蒼蝿うるさ)” の例文
これは本来極めて注意すべきことで、伝記の名前は列伝、自伝、内伝、外伝、別伝、家伝、小伝などとずいぶん蒼蝿うるさいほどたくさんあるが、惜しいかな皆合わない。
阿Q正伝 (新字新仮名) / 魯迅(著)
執拗しゅうねく問わるることの蒼蝿うるさくて、口に出づるまま、あらぬことをも答えけるに、その人大いに驚きたる様子にて、さては藤井氏の親戚なりし、奇遇というも愚かなるべし
妾の半生涯 (新字新仮名) / 福田英子(著)
通例世間一般の女房たる者が酷く所天おっとを圧制する通りに余を圧制しようと試みる、余の為す事には何でも口を出す、愈々婚礼でも仕た後は余ほど蒼蝿うるさい事だろうと覚悟して居る、併し閑話あだしごとは扨置いて
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
ただし趙家のしきいだけはまたぐことが出来ない——何しろ様子がすこぶる変なので、どこでもきっと男が出て来て、蒼蝿うるさそうな顔付かおつきを見せ、まるで乞食こじき追払おっぱらうような体裁で
阿Q正伝 (新字新仮名) / 魯迅(著)
お浦「道さん、お返事は出来ませんか」余「イエ返事は出来ますけれど貴女の望む様な返事は出来ません」お浦は恨めしげに「私は、斯まで貴方に嫌われる様な厭な女でしょうかネエ、あの高輪田さんなどは、私の外に女はない様に云い蒼蝿うるさく縁談を ...
幽霊塔 (新字新仮名) / 黒岩涙香(著)
「夏になって御覧なさい。大雨のあとで、あなたは蒼蝿うるさいほど蝦蟇がまの叫びを聴き出すでしょう。あれは皆どぶの中に住んでいるのです。北京にはどこにも溝がありますからね」
鴨の喜劇 (新字新仮名) / 魯迅(著)