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蒼蠅
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うるさ
ふりがな文庫
“
蒼蠅
(
うるさ
)” の例文
しかし亡友の遺児であってみれば捨てて置くことは世間が
蒼蠅
(
うるさ
)
かった。それで岡引の虎松に命じて探索させたのだがどうも分らない。
くろがね天狗
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
この女はある親戚の
宅
(
うち
)
に
寄寓
(
きぐう
)
しているので、そこが
手狭
(
てぜま
)
な上に、子供などが
蒼蠅
(
うるさ
)
いのだろうと思った私の答は、すこぶる簡単であった。
硝子戸の中
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
でも、仕合せと眼病は
癒
(
なほ
)
つた。若い夫人は手土産を
提
(
さ
)
げて博士の
宅
(
うち
)
へ礼に往つた。博士は
蒼蠅
(
うるさ
)
さうにお礼の口上を聴いてゐたが
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
ハヾトフは
折々
(
をり/\
)
病氣
(
びやうき
)
の
同僚
(
どうれう
)
を
訪問
(
はうもん
)
するのは、
自分
(
じぶん
)
の
義務
(
ぎむ
)
で
有
(
あ
)
るかのやうに、
彼
(
かれ
)
の
所
(
ところ
)
に
蒼蠅
(
うるさ
)
く
來
(
く
)
る。
彼
(
かれ
)
はハヾトフが
嫌
(
いや
)
でならぬ。
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
どっこいとポチが
追蒐
(
おッか
)
けて
巫山戯
(
ふざけ
)
かかる。
蒼蠅
(
うるさ
)
いと言わぬばかりに、先の犬は歯を
剥
(
む
)
いて叱る。すると、ポチは驚いて耳を伏せて逃げて来る。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
▼ もっと見る
長き講釈も玉江嬢は更に
蒼蠅
(
うるさ
)
しと思わず「中川さん、そういう風に
伺
(
うかが
)
ってみると家庭料理は段々むずかしくなってうっかり手が出せませんね」
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
さすがに屋台店こそ出ぬが、公園の四つの門の前には売子が
蒼蠅
(
うるさ
)
く鈴を鳴らしながら夕陽新聞の呼び売をする。
魔都
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
六郎 さなきだに世の中が面白からぬと仰せられてゐたところへ、恰も將軍の御上洛、その御出迎ひを強ひられる
蒼蠅
(
うるさ
)
さに、いつそ武士を捨つるとのお詞でござりまする。
佐々木高綱
(旧字旧仮名)
/
岡本綺堂
(著)
蒼蠅
(
うるさ
)
く頼んで何といっても
肯
(
き
)
かないので、博士も遂に承諾して一行の
中
(
うち
)
に加えたのだ。
月世界跋渉記
(新字新仮名)
/
江見水蔭
(著)
... 老い枯れし老婆の御身に嫌はるゝは、
可惜
(
あたら
)
武士
(
ものゝふ
)
の
戀死
(
こひじに
)
せん
命
(
いのち
)
を思へば物の數ならず、
然
(
さ
)
るにても
昨夜
(
よべ
)
の返事、如何に遊ばすやら』。『幾度申しても御返事は同じこと、あな
蒼蠅
(
うるさ
)
き人や』
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
あくどい
蒼蠅
(
うるさ
)
さがわりに少なくて軽快な俳諧といったようなものが塩梅されているようである。例えばドライヴの途上に出て来るハイカラな
杣
(
そま
)
や
杭打
(
くいう
)
ちの夫婦のスケッチなどがそれである。
映画雑感(Ⅴ)
(新字新仮名)
/
寺田寅彦
(著)
男たちは少しも私に
蒼蠅
(
うるさ
)
い眼遣いをしなくなってきたことだ! いいや、相かわらず蒼蠅い眼遣いはしているが、いつかのウェンデルのような、あんな失礼な真似はしなくなってきたことだ。
令嬢エミーラの日記
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
此方
(
こっち
)
は
固
(
もと
)
より密売しようではなし、国の秘密を
洩
(
も
)
らす
気遣
(
きづか
)
いもないが、妙な役人が附て来れば
只
(
ただ
)
蒼蠅
(
うるさ
)
い。蒼蠅いのはマダ
宜
(
よ
)
いが、その下役が何か
外
(
ほか
)
に
差支
(
さしつかえ
)
があると、私共も出ることが出来ない。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
庄「よく来るな、
蒼蠅
(
うるさ
)
いなア」
業平文治漂流奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
筋市
蒼蠅
(
うるさ
)
い、黙れ。
一本刀土俵入 二幕五場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
自分は母の気を休めるため、わざと
蒼蠅
(
うるさ
)
