トップ
>
途
>
ず
ふりがな文庫
“
途
(
ず
)” の例文
しかし
私
(
わたくし
)
は三
途
(
ず
)
の
川
(
かわ
)
らしいものを
渡
(
わた
)
った
覚
(
おぼ
)
えはない……
閻魔様
(
えんまさま
)
らしいものに
逢
(
あ
)
った
様子
(
ようす
)
もない……
何
(
なに
)
が
何
(
なに
)
やらさっぱり
腑
(
ふ
)
に
落
(
お
)
ちない。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
その間に
敵
(
かたき
)
と
覘
(
ねら
)
う上野介の身に異変でもあったらどうするかと、一
途
(
ず
)
に仇討の決行を主張するものとがあって、硬軟両派に分れていた。
四十八人目
(新字新仮名)
/
森田草平
(著)
自分の歩いている道は、ただ一
途
(
ず
)
で、細くて
嶮
(
けわ
)
しい道だと思う。光悦の楽しんでいる天地の明るくて広いことには及ぶべくもない。
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
ただ
聰明
(
そうめい
)
をかいたがため、
階級
(
かいきゅう
)
に
対
(
たい
)
しては、
組織
(
そしき
)
ある
闘争
(
とうそう
)
でなければならぬのを、一
途
(
ず
)
に
身
(
み
)
をもって、
憎
(
にく
)
いと
思
(
おも
)
う
対象
(
たいしょう
)
にぶつかりました。
風はささやく
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
お前さんはそう一
途
(
ず
)
に決めていても、世の中の事というものは
白紙
(
しらかみ
)
へ一文字を引いたように、無造作にわかるものじゃあねえ。
勘平の死
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
▼ もっと見る
一
途
(
ず
)
に筋を通そうとして細かく頭を使っていたようですし、おとといお宅にお伺いしました時も、自分の信じていることの筋を通すために
次郎物語:04 第四部
(新字新仮名)
/
下村湖人
(著)
生
(
い
)
きた
相手
(
あいて
)
にいう
如
(
ごと
)
く、
如何
(
いか
)
にもなつかしそうに、
人形
(
にんぎょう
)
を
仰
(
あお
)
いだおせんの
眼
(
め
)
には、
情
(
なさけ
)
の
露
(
つゆ
)
さえ
仇
(
あだ
)
に
宿
(
やど
)
って、
思
(
おも
)
いなしか、
声
(
こえ
)
は一
途
(
ず
)
にふるえていた。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
(工夫付かざるごとく、書抜きを投げ出して考え始める。立って女の手を取るごとき形をしてみる。また書抜きを開いてじっと見詰める)死出三
途
(
ず
)
の道なりとも
藤十郎の恋
(新字新仮名)
/
菊池寛
(著)
いち
途
(
ず
)
の不安に京弥たちふたりはおろおろして左右からつめよったが、しかし主水之介はもう高枕です。
旗本退屈男:11 第十一話 千代田城へ乗り込んだ退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
お國と源次郎の
奸策
(
わるだくみ
)
の
一伍一什
(
いちぶしゞゅう
)
を
立聞
(
たちぎゝ
)
致しまして、孝助は自分の部屋へ帰り、もう是までと思い詰め、
姦夫
(
かんぷ
)
姦婦
(
かんぷ
)
を殺すより
外
(
ほか
)
に
手段
(
てだて
)
はないと忠心一
途
(
ず
)
に思い込み
怪談牡丹灯籠:04 怪談牡丹灯籠
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
忠義一
途
(
ず
)
の昔かたぎだからおやしきにわるいことがあろうとは信じられない。
苦心の学友
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
「一時は、死んでお詫びとまで思ったところ、体を
粉
(
こ
)
にするぐらいは、何の
糸瓜
(
へちま
)
でもありあしません」気を持ち直すと江戸者はお先一
途
(
ず
)
。
鳴門秘帖:01 上方の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
先刻
(
せんこく
)
そなたは三
途
(
ず
)
の
川
(
かわ
)
や、
閻魔様
(
えんまさま
)
の
事
(
こと
)
を
考
(
かんが
)
えていたらしいが、あれは
仏者
(
ぶっしゃ
)
の
