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五月蠅
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うるさ
ふりがな文庫
“
五月蠅
(
うるさ
)” の例文
男子なる方は、
五月蠅
(
うるさ
)
きことに思ったのであろう。われわれはこれから、コルシカはタラノの
谿谷
(
けいこく
)
へ虎狩りにゆくつもりであること。
ノンシャラン道中記:05 タラノ音頭 ――コルシカ島の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
特殊な団欒を持たないので、紋切型の社交が殊更に
五月蠅
(
うるさ
)
く感ぜられ、齢と共に沁々と孤独なる喜びが身に沁み渡るやうであつた。
群集の人
(新字旧仮名)
/
坂口安吾
(著)
向ふに見えるはごゞ島で中央に高いのがごゞ島の小富士、
果物
(
くだもの
)
が名物にて年に二十万円の産額があるなど
五月蠅
(
うるさ
)
くつき纏つて離れない。
坊つちやん「遺蹟めぐり」
(新字旧仮名)
/
岡本一平
(著)
最初のうち伝さんは、その
出迎男
(
でむかえおとこ
)
を、何処かインチキなホテルの客引かなんかであろうと考えた。そして、
五月蠅
(
うるさ
)
い商売
敵
(
がたき
)
だと思った。
三の字旅行会
(新字新仮名)
/
大阪圭吉
(著)
五月蠅
(
うるさ
)
がって出るのは彼方の勝手だ。——決心に満足を感じ、せきは誰
憚
(
はばか
)
るところない
大欠伸
(
おおあくび
)
を一つし、徐ろに寝床へ這い込んだ。
街
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
▼ もっと見る
それは吉田が「そこまで言ってしまってはまたどんな
五月蠅
(
うるさ
)
いことになるかもしれない」ということを急に自覚したのにもよるが
のんきな患者
(新字新仮名)
/
梶井基次郎
(著)
與吉
(
よきち
)
はおつぎに
抱
(
だ
)
かれる
時
(
とき
)
いつも
能
(
よ
)
くおつぎの
乳房
(
ちぶさ
)
を
弄
(
いぢ
)
るのであつた。
五月蠅
(
うるさ
)
がつて
邪險
(
じやけん
)
に
叱
(
しか
)
つて
見
(
み
)
ても
與吉
(
よきち
)
は
甘
(
あま
)
えて
笑
(
わら
)
つて
居
(
ゐ
)
る。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
なほさら
五月蠅
(
うるさ
)
く
厭
(
いと
)
はしく
車
(
くるま
)
のおとの
門
(
かど
)
に
止
(
とま
)
るを
何
(
なに
)
よりも
氣
(
き
)
にして、それお
出
(
いで
)
と
聞
(
きく
)
がいなや、
勝手
(
かつて
)
もとの
箒
(
はうき
)
に
手拭
(
てぬぐひ
)
をかぶらせぬ。
経つくゑ
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
へツ、へツ、二十五兩と稼いだのは惡くなかつたぜ、——最初は
葛籠
(
つゞら
)
へ入れて船の中に飼つて置いたが、知合の船が
五月蠅
(
うるさ
)
くて叶はねエ。
銭形平次捕物控:115 二階の娘
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
今のように、多勢の前で
