狩猟かり)” の例文
旧字:狩獵
「江川のは狩猟かりが好きなのぢやない、あれは病気なのだ、病気にも色々あるが、態々わざ/\あんな殺生病にかゝるなざ気の毒なもんだ。」
あり余る若さとうつのやりばとして、宮はよく洛外へ狩猟かりに出た。供にはいつも吉野、十津川いらいの猛者もさを大勢つれていた。
台所を覗いてみると、冷飯ひやめしを弁当に詰めて行った形跡があるという訳で、初めて狩猟かりに行った事がわかったのだそうです
復讐 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
覚えてらしって? そら、あなたが狩猟かりにおいでになって、弟の合撒児カッサルさまと御一緒に、妾の父の家へ水を飲みにお寄りになったことがありましたわね。
たきぎを燃やしほのおを見詰めじっと思案にふけるばかりで、楽しい酒宴の座へも出ず好きな狩猟かりさえ止めてしまった。
八ヶ嶽の魔神 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
しかして三年この池のほとりに二人は安楽に暮した。しかるに一日夫は狩猟かりに出かけたり家に帰えらなかった。
森の妖姫 (新字新仮名) / 小川未明(著)
そのうへに叔母さんは、自分の大好きな慰みを止めてしまつて、狩猟かりにも出かけなくなつた。たまに出かけることがあつても、鷓鴣と間違へて烏を射つたりした。
大伴おおとも御行みゆき、粗末な狩猟かり装束しょうぞくで、左手より登場。中年男。荘重そうちょうな歩みと、悲痛ひつうな表情をとりつくろっているが、時として彼のまなざしは狡猾こうかつな輝きを露呈ろていする。………
なよたけ (新字新仮名) / 加藤道夫(著)
それからトザーの『土耳其高地の研究レサーチス・イン・ゼ・ハイランズ・オヴ・ターキー』巻二に、近世リチュアニア、セルビア、ギリシア等で、ドラコンは竜の実なく一種の巨人おおびと采薪たきぎとり狩猟かりを事とし、人肉を食うものとなり居るも
我々日本犬は高時殿以降屡々角闘を奨励され、早くから田猟でんれふにも用ひられたから他の野蛮国の産とは違つて、躰格も立派なら性質も怜悧で、殊に勇気があつて力すぐれ、喧嘩と狩猟かりに極めて名人である。
犬物語 (新字旧仮名) / 内田魯庵(著)
狩猟かり一隊ひとむれが野営を始めるとき
黒死館殺人事件 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
第一線に近い岡崎を退き、わざと浜松に、かんをめでて、大坂のことなど耳から遠い顔をしていた家康は、ことしになって、よく狩猟かりに出ていた。
新書太閤記:11 第十一分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この車塚の郷民は、農を一方に女は巫女みこ、男は狩猟かり川漁かわがりをし、別世界をなして住んでいた。
血煙天明陣 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
ひまさへあると、手製の麺麭パンを腰にさげて(太郎左衛門はまさかの時米の飯なぞはまだるつこくて堪らないからと言つて、態々わざ/\麺麭を焼く法を習ひ覚えたものだ)狩猟かりに出掛けた。
犬ずきで狩猟かりずきなロシアの貴族が、犬番や短気な猟師をつれて、森の方へ近づいて行くと、今しも森の中から勢子に追いたてられた兎が飛びだして来て、ハッとした瞬間にその貴族は、乗った馬と
「……ヘエ……どうしてそう突然に狩猟かりに出かけたのでしょう」
復讐 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
越後国上郷かみのごうの生れで、牛飼いの子だという。彼の十五、六歳のとき、狩猟かりか何かの出先から謙信が、その異形いぎょうを見て連れかえり、宇佐美駿河守の組へ
上杉謙信 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「此方は、荊州九軍の大将軍、また明日は、大宴に続いて、国中の武士を寄せ、狩猟かりを催すことになっておる。大兵はその勢子せこだ。何の不審があるか」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
夜明けとともに城を出て、伊吹山いぶきやまのほうへ駈けて行った。狩猟かりにということであったが、鷹も犬も連れていない。
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たまを失ってから悔いてもおよぶまい。そちはわが児が瀕死ひんしの日でも、狩猟かりの友が誘いにきたら共に家を出るか」
三国志:05 臣道の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「さきほどのがさつ者は、実は、せがれでございますが、あのとおり明け暮れ狩猟かりばかりして、少しも農耕や学問はいたしません。どうも手におえない困り者で」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「天子さまのお狩猟かりで、今朝は暗いうちに宮門をお出ましだ。そんなことはいっておれん。早くしてくれ」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
早々、馬をとばして、陣々に触れ、趙雲が通るとも、矢を放つな、石弩せきどを射るな、ただ一騎の敵、狩猟かりするように追い包み、生けってこれへ連れてこいと伝えろ!