方便
(
ほうべん
)
である。
嘘
(
うそ
)
でもないが
又
(
また
)
事実
(
じじつ
)
でもない。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
目は明いておるが
盲目
(
めくら
)
であったと申すか。道理で
蛤
(
はまぐり
)
のような目を致しおったわい。それにしても源七とやらは、とうにもう大川から三
途
(
ず
)
の川あたりへ参っている筈じゃ。
旗本退屈男:10 第十話 幽霊を買った退屈男
(新字新仮名)
/
佐々木味津三
(著)
わたしはこの
途
(
ず
)
を外してはならないと思って、ふだんから思っていることを一度にみんな言ってしまいました。家来に口説かれて、御新造はいよいよ呆れたのかも知れません。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
という辱に、体じゅうを
焦
(
や
)
かれていた。この汚れた母の体で、何でふたたび不知哉丸を膝に抱けようかと、一
途
(
ず
)
に思いつめているのらしい。
私本太平記:05 世の辻の帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
しかもその二つの亡骸を井戸から引揚げたときに、家来らはまたもや意外の事実におどろかされた、今まで都の官女とのみ一
途
(
ず
)
に信じていた梅と桜とは、まがうかたなき男であった。
青蛙堂鬼談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
とまで、信仰の一
途
(
ず
)
を訴えたが、師父のセスベデスは、受洗してもしないでも、信仰さえ懸命につらぬけば——と、
肯
(
き
)
き入れてくれなかった。
日本名婦伝:細川ガラシヤ夫人
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
誰かに奪られたものと一
途
(
ず
)
に思い込んだのだろう。
探偵夜話
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
と、一
途
(
ず
)
に百六十五里をやって来たに違いない。内蔵助は三名の眼のうちに、その急激な意気を読みとって
新編忠臣蔵
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
何かへ、一
途
(
ず
)
になっている若い心に、無理な、逆らい立てをしてもよくあるまいと、
世馴
(
よな
)
れたお吉は程よく足止めをしておいて、今日はそれとなく川長へ行った。
鳴門秘帖:04 船路の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
金吾は一
途
(
ず
)
です、死に身です。積日の怨みをこの機会にすすがなければ、彼の立場はありません。生きて
何人
(
なんびと
)
に会わせる顔もない。こう死を期している彼でした。
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
行く先々で、地獄ゆきの
落人
(
おちゅうど
)
ばかりに行き会う。……お通さん、六道三
途
(
ず
)
で溺れかけたら、いつでもわしの名をお呼び。いいか、沢庵の名を思い出して呼ぶのだぞ。
宮本武蔵:03 水の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「そうなすッて下さいまし、あいつさえ片づければ、あっしも肩の荷が下りますので、あとは若様の為に、夜光の短刀でも何でも一
途
(
ず
)
になって、お力添えいたします」
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
「或はもう、今越えたのが三
途
(
ず
)
の川、今踏んでゆく道が一里塚、行くての丘は針の山かもしれません。——しかし、自分を生かす活路はこの一筋よりほかにあろうとも思われぬ」
宮本武蔵:05 風の巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
『あっ、では一
途
(
ず
)
に。……ば、ばかな、何の
的
(
あて
)
があって!』
死んだ千鳥
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
“途”の意味
《名詞》
(ト、みち)道。道筋。
(出典:Wiktionary)
途
常用漢字
中学
部首:⾡
10画
“途”を含む語句
前途
帰途
途中
一途
途上
歸途
目途
冥途
中途
行途
途端
途絶
途次
長途
三途河
途切
半途
途断
途法
中途半端
...