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耐
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たま
ふりがな文庫
“
耐
(
たま
)” の例文
かうした機会の度毎に繰り返される愚痴は、何時でも
極
(
きま
)
つてゐた。けれど、同じ事だけに逸子はそれを聞くのが
耐
(
たま
)
らなく嫌やだつた。
惑ひ
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
「アッハハハ、思った通りだ。アッハハハ、お手の筋だ。
肚
(
はら
)
の皮のよじれる話、飛んだ浮世は猿芝居だ。アッハハハ、こりゃ
耐
(
たま
)
らぬ」
村井長庵記名の傘
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
それがさ、一件じゃから
耐
(
たま
)
らぬて、乗るとこうぐらぐらして柔かにずるずると
這
(
は
)
いそうじゃから、わっというと
引跨
(
ひんまた
)
いで腰をどさり。
高野聖
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
「然らば、そなたのほうで逃げろ。先方を逃がすのではない。殺してはならぬ。殺されても
耐
(
たま
)
らぬから、そちのほうで逃げるのじゃ」
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
お政だけは笑ひもせず物も言はなかつた。私は小児心にも、何だか自分の威厳を
蹂躙
(
ふみつけ
)
られる様な気がして、不快で不快で
耐
(
たま
)
らなかつた。
刑余の叔父
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
▼ もっと見る
先生が筆を加えて私の文は行方不明になった処も大分あったが、兎も角も自分の作が活字になったのが嬉しくて嬉しくて
耐
(
たま
)
らない。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
腕から肩へ巻いた繃帯が胸を圧して、寝苦しくて
耐
(
たま
)
らないのに、フォイツの鼾がまた底意地わるく耳について、いまいましくてならない。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
爺
(
じい
)
やの
方
(
ほう
)
では一
層
(
そう
)
枯
(
か
)
れ
切
(
き
)
ったもので、ただもううれしくて
耐
(
たま
)
らぬと
言
(
い
)
った
面持
(
おももち
)
で、
黙
(
だま
)
って
私達
(
わたくしたち
)
の
様子
(
ようす
)
を
打
(
う
)
ち
守
(
まも
)
っているのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
実に
耐
(
たま
)
らない心持になることがあるんですもの、この間逢ふ前まではそんなでもなかつたのだけれど、あれから急に——さうね
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
疲れるにつれて、こんどは
耐
(
たま
)
らなく
遣
(
や
)
る
瀬
(
せ
)
なくなって来た。わっと泣きたいような、いきなり往来の真ン中にぶっ倒れてみたいような……。
夢鬼
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
彼は、これ程の大事件を知らぬ顔に、静まり返っている世間が、不思議で
耐
(
たま
)
らなかった。「ひょっとしたら、俺は夢を見ているのではないか」
灰神楽
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
山三郎の乗って居るのは
小鰺送
(
こあじおく
)
りと云う小さな船だから
耐
(
たま
)
りません、船は打揚げ
打下
(
うちおろ
)
されまして、揚る時には二三間
宛
(
ずつ
)
も空中へ飛揚るようで
松の操美人の生埋:02 侠骨今に馨く賊胆猶お腥し
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
木
(
き
)
の
根
(
ね
)
草
(
くさ
)
の
根
(
ね
)
が
邪魔
(
じやま
)
をして、
却々
(
なか/\
)
掘
(
ほ
)
り
難
(
にく
)
い。それに
日
(
ひ
)
は
當
(
あた
)
らぬ。
寒
(
さむ
)
くて
耐
(
たま
)
らぬ。
蠻勇
(
ばんゆう
)
を
振
(
ふる
)
つて
漸
(
やうや
)
く
汗
(
あせ
)
を
覺
(
おぼ
)
えた
頃
(
ころ
)
に、
玄子
(
げんし
)
は
石劒
(
せきけん
)
の
柄部
(
へいぶ
)
を
出
(
だ
)
した。
探検実記 地中の秘密:07 末吉の貝塚
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
(うぬッ、重武なんかに負けて
耐
(
たま
)
るものか。そやつの考え出した事が、俺に考えつかないなんて、そんな法があるものか)
黄鳥の嘆き:——二川家殺人事件
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
湯呑
(
ゆのみ
)
の
獅子
(
しし
)
の尾にこの赤を使ってあったが、余り立派なので、買いたくて
耐
(
たま
)
らなかったが、五円いくらというので、
止
(
よ
)
して帰ったのを覚えている。
九谷焼
