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空屋
猶其袂から
手巾を
取出して、声立てさせじと口に
喰ませた。
斯くして冬子は、
彼の
空屋まで
手取り
足取りに担ぎ去られたのであった。
……
川も
此の
邊は
最う
大溝で、
泥が
高く、
水が
細い。
剩へ、
棒切、
竹の
皮などが、ぐしや/\と
支へて、
空屋の
前は
殊更に
其の
流も
淀む。
隣家は津田という小児科の医者、その隣りが
舟大工、その隣りが
空屋であったが、近頃其所へ越して来た
母娘の人があった。