“踣(の)” の例文
突臥(つっぷ)したんだの、俯向(うつむ)いたんだの、壁で頭を冷してるのもあれば、煙管(きせる)で額へ突支棒(つっかいぼう)をして、畳へ踣(の)めったようなのもある。
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
が、秋三の冷たい微笑を思い出すと身体が竦(すく)んで固まった。彼は秋三に追いついて力限り打ち踣(の)めしてしまいたかった。恋人との婚姻もこのまま永久に引き延ばしていたかった。
南北 (新字新仮名) / 横光利一(著)
文壇への更生を謀(はか)ろうとして心血を灑(そそ)いでいたもので、その衷情を訴えられてみると、庸三も一概に見切りをつける気にはなれず、打ち踣(の)めされながらもまた起きあがろうと悶踠(もが)いている彼女に
仮装人物 (新字新仮名) / 徳田秋声(著)
ボーン、ボーン、ボーン、あれ、それそれ転ぶわ、踣(の)めるわ、這(は)うわ。とまったか、たかったか。誰じゃ、名告れ、名告らぬか、名告れ。……ボーン
吉原新話 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)
その時、夜あけ頃まで、堀の上をうろついて、いつ家(うち)へ帰ったか、草へもぐったのか、蒲団(ふとん)を引被(ひきかぶ)ったのか分らない。打(ぶ)ち踣(の)めされたようになって寝た耳へ
縷紅新草 (新字新仮名) / 泉鏡花(著)