そうにこう云った。母はまた行李の中へ、こまごましたものを出したり入れたりし始めた。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
ハバトフは
折々
(
おりおり
)
病気
(
びょうき
)
の
同僚
(
どうりょう
)
を
訪問
(
ほうもん
)
するのは、
自分
(
じぶん
)
の
義務
(
ぎむ
)
であるかのように、
彼
(
かれ
)
の
所
(
ところ
)
に
蒼蠅
(
うるさ
)
く
来
(
く
)
る。
彼
(
かれ
)
はハバトフが
嫌
(
いや
)
でならぬ。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
二人は
予
(
かね
)
て
顔馴染
(
かおなじみ
)
の警視庁
強力犯係
(
ごうりきはんがかり
)
の刑事で、
折井
(
おりい
)
氏と
山城
(
やましろ
)
氏とだった。いや、顔馴染というよりも、もっと
蒼蠅
(
うるさ
)
い仲だったと云った方がいい。
疑問の金塊
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
今の世に廃兵と生命保険の勧誘員ほど
蒼蠅
(
うるさ
)
い者は、たんと有るまい。ある時その生命保険の勧誘員が、亡くなつた上田敏博士を訪ねた事があつた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
我邦の妻君は食物
拵
(
ごしら
)
えをさも余計な仕事のように
蒼蠅
(
うるさ
)
がってどうしたらちょこちょこと早く
副食物
(
おかず
)
が出来るだろうと手数を省く工風ばかりしている。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
如何
(
どう
)
いうものだか、内でお
祖母
(
ばあ
)
さんが
舐
(
なめ
)
るようにして可愛がって呉れるが、一向嬉しくない。
反
(
かえっ
)
て
蒼蠅
(
うるさ
)
くなって、出るなと
制
(
と
)
める袖の下を潜って外へ駈出す。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
さも
蒼蠅
(
うるさ
)
げに博士に取り次ごうともせずに、拒絶したのであったが、私の押しての強硬な申込みについに不承不承に顔を
顰
(
しか
)
めながら、ノートを受け取って薄暗い玄関の奥へ消え去ったのであった。
令嬢エミーラの日記
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
彼は好い気になって、書記の
硯箱
(
すずりばこ
)
の中にある
朱墨
(
しゅずみ
)
を
弄
(
いじ
)
ったり、小刀の
鞘
(
さや
)
を払って見たり、
他
(
ひと
)
に
蒼蠅
(
うるさ
)
がられるような
悪戯
(
いたずら
)
を続けざまにした。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
再縁の話も実は
蒼蠅
(
うるさ
)
いほどあるのではあるが、妾は一も二もなくこれをお断りしている。結婚生活なんて、そんなに楽しいものではないからである。
三人の双生児
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
外でもない、ちんぴらな新聞売子で、医者とエマアソンとの知らない色々の事が載つてゐる新聞を
押売
(
おしうり
)
しに来るのだ。医者はそれが
蒼蠅
(
うるさ
)
くて仕方がなかつた。
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
あいのおさえのという
蒼蠅
(
うるさ
)
い事の
無
(
ない
)
代
(
かわ
)
り、
洒落
(
しゃれ
)
、
担
(
かつ
)
ぎ合い、大口、高笑、
都々逸
(
どどいつ
)
の
素
(
す
)
じぶくり、替歌の伝受
等
(
など
)
、いろいろの事が有ッたが、
蒼蠅
(
うるさ
)
いからそれは略す。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
悪くすると子供は
蒼蠅
(
うるさ
)
いから欲しくない、育児なんぞはイヤな事だというような人も出ます。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
しかし医者の来るたびに
蒼蠅
(
うるさ
)
い質問を掛けて相手を困らす
質
(
たち
)
でもなかった。医者の方でもまた遠慮して何ともいわなかった。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
蒼蠅
(
うるさ
)
い世間は、玲子の
殊遇
(
しゅぐう
)
が桐花カスミとの同性愛によるものだろうと、噂していたが、それは嘘に違いない。
獏鸚
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
私も亦夜着を
被
(
かぶ
)
った。
狗
(
いぬ
)
は門前を去ったのか、啼声が
稍
(
やや
)
遠くなるに
随
(
つ
)
れて、父の
鼾
(
いびき
)
が又
蒼蠅
(
うるさ
)
く耳に附く。寝られぬ儘に、私は夜着の中で今聴いた母の説明を
反覆
(
くりかえ
)
し反覆し
味
(
あじわ
)
って見た。
平凡
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「世間め、どんな取沙汰をしてるだらうな。ほんとに