五月蠅
(
うるさ
)
く喧嘩を売られれば売られるほど、喬之助は、自分でも不思議なほど冷静になっていくのだった。
魔像:新版大岡政談
(新字新仮名)
/
林不忘
(著)
忙がしいのでイライラしていた俺は、
二等運転手
(
チャプリン
)
の話が
五月蠅
(
うるさ
)
かったんだろう。そのまま一気にタラップを
馳上
(
かけあが
)
って、船長室に飛込んだ。
難船小僧
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
「黙れ、
五月蠅
(
うるさ
)
い! 自分が間抜けだから、そういう目に遭ったのだ! ツベコベ騒ぐな! なんだ、この
期
(
ご
)
になって見苦しい」
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
「もう、セルを着て居ないと、見っともないわ。」と云い出すと、彼の妻は、譲吉がセルを買ってしまう迄は、
五月蠅
(
うるさ
)
くその提言を繰返した。
大島が出来る話
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
女は
狗
(
いぬ
)
のやうなもので余り好かれても
五月蠅
(
うるさ
)
くて迷惑するが、嫌はれても一寸困る。彼等は吠えつく
術
(
すべ
)
を知つてゐるから。
茶話:02 大正五(一九一六)年
(新字旧仮名)
/
薄田泣菫
(著)
騎馬の兵士が大久保
柏木
(
かしわぎ
)
の
小路
(
こみち
)
を隊をなして
駆
(
は
)
せ廻るのは、
甚
(
はなは
)
だ
五月蠅
(
うるさ
)
いものである。
否
(
いな
)
五月蠅いではない
癪
(
しゃく
)
にさわる。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
『暑いとも、暑いとも。
恁麽
(
こんな
)
日にお
前
(
めえ
)
みたいな垢臭い婆さんが行くと、如来様も昼寝が出来ねえで
五月蠅
(
うるさ
)
がるだあ。』
刑余の叔父
(新字旧仮名)
/
石川啄木
(著)
私に陰謀があるなら諸君の所へ来て話をするなり演説をするなりするが、実は私は
五月蠅
(
うるさ
)
いから学校へ来て構わない。
学問の独立と東京専門学校の創立
(新字新仮名)
/
大隈重信
(著)
客の中にも文化文政ごろからの生き残り爺さんがまだいて、初代の可楽はどうのむらくはどうのと
五月蠅
(
うるさ
)
いことを並べ立てる手合が少なくなかった。
小説 円朝
(新字新仮名)
/
正岡容
(著)
ああこれなら日本で見たと思う心理ばかりが
五月蠅
(
うるさ
)
くつきまとって、羽左衛門のパリ見物そのままにナポレオンも耶蘇かと突然言いたくなるのである。
北京と巴里(覚書)
(新字新仮名)
/
横光利一
(著)
『言うまでもなく、近代の新聞はすこし
五月蠅
(
うるさ
)
くなりかけています。あなたなども随分個人的に立ち入った報道をされて御迷惑なすったことでしょう。』
踊る地平線:09 Mrs.7 and Mr.23
(新字新仮名)
/
谷譲次
(著)
幸い、捕り方たちは見当外れの方角へ、駆け去ってしまっていたものの、この侍が大声を発したら、またも、
五月蠅
(
うるさ
)
く、まつわって来るに相違なかった。
雪之丞変化
(新字新仮名)
/
三上於菟吉
(著)
……父の仇、不倶戴天、こういう義理は小
五月蠅
(
うるさ
)
い。……訊きたいことが一つある。お前は将来も俺を狙うか?