三国志:07 赤壁の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「彼の部下はそっくり残っているし、昨日も変った容子はなかった。狩猟かりにでも出かけたのだろう」
三国志:10 出師の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
宮も、随身たちも、それからの小半日は、急遽、狩猟かりの出先からもどった野駈けの姿のままだった。
かつて魏王が大石山だいせきざん狩猟かりをなしたとき、一匹の大きな虎がたちまち魏王へ向って飛びかかって来たのを、孫礼が、いきなりたてとなって、大虎に組みつき、剣をもって
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「きょうの狩猟かりに、我は、馬を得んとして、いのこを獲た。次の狩猟かりには、仲達という稀代なけもの生擒いけどるだろう。汝ら帰って司馬懿に告げよ。兵法の学びは少しは進んでおるかと」
三国志:11 五丈原の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
この叔父は、今でこそ、狩猟かりをして生活たつきをたてているが、若いうちは、血の中で育った戦国武者の果てだ。今でも頑丈な骨ぐみをつつんでいる皮膚には、戦場けの色が残っている。
宮本武蔵:02 地の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
山支度はほぼ狩猟かりいでたちのそれに近い。弓の代りに山杖を持っただけである。
私本太平記:11 筑紫帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
まるで日帰りの狩猟かりから帰る人のような身軽さに、都の人々はあきれていた。
新書太閤記:03 第三分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おう、これは柴家の大旦那でしたか。今日もまた、狩猟かりへおでましで」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あなたは狩猟かりいでたち、菊王という侍童じどうを連れ、船中、ひたすら御書見だったが、そのうち乗合いの雑人輩ぞうにんばら世事話せじばなしに興じられて、彼らと共に酒汲み交わしなどなされ、いと面白げにおわしたが。
私本太平記:03 みなかみ帖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
たかすえを八人の鷹匠にすえさせ、供の近習も多くは騎馬で、愛智川えちがわの近くまで遠乗りをかねて出かけた。信長の好きは、騎馬、角力、放鷹ほうよう、茶道といわれているくらい、狩猟かりは趣味のひとつだった。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「おお、おお。柴家さいけの大旦那が、狩猟かりからお帰りとみえる」
新・水滸伝 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
と、武蔵野に狩猟かりして獲たという雉子きじ五百羽を贈って来た。
新書太閤記:06 第六分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「いえいえ狩猟かりだけなら、まだようございますが、村のあぶれ者とばくちはするし、酒、女、何でも止めどのない奴ですから。……時には、わが子ながら、あいそが尽きることも、一度や二度ではございません」
三国志:06 孔明の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
大塔ノ宮は、狩猟かり藺笠いがさひょうの皮のはばき、弓を手に。
「よせよせ。狩猟かりなどつまらん」
新書太閤記:05 第五分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「郊外へ狩猟かりに行く」
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
狩猟かりに参る。
新書太閤記:02 第二分冊 (新字新仮名) / 吉川英治(著)