“両袖”のいろいろな読み方と例文
旧字:兩袖
読み方割合
りょうそで80.0%
もろそで8.0%
りやうそで4.0%
りようそで4.0%
モロソデ4.0%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
十月末の風のない朝だ。空も海も青々として、ひきしまるような海の空気は、両袖りょうそでで思わず胸をだくほどのひやっこさである。
二十四の瞳 (新字新仮名) / 壺井栄(著)
郎女は、しづかに両袖もろそでを胸のあたりに重ねて見た。家に居時よりは、れ、しわ立つてゐるが、小鳥のはねとはなつて居なかつた。手をあげて唇にさはつて見ると、喙でもなかつた。
死者の書:――初稿版―― (新字旧仮名) / 折口信夫(著)
桃の咲きはじめてゐる、そして家鴨あひるの泳いでゐる徐州あたりの川べりで、手でも洗つて休んでゐるところだらう、両袖りやうそでをたくし上げて小ざつぱりと立つてゐる姿なのだ。
南京六月祭 (新字旧仮名) / 犬養健(著)
からだひとつ消えよかしと両手を肩にすがりながら顔もてその胸を押しわけたれば、えりをばきひらきたまひつつ、の下にわがつむり押入おしいれて、両袖りようそでうちかさねて深くわがせなおおたまへり。
竜潭譚 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
郎女は、シヅかに両袖モロソデを、胸のあたりに重ねて見た。家に居た時よりは、れ、皺立シワダつてゐるが、小鳥のハネには、なつて居なかつた。手をあげて唇に触れて見ると、クチバシでもなかつた。
死者の書 (新字旧仮名) / 折口信夫(著)