、その先は障子へ鼻が
支
(
つか
)
へたやうに、一と足も動けなくなる」
銭形平次捕物控:285 隠れん坊
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
忽
(
たちま
)
ち
兎
(
うさぎ
)
は
戸
(
と
)
に
近
(
ちか
)
づき、それを
開
(
あ
)
けやうとして
中
(
なか
)
の
方
(
はう
)
へ
押
(
お
)
しましたが、
愛
(
あい
)
ちやんの
肘
(
ひぢ
)
が
緊乎
(
しツかり
)
支
(
つか
)
へて
居
(
ゐ
)
て
駄目
(
だめ
)
でした。
愛ちやんの夢物語
(旧字旧仮名)
/
ルイス・キャロル
(著)
ガッチリ弓を棚に掛け、
袴
(
はかま
)
両袖
(
りょうそで
)
をポンポンと払うと、静かに葉之助は射場を離れ、端然と殿の前へ手を
支
(
つか
)
えた。
八ヶ嶽の魔神
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
そして
鎮守
(
ちんじゅ
)
様が召し上がった後を
頂戴
(
ちょうだい
)
する分には、何も差し
支
(
つか
)
えはなかろう。うむ、そうだ。……それにしても、村の人達に見つかっては、
具合
(
ぐあい
)
が悪い………
ひでり狐
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
鎌倉時代より元弘年間にわたったものなら参考にして
差
(
さ
)
し
支
(
つか
)
えなかろうというので、楠公の服装はその辺のものを材料にして決めたようなことでありました。
幕末維新懐古談:68 楠公銅像の事
(新字新仮名)
/
高村光雲
(著)
「そなたの方にひどう
差
(
さ
)
し
支
(
つか
)
えることがあらば——誰か、是非とも逢わねばならぬ人でも待っておッて——」
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
解
(
わか
)
った。まだ胸は
支
(
つか
)
えているが、
兎
(
と
)
に
角
(
かく
)
お前を歓迎する。(間。)しかし何の用があって
此処
(
ここ
)
へ来たのだ。
痴人と死と
(新字新仮名)
/
フーゴー・フォン・ホーフマンスタール
(著)
が、格之介は、飯も
咽喉
(
のど
)
へは通らなかった。一杯食った飯が、もどしそうにいつまでも胸に
支
(
つか
)
えていた。
乱世
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
残して在た一つの紙包を、
箱丁
(
はこや
)
へと云て婢の前へ投るように出したゞけは、秋元の女房が与って力ある所で、お礼をと婢が促して小歌と共に改めて手を
支
(
つか
)
えた時
油地獄
(新字新仮名)
/
斎藤緑雨
(著)
討取
(
うちとり
)
幸之進殿に
手向
(
たむけ
)
進
(
まゐ
)
らせ
度
(
たし
)
一ツには
行末
(
ゆくすゑ
)
永
(
なが
)
き浪人の身の上母公の養育にもさし
支
(
つか
)
へるは
眼前
(
がんぜん
)
なり且敵を
大岡政談
(旧字旧仮名)
/
作者不詳
(著)
その間、私はおちついて机に向ふ餘裕を失つて、爲事の方もすつかり
支
(
つか
)
へてしまつた。其處へ、頼んでおいた或る友人から斯ういふ家があるがどうかと言つて來た。
樹木とその葉:04 木槿の花
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
「しかし学校は初めのうち丈けだよ。
展
(
の
)
したところで
天井
(
てんじょう
)
が
支
(
つか
)
えているから、大したことはない」
求婚三銃士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
師匠のこと、玉藻のこと、それが胸いっぱいに
支
(
つか
)
えているのを、彼は努めて忘れようとしていた。
玉藻の前
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
「——お待ちかねでいらっしゃる。何、そのままの支度でさし
支
(
つか
)
えありますまい。すぐ庭口へ」
鬼
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
◎
京都
(
きょうと
)
の某壮士或る事件を頼まれ、
神戸
(
こうべ
)
へ赴き三日
斗
(
ばか
)
りで、帰る
積
(
つも
)
りのところが十日もかかり、その上に示談金が取れず、
貯
(
たくわ
)
えの旅費は
支
(
つか
)
いきり、帰りの汽車賃にも
差支
(
さしつか
)
え
枯尾花
(新字新仮名)
/
関根黙庵
(著)
不足
(
ふそく
)
な
點
(
てん
)
は
適當
(
てきたう
)
に
外語
(
ぐわいご
)
を
以
(
もつ
)
て
補充
(
ほじう
)
するのは
差
(
さ
)
し
支
(
つか
)
へないが、ゆゑなく
舊來
(
きうらい
)
の
成語
(
せいご
)
を
捨
(
す
)
てゝ
外國語
(
ぐわいこくご
)
を
濫用
(
らんよう
)
するのは、
即
(
すなは
)
ち
自
(
みづか
)
らおのれを
侮辱
(
ぶじよく
)
するもので、
以
(
もつ
)
ての
外
(
ほか
)
の
妄擧
(
まうきよ
)
である。
国語尊重
(旧字旧仮名)
/
伊東忠太
(著)
「奥さん、かうやつて見ると、冬の最中でなければ、ソヴィエト行きは
差
(
さ
)
し
支
(
つか
)
