銃丸たま)” の例文
僕は少年心こどもごころに少し薄気味悪く思ったが、松の下に近づいて見ると角のないやつのさまで大きくない鹿で、もも銃丸たまを受けていた。
鹿狩り (新字新仮名) / 国木田独歩(著)
轟然ごうぜんたる銃声が聞えたと思うよりも早く、ピューッと銃丸たまが二人の耳許みみもとかすめて、廊下の奥の硝子窓をガチャーンと破壊した。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ついがしてしまった、もっとも羚羊は跛足を引いていたから、たしかに銃丸たまが、足へ当ったろうとは後で言っていたが。
白峰山脈縦断記 (新字新仮名) / 小島烏水(著)
ともに立派な人物であり非常な秀才である二人は明日銃丸たまの遣り取りをした後で、きっとお互いの真価をさとって、仲のいい友達になるだろうから——とも言ってやりたかったのだ。
決闘 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
課長はそういって、卓子テーブルの陰からいだした。彼は銃丸たまの中をくぐりぬけながら、力戦している警官隊の方へ進んでいった。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
専務車掌室のドアを細目にひらいて、消音ピストルを打ったと考えてはどうであるか。それでは銃丸たまは、かおるの左胸さきょう側面そくめんから射つことになる。
省線電車の射撃手 (新字新仮名) / 海野十三(著)
老婆心ろうばしんに申上げたいことは、あの現場附近を広く探すことですな。もしあの場合銃丸たまが乗客にあたらなかったとしたら、銃丸は窓外へ飛び出すだろうと思うんです。
省線電車の射撃手 (新字新仮名) / 海野十三(著)
ダダダダダッと銃丸たまは天井に向けられ、シャンデリアに当って、硝子ガラスの砕片がバラバラと墜ちてきた。
恐怖の口笛 (新字新仮名) / 海野十三(著)
銃丸たまは車内で射ったものですか、それとも車外から射ちこんだものなんですか」
省線電車の射撃手 (新字新仮名) / 海野十三(著)
機関銃を離れた銃丸たまのように、両人目懸けて落下していたのだった。
西湖の屍人 (新字新仮名) / 海野十三(著)