)” の例文
民主化なんて大騒ぎをしてゐますが、つまるところは日本人にもう一つ別のるさを身につけさせるだけのことにならないものでもありません。
死児変相 (新字旧仮名) / 神西清(著)
るそうな眼でちらっとうしろを振りかえると黙って立ちあがり丈吉のすすめるアイスクリームをうまそうに頬ばった。
菎蒻 (新字新仮名) / 尾崎士郎(著)
「いや、そのままがいい。それについては後で手紙を出そう。もうるいことをするじゃないよ。さもないと——」
所がその友人は、いよいよあざけるようなえみを浮べながら、私とテエブルの上の金貨とをるそうにじろじろ見比べて
魔術 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
その不合理にも思い至って、ようやく、右馬允貞盛のる賢い立ち廻り方にも、気がついていた。
平の将門 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
額に捲髪カールのあるロザリが先に立って、その次に男と腕を組んで、少しるそうな美しい娘のエレンが、気取って済ましてついて来た。その後に牛のような青年がまた一人いた。
母子叙情 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
小利口こりこうなるはるき性根せうねをやしなうてめんかぶりの大變たいへんものになるもあり、しやんとせし氣性きせうありて人間にんげんたち正直せうぢきなるは、すねもの部類ぶるいにまぎれて其身そのみれば生涯せうがいそんおもふべし
ゆく雲 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
人間はるく悧巧にならないでは生きてゐられないのですものね。誠だの、正直だの、熱い情けだのなんてそんな間抜まぬけなものは今時の人はみんな捨てちまはずにはゐられないのだわ。
五郎助は前額の禿げた、四十前後のるさうな男ですが、兄を殺すほどの惡人とも見えず、お糸の弟の友三郎は、十七八の前髮で、番頭は五十がらみの實體な男、手代の駒吉は少しにやけた
それを聞くと彼女は横を向いてちよつとるい笑ひを浮べた。
静物 (新字旧仮名) / 十一谷義三郎(著)
悄気しょげて見せたが、すぐるそうな目付をして
光り合ういのち (新字新仮名) / 倉田百三(著)
小利口なるはるき性根をやしなうてめんかぶりの大変ものになるもあり、しやんとせし気性ありて人間のたちの正直なるは、すね者の部類にまぎれてその身に取れば生涯せうがいの損おもふべし
ゆく雲 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
ごまかさうたつてごまかされるやうな妾ぢやないわ。妾かう云ふるい人は嫌ひ。
少女の泣顔の中からるそうな笑顔えがお無花果いちじくさきのように肉色に笑み破れた。
金魚撩乱 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
五郎助は前額の禿げた、四十前後のるそうな男ですが、兄を殺すほどの悪人とも見えず、お糸の弟の友三郎は、十七八の前髪で、番頭は五十がらみの実体じっていな男、手代の駒吉は少しにやけた
金三はるそうに母の方を見てから、そっと良平のすそを引いた。二本芽の赤芽のちんぼ芽の百合を見る、——このくらい大きい誘惑はなかった。良平は返事もしない内に、母の藁草履わらぞうりへ足をかけた。
百合 (新字新仮名) / 芥川竜之介(著)
少しるさうな、シヨボシヨボ眼と、大きな鼻を持つた男です。