“すり”のいろいろな漢字の書き方と例文
カタカナ:スリ
語句割合
掏摸66.9%
5.8%
5.0%
3.6%
掏賊3.6%
3.6%
攫徒2.9%
掏児1.4%
掬摸1.4%
攫客1.4%
(他:6)4.4%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
『おおかた、ごまの蠅とやら、掏摸すりとやらいう、盗児とうじじゃろう。それが、礼に来おったとみえる。可愛ゆいもののう』
梅颸の杖 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「懐中物を女の掏摸すりめに、すられたほどのうつけ者だよ、善人といってもよいではないか。……しかも大切な懐中物だった」
娘煙術師 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
それはすりガラスの窓を透してさすようなやわらげられた光りにみたされ、夏と同様なかがやく砂のゆかをもっている。
「清閑院の杉戸をとっぱらって、バアのようなすりガラスの戸をはめこんだのも?」
我が家の楽園 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
その時気がついたんだが彼の背広はあちこちすり切れていて、今日はカラアも着けていなかった。
(新字新仮名) / 梅崎春生(著)
で、手撈てさぐりに、火鉢の抽斗ひきだしからマツチを取出すと、手捷てばしこすりつけて、一昨日おとゝひ投出ほうりだして行つたまゝのランプを
絶望 (旧字旧仮名) / 徳田秋声(著)
このすりは色がよくないが、陳列されていた薄暗い隅では騎手の体の線まで活々と見えて私も一寸面白く思いました。
すると其時夕刊の紙面に落ちてゐた外光が、突然電燈の光に変つて、すりの悪い何欄かの活字が意外な位あざやかに私の眼の前へ浮んで来た。
蜜柑 (新字旧仮名) / 芥川竜之介(著)
私は掏賊すりだ、はじめから敵に対しては、機謀権略、反間苦肉、あらゆる辣手段らつしゅだんを弄して差支えないと信じた。
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
早瀬 それでなくッてさえ、掏賊すりの同類だ、あいずりだと、新聞ではやされて、そこらに、のめのめ居られるものか。
湯島の境内 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
「これが一番大きくって心持がいいでしょう」と云った下女は、津田のためにすり硝子のはまった戸をがらがらと開けてくれた。
明暗 (新字新仮名) / 夏目漱石(著)
むかし富士山に登つた時、砂走で轉んですりむいた膝子ひざつこの傷痕を撫でながら、日本晴の空にそそり立つ此の國の山々の姿を想ひ描くのである。
山を想ふ (旧字旧仮名) / 水上滝太郎(著)
大分、もう売って行ってほとんど出盛りのテッペンと思う頃、仕事をしに入り込んでいた攫徒すりの連中が、ちょうど私たちの店の前で喧嘩けんかを始めた。
「じゃ、まあ、知らないとして。それから、お話するですがね。早瀬は、あれは、攫徒すりの手伝いをする、巾着切きんちゃくきりの片割のような男ですぞ!」
婦系図 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
最初は、その自白も疑ってみたが、彼の掏児すりであることは、いくらでも証拠だてられた。また、筋違御門すじかいごもんで編笠の侍から掏り盗ったという紙入れまで、そこへ、吐いて見せた。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
自身番の番太郎に手伝わせて、掏児すりの別府新七を、奉行所の揚屋あがりやへ差送った後、東儀与力は、もはや暗黒の迷宮から曙光をつかんだような気持で、さらに、次の電撃的な飛躍の手順を立てた。
牢獄の花嫁 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
「うむ、墓原へでも寝にくか、嘘をけ! き様掬摸すりじゃろう、」とほとんど狂人きちがいひとしい譫言うわごとを言ったけれども、梓はよく人を見て
湯島詣 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
前科六犯の追い剥ぎ、強盗、掬摸すり窃盗しのび……悪事ときたら何でもござれの、デパートみたいな男であったが、これも亡くなった父親に助けられたのを徳として、フッツリと悪の道を絶って、今ではこの私立探偵親子二代にわたって、忠実な手先を務めている。
グリュックスブルグ王室異聞 (新字新仮名) / 橘外男(著)
さりともらぬミハイル、アウエリヤヌイチは、大得意だいとくいで、仏蘭西フランス早晩そうばん独逸ドイツやぶってしまうだろうとか、モスクワには攫客すりおおいとか、うま見掛みかけばかりでは、その真価しんかわからぬものであるとか。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
りともらぬミハイル、アウエリヤヌヰチは、大得意だいとくいで、佛蘭西フランス早晩さうばん獨逸ドイツやぶつてしまふだらうとか、モスクワには攫客すりおほいとか、うま見掛計みかけばかりでは、其眞價そのしんかわからぬものであるとか。
六号室 (旧字旧仮名) / アントン・チェーホフ(著)
口をしや剪児すりよ盗人と万人にわめかれし事もありき。
琴の音 (新字旧仮名) / 樋口一葉(著)
口をしや剪兒すりよ盜人と萬人にわめかれし事もありき。
琴の音 (旧字旧仮名) / 樋口一葉(著)
江戸えど掏兒すりは、ひと下駄げたがすとくが、唐人たうじんだけに穿いてくつがされて、あまつさ屋根やねげられた、とふのがひとつ。
人参 (旧字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
金吾も、これは多少疑わないでもありませんでしたが、深くたずねてみると、かれは、江戸の盗賊や掏模すりやけいず買いどもが集まる、今日の暗やみ市を機会に、一網打尽、大がかりな手入れをやる気組きぐみらしいのであります。
江戸三国志 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
早春の斜陽がガラス戸越しに差し入り、白い原稿用紙の上に、すりガラスの模様を映している。ガラス障子は真中を開いておくので、まだ羽虫の群れが跳ねているのが見えている。日も幾分長くなったようである。
澪標 (新字新仮名) / 外村繁(著)
翌日よくじつ新聞しんぶんには、やみなか摸摸すり何人なんにんとやらんで、何々なに/\しなぬすまれたとのことをげて、さかん会社くわいしや不行届ふゆきとどき攻撃こうげきしたのがあつた。
検疫と荷物検査 (新字旧仮名) / 杉村楚人冠(著)