かり)” の例文
旧字:
『華麗なワルツ(作品一八の一)』とメンデルスゾーンの『かりの歌』の腹合せ、ブランスウィック十二インチの『ハンガリー狂詩曲第二』
「そうだ。ここ久しく戦に忙しく、狩猟に出たこともない。天子を許田きょでんかりに請じて、ひとつ諸人の向背こうはいを試してみよう」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
の末に、臨海の人が山に入ってかりをしていた。彼は木間このまに粗末の小屋を作って、そこに寝泊まりしていると、ある夜ひとりの男がたずねて来た。
ひるかりしてけものしよくとし、夜は樹根きのね岩窟がんくつ寝所ねどころとなし、生木なまきたいさむさしのぎかつあかしとなし、たまゝにて寝臥ねふしをなす。
元よりかずならぬ犬なれども、かりには得たる処あれば、近所の犬ども皆恐れて、某が前に尾をれぬ者もなければ、天下にわれより強き犬は、多くあるまじと誇りつれど。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
すると主人はその犬のブリードやら血統やら、時々かりに連れて行く事や、いろいろな事を話し始めた。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
ここには石浦というところに大きいやしきを構えて、田畑に米麦を植えさせ、山ではかりをさせ、海ではすなどりをさせ、蚕飼こがいをさせ、機織はたおりをさせ、金物、陶物すえもの、木の器、何から何まで
山椒大夫 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
かりに行けば雀をうったより雁をとった方がエライと云う位の了簡で、うまく大金をかすめ取れば心ひそかほこって居るとは、実に浅ましい事であるのみならず、本来私の性質がソレ程卑劣とも思わない
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ある猟人かりうどが、やまかりにゆきますと、何処どこからか鸚鵡あうむ啼声なきごゑきこえます。こゑはすれども姿すがたえぬ、猟人かりうど途方とはうにくれて「おまへはどこにゐる」とひますと「わたしはこ〻にゐる」とこたへた。
きゃっきゃさわいでかりにとでかけた。
まざあ・ぐうす (新字新仮名) / 作者不詳(著)
きそひかりする月は来にけり
植物知識 (新字新仮名) / 牧野富太郎(著)
野山のかりきしのち
一握の砂 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
「いいえ、もうお恥かしい山家暮し、冬はかりをし、夏はすみまきを里に出して、細々すごしている親子でござります」
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
元より養ふ人なければ、食物も思ふにまかせぬにぞ、心ならずも鷲郎は、なれわざとて野山にかりし、小鳥などりきては、ようやくその日のかてとなし、ここに幾日を送りけり。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
郡の顧旃こせんかりに出て、一つの高い岡にのぼると、どこかで突然に人の声がきこえた。
私が中津なかつ藩に対する筆法は、金の辞退どころかただ取ることばかり考えて、何でも構わぬ、取れるけ取れとう気で、一両でも十両でもうまく取出せば、何だかかりいっ獲物えもののあったような心持こころもちがする。
福翁自伝:02 福翁自伝 (新字新仮名) / 福沢諭吉(著)
ながのいちんち、かりをしてまわり
まざあ・ぐうす (新字新仮名) / 作者不詳(著)
「皇叔よ。今日のかりを、ちんのなぐさみと思うな。朕は、皇叔が楽しんでくれれば共にうれしかろう」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
或日鷲郎は、食物を取らんために、午前ひるまえよりかりに出で、黄金丸のみ寺に残りてありしが。
こがね丸 (新字旧仮名) / 巌谷小波(著)
敬業は射術ばかりでなく、馬を走らせても消え行くように早く、旧い騎手のりても及ばない程であった。英公はかりを好んだので、あるとき敬業を同道して、森のなかへはいってけものを逐い出させた。
またもいちんちかりをしてまわり
まざあ・ぐうす (新字新仮名) / 作者不詳(著)
かりへ出よとか。田猟は聖人の楽しみとせぬところ。朕も、それ故に、猟は好まぬ」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
劉はかりを好んで、常に鉄砲を持ちあるいているので、それを聞いて笑った。
唐の寧王ねいおうちょ県のさかいかりに出て、林のなかで獲物えものをさがしていると、草の奥に一つのひつを発見した。ふたの錠が厳重におろしてあるのを、家来に命じてこじ明けさせると、櫃の内から一人の少女が出た。
ことにことしの秋はよくみのり、国中豊楽を唱えておりますれば、この際、各地の地頭官吏をはじめ、田吏でんりにいたるまでを、襄陽じょうようにあつめて、慰労のかりを催し大宴を張り、もってご威勢を人民に示し
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)