蒼蠅
(
うるさ
)
いつたらありやしない。」
茶話:04 大正七(一九一八)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
限りなき質問をお登和嬢は更に
蒼蠅
(
うるさ
)
しとも思わず
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
「こういう証文さえ入れさせて置けばもう大丈夫だからね。それでないと何時まで
蒼蠅
(
うるさ
)
く付け
纏
(
まと
)
わられるか分ったもんじゃないよ。ねえ
長
(
ちょう
)
さん」
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それは四五日前までは、毎日のように彼のところへ来ては、老人へのよき
執成
(
とりなし
)
を、
蒼蠅
(
うるさ
)
いほど頼んでいた
千石虎之進
(
せんごくとらのしん
)
という、死んだ老人の末弟に当る男であった。
仲々死なぬ彼奴
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
それから二三日すると、川崎造船所の株が
蒼蠅
(
うるさ
)
い程
頻
(
しきり
)
と切り替られた。
茶話:03 大正六(一九一七)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
「何だよ?」と
蒼蠅
(
うるさ
)
そうにお政は起直ッた。
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
主人の長広舌も客の耳には
蒼蠅
(
うるさ
)
からず
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
隠す事を知らない彼女は腹にある事をことごとく話した。黙って聞いていた自分にもしまいには
蒼蠅
(
うるさ
)
いほどであった。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
「ああ、そうですか」と一郎は大きく
肯
(
うなず
)
きながら「では耳飾の宝石も、そのときに落したんですね。これも拾われては
蒼蠅
(
うるさ
)
いことになるから、後で探したというわけですね」
恐怖の口笛
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
津田は
蒼蠅
(
うるさ
)
そうにこう云った。お延は取りつく島もないといった風にお秀を見た。どうか助けて下さいという表情が彼女の細い眼と
眉
(
まゆ
)
の間に現われた。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
と、速水はさも
蒼蠅
(
うるさ
)
そうに応えた。そしてその器械を持ちあげて、鉄砲を撃つときのように肩にあてた。だから器械はそのとき直立していた。それから彼は引金のようなものをグッと下に引いた。
深夜の市長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
自分たちの親切を、無理にも子供の胸に外部から
叩
(
たた
)
き込もうとする彼らの努力は、かえって反対の結果をその子供の上に引き起した。健三は
蒼蠅
(
うるさ
)
がった。
道草
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
客は
蒼蠅
(
うるさ
)
いほどお重に同情の言葉を注射した
後
(
あと
)
、「じゃ残念だが始めましょうか」と云い出した。
行人
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
そうしてしつこく自分自身の話題にばかり
纏綿
(
つけまつ
)
わった。それがまた津田の
訊
(
き
)
こうとする事と、間接ではあるが深い関係があるので、津田は
蒼蠅
(
うるさ
)
くもあり、じれったくもあった。
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
子供を持った事のないその時の私は、子供をただ
蒼蠅
(
うるさ
)
いもののように考えていた。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
彼は
二日酔
(
ふつかよい
)
の眼と頭をもって、
蚕
(
かいこ
)
の糸を
吐
(
は
)
くようにそれからそれへと出てくるこの
記念
(
かたみ
)
の
画
(
え
)
を
飽
(
あ
)
かず見つめていたが、しまいには眼先に
漂
(
ただ
)
ようふわふわした夢の
蒼蠅
(
うるさ
)
さに
堪
(
た
)
えなくなった。
彼岸過迄
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
それには無論養家を出る出ないの
蒼蠅
(
うるさ
)
い問題も手伝っていたでしょう。彼は段々
感傷的
(
センチメンタル
)
になって来たのです。時によると、自分だけが世の中の不幸を一人で
背負
(
しょ
)
って立っているような事をいいます。
こころ
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
蒼
漢検準1級
部首:⾋
13画
蠅
漢検準1級
部首:⾍
19画
“蒼”で始まる語句
蒼
蒼白
蒼空
蒼黒
蒼褪
蒼然
蒼々
蒼穹
蒼味
蒼茫