かり)” の例文
何でも襖障子ふすましやうじ一面に葦とかりとをき、所々にかり羽叩はばたきして水を飛揚とびあがつてゐるのをあしらつた上、天井にはかりの飛ぶのを下から見上げた姿に、かりの腹と翼の裏をいてつたといふので名高かつた。
其音そのおとかり鳴聲なきごゑによくてゐるのを二人ふたりとも面白おもしろがつた。あるときは、平八茶屋へいはちぢややまで出掛でかけてつて、そこに一日いちにちてゐた。さうして不味まづ河魚かはうをくししたのを、かみさんにかしてさけんだ。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
かりゆくかたや白子しろこ若松 翁
俳句への道 (新字新仮名) / 高浜虚子(著)
まじるゆふべかりこゑ
孔雀船 (旧字旧仮名) / 伊良子清白(著)
竹内栖鳳氏は東本願寺の天井に、天人飛行てんにんひぎやうの絵をく約束で、もう幾年といふもの考へ込んでゐるが、まだ一向に出来上らない。往時むかしあるところに狩野永徳のいた空飛ぶかりといふのがあつた。