“うるさ”のいろいろな漢字の書き方と例文
語句割合
40.9%
五月蠅35.1%
蒼蠅12.0%
五月蝿2.7%
懊悩1.5%
蒼蝿1.5%
可煩1.2%
煩瑣1.2%
煩冗0.8%
煩悩0.8%
0.4%
五月繩0.4%
夏蝿0.4%
嫌忌0.4%
0.4%
頻繁0.4%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
白雪 ええ、うるさいな、お前たち。義理も仁義も心得て、長生ながいきしたくば勝手におし。……生命いのちのために恋は棄てない。お退き、お退き。
夜叉ヶ池 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
特殊な団欒を持たないので、紋切型の社交が殊更に五月蠅うるさく感ぜられ、齢と共に沁々と孤独なる喜びが身に沁み渡るやうであつた。
群集の人 (新字旧仮名) / 坂口安吾(著)
この女はある親戚のうち寄寓きぐうしているので、そこが手狭てぜまな上に、子供などが蒼蠅うるさいのだろうと思った私の答は、すこぶる簡単であった。
硝子戸の中 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
私は五月蝿うるさく思い乍らも何うすることも出来ませんので黙って絵筆ふでばかりを動かしている中に、どうやら斯うやら其風景画は完全すっかり出来上って了いました。
温室の恋 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
お見舞に出なければ済まないと考へまする訳がございますからで、その実、上りますれば、間さんはかへつて私の伺ふのを懊悩うるさ思召おぼしめしてゐらつしやるのですから
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
執拗しゅうねく問わるることの蒼蝿うるさくて、口に出づるまま、あらぬことをも答えけるに、その人大いに驚きたる様子にて、さては藤井氏の親戚なりし、奇遇というも愚かなるべし
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
折入って旦那様に聞いてやって頂きたいので、くわしく申上げませんと解りません、お可煩うるさくなりましたら、面倒だとおっしゃって下さりまし、直ぐとお茶にいたしてしまいまする。
政談十二社 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
ゆっくりしていらっしゃい。実際正月と云うものは予想外に煩瑣うるさいものですね。私も昨日きのうまででほとんどへとへとに降参させられました。新年が停滞もたれているのは実に苦しいですよ。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
かへつて主人しゆじんくち子供こども煩冗うるさがるわりに、すこしもそれをにする樣子やうすかほにも態度たいどにもえないのをうらやましくおもつた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
不可いかんのう、早くしや早くしや、小児こどもたかって煩悩うるさいからの。」
貧民倶楽部 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
あるひはもさうかもないでは御座いませんか! さも無ければ、私何も貴方にうるさがられる訳は御座いませんさ、貴方も私をうるさいと思召すのが、現に何よりの証拠で。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
来るたびに何のかのと申しますのを、体好ていよことわるんで御座いますけれど、もううるさく来ちや、一頻ひとつきりなんぞは毎日揚詰あげづめに為れるんで、私はふつふつ不好いやなんで御座います。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
當事者たうじしやたる彼等かれらには五月繩うるさ支障さはりをこつそりとはら退けねばらぬ焦燥じれつたいかんまないのに
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
をんな五月繩うるさときには一時ちよつとをどりめて對手あひてしかつたりたゝいたり、しかその特性とくせいのつゝましさをたもつて拍子ひやうしあはなが多勢おほぜいあひだまれつゝどうせん反覆はんぷくしつゝをどる。
(旧字旧仮名) / 長塚節(著)
「アノ様な恐ろしい、アノ様な荒れ果てた屋敷を何故買うか」など人に怪しまれるが夏蝿うるさいとて、誰にも話さず直ぐに余を呼び附けて一切買い受けの任を引き受けろと云われた。
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
なんぞやあともかたもこひいそあはびの只一人ひとりものおもふとは、こゝろはんもうらはづかし、人知ひとしらぬこゝろなやみに、昨日きのふ一昨日をとゝひ雪三せつざう訪問おとづれさへ嫌忌うるさくて、ことばおほくもはさゞりしを
たま襻 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
「ああ、ただもう家名をきずつけないようにって、耳うるさく言って聞かせるのよ。堅い奴だが、おいら嫌いじゃあねえ。」
黒百合 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
犬は首をあげ、耳をしゃんとてて、雑鬧ざっとうの中を進んで行った。交通の頻繁うるさい街を横ぎるときなどは、鎖をピンと張るようにして、機敏に主人を導くのであった。
幻想 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)