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照映
其の
下襲ねの
緋鹿子に、
足手の
雪が
照映えて、
女の
膚は
朝桜、
白雲の
裏越す
日の
影、
血も
通ふ、と
見る
内に、
男の
顔は
蒼く
成つた。
あの
姫の
美麗さで、
輝く
燭火が
又一
段と
輝くわい!
夜の
頬に
照映ゆる
彼の
姫が
風情は、
宛然黒人種の
耳元に
希代の
寶玉が
懸ったやう、
使はうには
餘り
勿體無く
銀杏返もぐしや/\に、
掴んで
束ねた黒髪に、
琴柱形して、
晃々と
猶ほ月光に
照映へる。