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
そりや
無論
(
むろん
)
道具よ。女に道具以上の
價値
(
かち
)
があツて
耐
(
たま
)
るものか。だがさ、早い話が、お前は大事な着物を
虫干
(
むしぼし
)
にして
樟腦
(
しやうなう
)
まで入れて
藏
(
しま
)
ツて置くだらう。
青い顔
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
が、夫圓太郎の寄席芸人となったことすらいやでいやで
耐
(
たま
)
らなかった女房のおすみは、何といっても聞かなかった。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
それが、決戦派の首領、男爵フォン・エッセンには
耐
(
たま
)
らなかったのである。彼は、機さえあれば怒号して、軍主脳部に潜航艇戦をせまったのであった。
潜航艇「鷹の城」
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
闘牛士を追っかける
踊り子
(
タンギスタ
)
なんか、あの人の髷っぷりが
耐
(
たま
)
らなく憎らしいとか何とか——まあ、その間いろいろとろまんすがあるわけだが、じっさい
踊る地平線:07 血と砂の接吻
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
『
耐
(
たま
)
らないな、歸りには汽車にしやうね。二時間や三時間待つたつて、こんな變なものに乘るよりやいゝや。』
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
着古した
外套
(
がいとう
)
一つが
本
(
もと
)
で、他日細君の
手落呼
(
ておちよば
)
わりなどをされた日には
耐
(
たま
)
らないと思った。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
今日一日太陽に
晒
(
さら
)
されたら、これがまア
如何
(
どう
)
なる事ぞ? こう寄添っていては
耐
(
たま
)
らぬ。
四日間
(新字新仮名)
/
フセヴォロド・ミハイロヴィチ・ガールシン
(著)
と突いてかかった奴を
袖摺
(
そですり
)
へ一ヵ所受けた。その時又右衛門が
走寄
(
はしりよ
)
ってきたのである。血に染んだ来金道二尺七寸を片手に、六尺余りの又右衛門が
走
(
かけ
)
つけたのだから小者は
耐
(
たま
)
らない。
鍵屋の辻
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
余を殺し直しに来るのを便々と待って居て
耐
(
たま
)
る者かと、余は全く死物狂いになった。
幽霊塔
(新字新仮名)
/
黒岩涙香
(著)
一歩も人に譲らない
体
(
てい
)
の人物だけに、この出来事が彼の自負心に及ぼしたところは大きかったとみえて、てんで何処の何者の仕業とも判らないのが実に残念で
耐
(
たま
)
らないと彼は幾度も口に出した。
助五郎余罪
(新字新仮名)
/
牧逸馬
(著)
博奕
(
ばくち
)
で儲けあげて村内屈指の
分限
(
ぶげん
)
であつた初太郎の父は兼ねて自分の父などが、常々「舊家」といふを持出して「なんの博勞風情が!」といふを振𢌞すのが
癪
(
しやく
)
に障つて
耐
(
たま
)
らなかつた所であつたので
古い村
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
いつか窓がすっかり明け放してあったので豚は寒くて
耐
(
たま
)
らなかった。
フランドン農学校の豚
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
「あ、ひどい畜生、三人がかりじゃ
耐
(
たま
)
らない」
剣難女難
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「小間使でありますよ。」と教えたが、
耐
(
たま
)
りかねたか、ふふと笑った。
青年
(
わかもの
)
の
茫然
(
ぼんやり
)
拍子抜のした顔を上げた時、奥の
方
(
かた
)
で女の笑声。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
が、何だか其では
聊
(
いささ
)
か相済まぬような気もして何となく
躊躇
(
ちゅうちょ
)
せられる一方で、
矢張
(
やっぱり
)
何だか
切
(
しきり
)
に……こう……敬意を表したくて
耐
(
たま
)
らない。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「私はもしも
遣損
(
やりそこな
)
つて、
耻
(
はぢ
)
でも
曝
(
さら
)
すやうな事が有つちやと、それが苦労に成つて
耐
(
たま
)
らなかつたんだから、これでもう可いわ」
金色夜叉
(新字旧仮名)
/
尾崎紅葉
(著)
「人に同情しているうちに自分の屋台骨に穴が開いて雨にでも降られちゃ
耐
(
たま
)
らねえ。まずまず同情はおあずけとしよう」
死の航海
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
「大師匠が大病……という夢ばかり見つづけましたので、
耐
(
たま
)
らなく成って私だけ、斯うして飛出して来ましたんですよ」
死剣と生縄
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
気のせいか、
俄
(
にわ
)
かに