へないと思ひますな。——しかし興味の有るのは、ムッシュウ・ジッドの各年代の健康状態です。」
亜剌比亜人エルアフイ
(新字旧仮名)
/
犬養健
(著)
部屋の前を
通越
(
とおりこ
)
して台所へ行くか、それとも
万一
(
ひょっと
)
障子が
開
(
あ
)
くかと、
成行
(
なりゆき
)
を待つ
間
(
ま
)
の一
分
(
ぷん
)
に心の臓を縮めていると、
驚破
(
すわ
)
、障子がガタガタと……
開
(
あ
)
きかけて、グッと
支
(
つか
)
えたのを其儘にして
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
立てば頭が
支
(
つか
)
える、横になっても、足を楽々延ばせない、万里見透しの
大虚空
(
おおぞら
)
の中で、こんな見すぼらしい小舎を作って、人間はその中に囚われていなければならない、戸外には夜に入ると
奥常念岳の絶巓に立つ記
(新字新仮名)
/
小島烏水
(著)
グッと
癪
(
しゃく
)
に
障
(
さわ
)
って男の
襟頸
(
えりくび
)
を引っ掴んで力任せに投げ出したんです、するとちょうど
隧道
(
トンネル
)
に
支
(
つか
)
えた黒煙が風の吹き廻しでパッと私たちの顔へかかったんでどうなったか一切夢中でしたけれども
駅夫日記
(新字新仮名)
/
白柳秀湖
(著)
なあふみや、金子のような貧乏人の子なら差し
支
(
つか
)
えないが、かりにもこれからは岩下の子として学校にあがるんだ。そのつもりでしっかり勉強するんだぞ。百姓の子にまけたり、恥かしいことを
何が私をこうさせたか:――獄中手記――
(新字新仮名)
/
金子ふみ子
(著)
「それが、
兜
(
かぶと
)
と
幌骨
(
ほろぼね
)
なんだ」と云って、法水は
母衣
(
ほろ
)
を取り
除
(
の
)
け、太い
鯨筋
(
げいきん
)
で作った幌骨を指し示した。「だって、易介がこれを通常の形に着ようとしたら、第一、背中の瘤起が
支
(
つか
)
えてしまうぜ。 ...
黒死館殺人事件
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
バクテリヤを植物だ、アミーバーを動物だとするのは、ただ研究の
便宜
(
べんぎ
)
上、勝手に名をつけたものである。動物には意識があって食うのは気の毒だが、植物にはないから差し
支
(
つか
)
えないというのか。
ビジテリアン大祭
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
下を潜れば荷物が
支
(
つか
)
える。
僅
(
わずか
)
の距離を登るのに一時間を費した。果して測量の櫓が現れて来る。頻りに
踠
(
もが
)
いている南日君を待ち合せて、三時に櫓の下で休みながら昼飯の残りとビスケットを平げた。
奥秩父の山旅日記
(新字新仮名)
/
木暮理太郎
(著)
わたくしは息が出来ない位で、体は慄えて、詞は
支
(
つか
)
えます。
ファウスト
(新字新仮名)
/
ヨハン・ヴォルフガング・フォン・ゲーテ
(著)
私は胸の
支
(
つか
)
えがいっぺんにおりて、嬉しさにふるえた。
ある偃松の独白
(新字新仮名)
/
中村清太郎
(著)
支
(
つか
)
える、支える、松の木に、
木槿
(
むくげ
)
も
邪魔
(
じやま
)
だよ
畑の祭
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
しかしとたんに胸のところで
支
(
つか
)
えました。
怪塔王
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
そこで
土間
(
どま
)
へ
手
(
て
)
を
支
(
つか
)
へて、「
何
(
ど
)
ういふ
御修行
(
ごしゆぎやう
)
が
積
(
つ
)
んで、あのやうに
生死
(
しやうじ
)
の
場合
(
ばあひ
)
に
平氣
(
へいき
)
でお
在
(
いで
)
なされた」と、
恐入
(
おそれい
)
つて
尋
(
たづ
)
ねました。
旅僧
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
「
俺
(
お
)
ら
一錢
(
ひやく
)
もねえから」と
卯平
(
うへい
)
はこそつぱい
或
(
ある
)
物
(
もの
)
が
喉
(
のど
)
へ
支
(
つか
)
へたやうにごつくりと
唾
(
つば
)
を
嚥
(
の
)
んだ。
彼
(
かれ
)
の
目
(
め
)
の
皺
(
しわ
)
が
餘計
(
よけい
)
にぎつと
緊
(
しま
)
つた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
反橋
(
そりはし
)
を渡る所で、先の人が何かに
支
(
つか
)
えて一同ちょっととまった機会を利用して、自分はそっと岡田のフロックの尻を引張った。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
役人とか会社の重役とかの弁当箱には是非書いておきたいやうな文句だが、
普通
(
たゞ
)
の人には一寸
咽喉
(
のど
)
に
支
(
つか
)
へさうで
可
(
い
)
けない。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
支
常用漢字
小5
部首:⽀
4画
“支”を含む語句
支那人
支那
支障
支柱
突支棒
支流
差支
支配人
一支
支棒
支度
御差支
気支
突支
切支丹宗
支出
支那海
支那街
切支丹
干支
...