天主閣の音
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
まして近眼者は物を見ることを
五月蠅
(
うるさ
)
がるやうな傾向が生じて来ては、どうしても知識を得る機会が少くなる。
病牀六尺
(新字旧仮名)
/
正岡子規
(著)
それのみならず
酷
(
ひど
)
く子供の看護を
五月蠅
(
うるさ
)
がつて仕事が出來ずに困りますと言ひきつてゐた。そのくせ仕事と云つては手内職の編物一つもしてゐないのである。
一家
(旧字旧仮名)
/
若山牧水
(著)
何が、この頃の
旱
(
ひでり
)
で、やれ雨が欲しい、それ水をくれろ、と百姓どもが、
姫様
(
ひいさま
)
のお
住居
(
すまい
)
、夜叉ヶ池のほとりへ
五月蠅
(
うるさ
)
きほどに
集
(
たか
)
って
来
(
う
)
せる。それはまだ
可
(
よ
)
い。
夜叉ヶ池
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
八郎太も、小太郎も、ぺらぺら妙なことを喋っている庄吉に、
五月蠅
(
うるさ
)
さを感じていたが、岡田と聞いて、次を聞く気になった。七瀬も、娘も、庄吉の顔を見た。
南国太平記
(新字新仮名)
/
直木三十五
(著)
何か外にもっと深い意味があるのですかと聞いてみたら、きっと昔先生に
五月蠅
(
うるさ
)
く根掘り葉掘り何かをきいた時のように、「今に分るよ」といわれることだろう。
霜柱と白粉の話
(新字新仮名)
/
中谷宇吉郎
(著)
尼さんは世間から名士扱いにされるのを
五月蠅
(
うるさ
)
がって、宿がえ蓮月と云われるほど宿がえを致した位だからその名士見物の素振りをちらっとも見せてはならんぞ。
ある日の蓮月尼
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
亮太郎 (妻の意外にも快活な調子に惹き入れられて)言ふとまた
五月蠅
(
うるさ
)
いからさ。子供の時分つて、僕が子供の時分は、おやぢはうちにゐた例しはないんだからね。
村で一番の栗の木(五場)
(新字旧仮名)
/
岸田国士
(著)
刑罰もなく、咎めることもなく、叱られることもなく、
五月蠅
(
うるさ
)
く
愚図愚図
(
ぐずぐず
)
いわれることもない。
日本その日その日:03 日本その日その日
(新字新仮名)
/
エドワード・シルヴェスター・モース
(著)
もつと
背後
(
うしろ
)
へ
凭
(
もた
)
れかゝつて呉れとか、足を踏ん張つて呉れとか言つて、
五月蠅
(
うるさ
)
い車夫であつたが、中肉中脊の屈強な足つきは、北野へ着くまでに、十臺からの車を拔いて
天満宮
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
然
(
しか
)
し話してくれないと尚聞き度くなるものであるし、又あまり変なことなので好奇心に馳られた私はどこまでも
五月蠅
(
うるさ
)
く追窮したので、水島もとうとう笑いながら話してくれた。
息を止める男
(新字新仮名)
/
蘭郁二郎
(著)
山に住み世に
離
(
さか
)
るとも、
全
(
また
)
く世を厭ふにあらず、
五月蠅
(
うるさ
)
やと
切
(
せち
)
に思へど、人来ねばたづきも知らず、妻と我、二人居れども、かくてあれども、時をりはただ寂しくて眼を見合せぬ。
観想の時:――長歌体詩篇二十一――
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
一日婦女どもが食物を
摺
(
す
)
り調える処へ上帝来り立ち留まって
観
(
み
)
るを
五月蠅
(
うるさ
)
がり、あっちへ行けといえど去らず、婦女ども怒って
擂木
(
すりこぎ
)
で上帝を打ったから、上帝倉皇天に登り
復
(
また
)
と地上へ
降
(
くだ
)
らず
十二支考:06 羊に関する民俗と伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
学生1
五月蠅
(
うるさ
)
いな。……君は君で勝手にやまを掛ければいいじゃないか。
なよたけ
(新字新仮名)
/
加藤道夫
(著)
「
其様
(
そう
)
だ其様だ、
此
(
こ
)
いつは土産だ。一つ聞きたいな」などと
囂
(
やかま
)
しく言うのを聞かぬ風で一同に顔見られるのを
五月蠅
(
うるさ
)
そうにお光は顔をそむけて漕ぎながら、時々見るともなく眼を
側
(
