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一錢
時に
繰返すやうだけれども、
十圓に
對し
剩錢一錢なるが
故に、
九圓九十九錢は
分つたが、また
何だつて、
員數を
細く
刻んだのであらう。
おとつゝあ
等そんな
錢なんざ
一錢だつて
持つてねえから、
鹽だつて
容易なもんぢやねえや、そんな
餘計なもの
何になるもんぢやねえ
「
俺ら
一錢もねえから」と
卯平はこそつぱい
或物が
喉へ
支へたやうにごつくりと
唾を
嚥んだ。
彼の
目の
皺が
餘計にぎつと
緊つた。