男児おとこ)” の例文
旧字:男兒
が、おれは男だ、おれは男だ、一婦人いっぷじんのために心を労していつまで泣こうかと思い返して、女々めめしい心を捨ててしきりに男児おとこがって諦めてしまった。
太郎坊 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
ひとこわいことは一厘ないが強いばかりが男児おとこではないなあ、ハハハ、じっと堪忍がまんして無理に弱くなるのも男児だ、ああ立派な男児だ、五重塔は名誉の工事しごと
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
諸仏菩薩もお許しあれ、生雲塔の頂上てっぺんより直ちに飛んで身を捨てん、投ぐる五尺の皮嚢かわぶくろやぶれて醜かるべきも、きたなきものを盛ってはおらず、あわれ男児おとこ醇粋いっぽんぎ
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
オイ飯を食わしてくれろッてえんで帰っての今朝けさ自暴やけ一杯いっぺえ引掛ひっかけようと云やあ、大方男児おとこは外へも出るに風帯ふうてえが無くっちゃあと云うところからのことでもあろうが
貧乏 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)
それではせっかくおさとしを受けた甲斐なく源太がまた我欲にばかり強いようで男児おとこらしゅうもない話し、というて十兵衛は十兵衛の思わくを滅多に捨てはすまじき様子
五重塔 (新字新仮名) / 幸田露伴(著)