耐
(
たま
)
らない野獣の
臭気
(
しゅうき
)
が鼻をついた。臭気ばかりではない。このいやにむし暑いのは、なんであろう。
人間豹
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
以前に捩上げたる下役の腕を
反
(
かえ
)
して前へ突放したから
耐
(
たま
)
りませぬ、同役同志
鉢合
(
はちあわ
)
せをして
二人
(
ににん
)
ともに打倒れました。
後の業平文治
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
と氣が激しく
燥々
(
いら/\
)
して來て
凝如
(
じツ
)
としてゐては、何か此う敗頽の氣と埃とに體も心も引ツ括めて了ふかと思はれて、
耐
(
たま
)
らなく家にゐるのが嫌になツて來た。
昔の女
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
私はその問題に対して自分の心弱さが腹立たしくて
耐
(
たま
)
らない。私は私の当然とるべき道はすつかり知つてゐる。
人間と云ふ意識
(新字旧仮名)
/
伊藤野枝
(著)
殊に私は、習字と算術の時間が厭で/\
耐
(
たま
)
らぬ所から、よく
呆然
(
ぼんやり
)
して藤野さんの方を見てゐたもので、其度先生は竹の鞭で私の頭を軽く叩いたものである。
二筋の血
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
……何んぼ何んでも、菅原の芝居やおまへんで、櫻丸や
菅秀才
(
くわんしうさい
)
が出て來て
耐
(
たま
)
るもんか。……わたへは憎まれ役やさかい、差し當り
時平
(
しへい
)
公か松王ちふとこや。
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
黒吉は、自分の一寸した
独語
(
ひとりごと
)
にも、葉子が聞きとがめて、わざわざ来てくれるのが、
耐
(
たま
)
らなく、嬉しかった。
夢鬼
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
とに
角
(
かく
)
名前
(
なまえ
)
につきては
最初
(
さいしょ
)
斯
(
こ
)
んないきさつがありましたものの、
私
(
わたくし
)
は
若月
(
わかつき
)
が
好
(
す
)
きで
好
(
す
)
きで
耐
(
たま
)
らないのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
一時自由をゆるされた私の身体は、また繃帯でぐるぐる巻きにされてしまった、どうも息苦しくて
耐
(
たま
)
らない。
スウィス日記
(新字新仮名)
/
辻村伊助
(著)
「
助
(
たす
)
からんね
支倉
(
はぜくら
)
君、たぶん
海精
(
シレエヌ
)
の魅惑かも知らんが、こりゃまったく
耐
(
たま
)
らない事件だぜ。だって、考えて見給え。海、装甲、
扉
(
ドア
)
——と、こりゃ三重の密室だ」
潜航艇「鷹の城」
(新字新仮名)
/
小栗虫太郎
(著)
中を改めたくて
耐
(
たま
)
らなくなった。一度ポケットに手を入れかけたが、ふと気がつくと、畜生! と思った。彼は彼の面前で私が紙包を開けるのを待っているのだ。
急行十三時間
(新字新仮名)
/
甲賀三郎
(著)
マルガリイダは、CINTRAの古城のように骨張った、そして、不平で
耐
(
たま
)
らない七面鳥みたいに絶えず何事か呪い
喚
(
わめ
)
いてる存在で、リンピイの人生全体に騒々しく君臨していたと言っていい。
踊る地平線:08 しっぷ・あほうい!
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
気がかりを後へ繰り越すのが
辛
(
つら
)
くて
耐
(
たま
)
らないとはけっして考えなかった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
僕はそれを見て可哀相で
耐
(
たま
)
らんので、そのあとで心を籠めて慰めようと、一二言言ひかくると、
彼女
(
かれ
)
は曰くサ、
否
(
いえ
)
ネ、向うが
鐵鎚
(
かなづち
)
で此方も鐵鎚なら火も出ませうけれど、此方は眞綿なんですからね
一家
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
耐
(
たま
)
りかねて、ぬっと立った。
宮本武蔵:06 空の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
其
(
それ
)
がさ、一
件
(
けん
)
ぢやから
耐
(
たま
)
らぬて、
乗
(
の
)
ると
恁
(
か
)
うぐら/\して
柔
(
やはら
)
かにずる/\と
這
(
は
)
ひさうぢやから、わつといふと
引跨
(
ひんまた
)
いで
腰
(
こし
)
をどさり。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
神経衰弱を標榜している人だから
耐
(
たま
)
らない。来ると、ニチャニチャと飴を食ってるような弁で、
直
(
すぐ
)
と自分の噂を始める。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
耐
常用漢字
中学
部首:⽽
9画
“耐”を含む語句
忍耐
耐忍
居耐
忍耐力
一耐
忍耐強
耐難
耐力
押耐
耐震的
耐震的工風
耐震家屋
耐震家屋内
耐震性
耐震構造法
耐震率
耐震的工夫
耐火煉瓦
耐震的建築
耐震的樣式手法
...