そばだ
)
てて見ると
漁師の娘
(新字新仮名)
/
徳冨蘆花
(著)
嗚呼
(
あゝ
)
この堂々たる手の
裏
(
うち
)
に、金は無いか、銀將無きかとうれたがり、今にして、
斷
(
た
)
ち
截
(
き
)
らずば、末を
奈何
(
いかに
)
と
懸念貌
(
けねんがほ
)
、仔細らしく意味取りちがへて濫用する圍棋
詞
(
ことば
)
の粘、塗、抑、約いと
五月蠅
(
うるさ
)
しと。
柵草紙の山房論文
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
「また始まッた、ヘン
跳馬
(
じゃじゃうま
)
じゃアあるまいし、万古に
品々
(
しんしん
)
も
五月蠅
(
うるさ
)
い」
浮雲
(新字新仮名)
/
二葉亭四迷
(著)
「そうか、
五月蠅
(
うるさ
)
い奴じゃ。紅茶を一ぱい飲んでからのことだ」
一九五〇年の殺人
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
歌に
憑
(
つ
)
かれた、名人
気質
(
かたぎ
)
を
五月蠅
(
うるさ
)
く感じておられたことは
中世の文学伝統
(新字新仮名)
/
風巻景次郎
(著)
清次郎はこう
五月蠅
(
うるさ
)
そうに言い捨てて行ってしまった。
或る部落の五つの話
(新字新仮名)
/
佐左木俊郎
(著)
時次郎 またか、
五月蠅
(
うるさ
)
い奴め。(敵の刀を奪い闘う)
沓掛時次郎 三幕十場
(新字新仮名)
/
長谷川伸
(著)
「思わなけりゃ思わないでもいいさ。
五月蠅
(
うるさ
)
い男だな」
明暗
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
五月蠅
(
うるさ
)
い子供の此ン畜生が
ランボオ詩集
(新字旧仮名)
/
ジャン・ニコラ・アルチュール・ランボー
(著)
へッ、へッ、二十五両と稼いだのは悪くなかったぜ、——最初は
葛籠
(
つづら
)
へ入れて船の中に飼っておいたが、知合いの船が
五月蠅
(
うるさ
)
くてかなわねエ。
銭形平次捕物控:115 二階の娘
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
五月蠅
(
うるさ
)
いとばかりに、首を沈めてモウ! と
吼
(
ほ
)
えると、かねて逃げ腰の組下はあわてて
遮塀
(
パレエ
)
の後ろへさか落しに飛び込んだ。
ノンシャラン道中記:06 乱視の奈翁 ――アルル牛角力の巻――
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
驟雨
(
しうう
)
は
後
(
あと
)
から
後
(
あと
)
からと
驅
(
か
)
つて
來
(
く
)
るので
曉
(
あかつき
)
の
白
(
しら
)
まぬうちから
麥
(
むぎ
)
を
搗
(
つ
)
いて
庭
(
には
)
一
杯
(
ぱい
)
に
筵
(
むしろ
)
を
干
(
ほし
)
た
百姓
(
ひやくしやう
)
をどうかすると
五月蠅
(
うるさ
)
く
苛
(
いぢ
)
めた。
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
俗悪・卑雑な騒ぎを放散させる
五月蠅
(
うるさ
)
さに堪りかねて、丁度十時頃ラジオの終るまでの時刻をどこかラジオのならないところで過す工夫をこらす。
「ラジオ黄金時代」の底潮
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
やれ貰へと無茶苦茶に進めたてる
五月蠅
(
うるさ
)
さ、どうなりと成れ、成れ、勝手に成れとてあれを家へ迎へたは丁度貴嬢が御懐妊だと聞ました時分の事
十三夜
(新字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
吏員から
五月蠅
(
うるさ
)
がられたので、母等と共に上京して鎌倉に居住し、麻布聯隊区に籍を移し、たしか乙種で不合格となったのを志願して無理にパスした。
父杉山茂丸を語る
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
五
常用漢字
小1
部首:⼆
4画
月
常用漢字
小1
部首:⽉
4画
蠅
漢検準1級
部首:⾍
19画
“五月”で始まる語句
五月雨
五月
五月闇
五月蝿
五月幟
五月晴
五月目
五月野
五月躑躅
五月処女