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憊
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つか
ふりがな文庫
“
憊
(
つか
)” の例文
追えば追うほど兎種々に走り
躱
(
かく
)
れて犬ために身
憊
(
つか
)
れ心乱れて少しも主命を用いず、故に狩猟の途上兎を見れば中途から
還
(
かえ
)
る事多しと
十二支考:02 兎に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
表階子
(
おもてばしご
)
の口に
懸
(
かか
)
れる大時計は、病み
憊
(
つか
)
れたるやうの鈍き響を
作
(
な
)
して、廊下の
闇
(
やみ
)
に
彷徨
(
さまよ
)
ふを、数ふれば
正
(
まさ
)
に十一時なり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
迷宮の
中
(
うち
)
にあつて「美」の所在を争ひ、右に走り左に馳せ、東に疲れ西に
憊
(
つか
)
るゝ者、
比々
(
ひゝ
)
皆な是なり。
松島に於て芭蕉翁を読む
(新字旧仮名)
/
北村透谷
(著)
夜は最終の同じガタ馬車で五里の石ころ道を搖られて歸る父は、さうした毎日の病院通ひにへと/\に
憊
(
つか
)
れてゐること、扁桃腺まで併發して、食物は一切咽喉を通らず
崖の下
(旧字旧仮名)
/
嘉村礒多
(著)
お島は死場所でも捜しあるいている宿なし女のように、橋の
袂
(
たもと
)
をぶらぶらしていたが、時々
欄干
(
らんかん
)
にもたれて、争闘に
憊
(
つか
)
れた体に
気息
(
いき
)
をいれながら、ぼんやり
彳
(
たたず
)
んでいた。
あらくれ
(新字新仮名)
/
徳田秋声
(著)
▼ もっと見る
鱒魚はかように瀑布と悪戦苦闘を続けて
労
(
つか
)
れに
憊
(
つか
)
れて、到底瀑布を登ることが出来ぬと断念して、他に上るべき水路を求めている、人間の猿智慧はこんな山間でも悪用されていて
平ヶ岳登攀記
(新字新仮名)
/
高頭仁兵衛
(著)
着物に鈎裂を
拵
(
こしら
)
え身体中蜘蛛の巣だらけになってがッかりと
憊
(
つか
)
れて帰って来る。
平賀源内捕物帳:長崎ものがたり
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
単純な
充実
(
じゅうじつ
)
した生活をする農家が今
勝誇
(
かちほこ
)
る麦秋の
賑合
(
にぎわい
)
の中に、気の多い美的百姓は肩身狭く、
憊
(
つか
)
れた心と
焦々
(
いらいら
)
した気分で自ら己を
咀
(
のろ
)
うて居る。さっぱりと身を捨てゝ真実の農にはなれず。
みみずのたはこと
(新字新仮名)
/
徳冨健次郎
、
徳冨蘆花
(著)
ものうい
憊
(
つか
)
れの
翳
(
かげ
)
を、
嬋娟
(
せんけん
)
たる容姿のどこかに見せながら。
悟浄出世
(新字新仮名)
/
中島敦
(著)
憊
(
つか
)
るる色は更になし
草わかば
(旧字旧仮名)
/
蒲原有明
(著)
今一足で出立点と言うときたちまち野猪の前へ躍び下りる、かくすること数多回一度も野猪の勝とならなんだので憤りと
憊
(
つか
)
れで死んでしまったとある。
十二支考:02 兎に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
車は
駛
(
は
)
せ、景は移り、境は転じ、客は改まれど、貫一は
易
(
かは
)
らざる
他
(
そ
)
の
悒鬱
(
ゆううつ
)
を
抱
(
いだ
)
きて、
遣
(
や
)
る方無き五時間の
独
(
ひとり
)
に
倦
(
う
)
み
憊
(
つか
)
れつつ、始て
西那須野
(
にしなすの
)
の駅に下車せり。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
かかることありし翌日は
夥
(
おびただし
)
く脳の
憊
(
つか
)
るるとともに、心乱れ動きて、その
憤
(
いか
)
りし
後
(
のち
)
を憤り、悲みし後を悲まざれば
已
(
や
)
まず、為に必ず一日の勤を廃するは彼の病なりき。
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
その先祖犬
山姥
(
やまうば
)
を殺し自分耳にその血を塗って後日の証としたのが今に
遺
(
のこ
)
ったと言う、米国住黒人の談に昔青橿鳥その長子を鷹に
攫
(
つか
)
み去られ追踪すれど見当らず
憊
(
つか
)
れて野に臥す。
十二支考:01 虎に関する史話と伝説民俗
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
皆人の熟知する通り。行商人、炎天に赤帽の荷を
担
(
にな
)
い歩み
憊
(
つか
)
れて猴多き樹下に止まり、荷箱を開いて赤帽一つ取り出し
冒
(
かぶ
)
って眠るを見た猴ども、樹より降りて一々赤帽を冒り樹に登る。
十二支考:07 猴に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
巨人に根を肩にさせ自分は枝の
岐
(
また
)
に坐っているのを巨人一向気付かず一人して大木を担げ
行
(
ある
)
いたので
憊
(
つか
)
れてしまった、それから巨人の家に往って宿ると縫工夜間寝床に臥せず室隅に臥す
十二支考:02 兎に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
憊
漢検1級
部首:⼼
16画
“憊”を含む語句
困憊
老憊
疲憊
疲労困憊
疲弊困憊
困憊彷徨
困憊期
敗殘困憊
旅憊
気憊
疾憊
病憊
衰憊
飢餓困憊