)” の例文
旧字:
そのとき、露子つゆこは、いうにいわれぬなつかしい、とおかんじがしまして、このいいおとのするオルガンはふねってきたのかとおもいました。
赤い船 (新字新仮名) / 小川未明(著)
若者わかものは、近所きんじょぬのたんわりに、手綱たづなとくつわをってうまにつけますと、さっそくそれにって、またずんずんあるいて行きました。
一本のわら (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
一廻ひとまはりくるりとにまはつて前足まへあしをついて、棒杭ばうぐひうへつて、お天気てんきるのであらう、仰向あをむいてそらた。れるといまにくよ。
化鳥 (新字旧仮名) / 泉鏡花(著)
『怒りはしない。迷信をわらったのだ。いや、迷信があるのは、かえって倖せかもしれぬ。おそらく、あの馬に、はなかろう』
それかと云って、厚着あつぎをして不形恰ぶかっこうに着ぶくれたどうの上に青い小さな顔がって居る此のへんな様子で人の集まる処へ出掛でかける気もしない。
秋風 (新字新仮名) / 宮本百合子(著)
其日そのひかぜが強くいた。かつくるしさうに、まへほうこゞんでけた。つてゐた代助は、二重のあたまがぐる/\回転するほど、かぜに吹かれた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
検疫船けんえきせん検疫医けんえきいむ。一とう船客せんかくどう大食堂だいしよくだうあつめられて、事務長じむちやうへんところにアクセントをつけて船客せんかくげる。
検疫と荷物検査 (新字旧仮名) / 杉村楚人冠(著)
最初さいしょわたくしうまるのがいやでございましたが、良人おっとから『女子じょしでもそれくらいことる』とわれ、それからおしえてもらいました。
あわてゝ手探りに枕元にある小さな鋼鉄くろがね如意にょいを取ってすかして見ると、判然はっきりは分りませんが、頬被ほうかぶりをした奴が上へしかゝっている様子。
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
お馬のジヤンコジヤンコもおもしろいでせう。それにまた、「そりやまだわかい。若船わかぶねつて、からまでわたれ。」(紀伊)といふのもあります。
お月さまいくつ (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
子どもはった。ふねがまん中ごろに来たとき、おらは見ないふりしてよく子供を見た。きちんとひざに手をいて、そらを見ながらすわっていた。
ざしき童子のはなし (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
松井田より汽車に乗りて高崎にいたり、ここにてりかえて新町につき、人力車をやといて本庄にゆけば、上野までの汽車みち、阻礙なしといえり。
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
あるひはラブがなかつたせいかもれぬ。つましんからわたしれてるほど、夫婦ふうふ愛情あいじやうあぶらつてないせいかもれぬ。
背負揚 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
今頃いまごろ馬車ばしゃにでもって、郊外こうがいったらさぞいいでしょう。』と、イワン、デミトリチはあかこすりながらう。
六号室 (新字新仮名) / アントン・チェーホフ(著)
おおきくうなずいた伝吉でんきちは、おりからとおあわせた辻駕籠つじかごめて、笠森稲荷かさもりいなり境内けいだいまでだと、酒手さかてをはずんでんだ。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
ところが、このブナの木は、ほかの木の枝にりうつることができるほど高くはなかったのです。といって、もちろん、下へおりる気にはなれません。
そうしてこういうことが、自己じこ天職てんしょくからみてもかえってとうといのじゃないかなど考えながら、ますますになって農民にしたしむことをつとめた。
老獣医 (新字新仮名) / 伊藤左千夫(著)
かんじきにてあし自在じざいならず、雪ひざすゆゑ也。これ冬の雪中一ツの艱難かんなんなり。春は雪こほり銕石てつせきのごとくなれば、雪車そり(又雪舟そりの字をも用ふ)を以ておもきす。
「女王」といふのは毎歳いつもの村祭に、山車だしの上にさつて花輪を捧げ持つ、子供達の王様を謂ふのでした。
女王 (新字旧仮名) / 野口雨情(著)
ある時なんかは、しろの中にってあるぞう背中せなかって、裏門うらもんから町へでて行こうとまでしました。
強い賢い王様の話 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
「おお、わたしを帰してください」と、わたしはいまのやさしいことばにって、ごえを出した。
羽搏はばた元気げんきもしだいにつて、たゞつかれはてたからだは、はげしいきりのながれにつてただよつてゐた。そのとき、ラランのわるはずつとペンペをはなれて、うへほうんでゐた。
火を喰つた鴉 (新字旧仮名) / 逸見猶吉(著)
あなたがおでいになるたんびに、絹紐きぬひもを一ぽんずつってください、ね、あたしそれで梯子はしごんで、それが出来上できあがったら、したりますから、うませて、れてって頂戴ちょうだい
道子みちこ上野うへのから省線電車しやうせんでんしや松戸まつどえきりたが、てらだけは思出おもひだすことができたものゝ、その場処ばしよまつたわすれてゐるので、駅前えきまへにゐるりんタクをんでそれにつてくと
吾妻橋 (新字旧仮名) / 永井荷風永井壮吉(著)
ローズ・ブノワさんは、その楽園らくえんにある花の名前なまえ全部ぜんぶと、その方舟はこぶねっていたけものの名前を全部っています。それから、ジャンセエニュ先生せんせいと同じ数だけのお伽話とぎばなしを知っています。
母の話 (新字新仮名) / アナトール・フランス(著)
潮騒しほさゐ伊良虞いらご島辺しまべふねいもるらむかあら島回しまみを 〔巻一・四二〕 柿本人麿
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
あれと云う間に、孱弱かよわい冬子は落葉の上に捻倒ねじたおされると、お葉はかかって庇髪ひさしがみを掴んだ。七兵衛はきもを潰して、すぐ背後うしろから抱きすくめたが、お葉は一旦掴んだ髪を放さなかった。
飛騨の怪談 (新字新仮名) / 岡本綺堂(著)
始発駅しはつえきで、さけのつみこみをおわって、戸をしめるすきにはいりこんだものだろうが、なにしろひとりで汽車へりこんだくまもめずらしいというので、駅員えきいんたちがだいじにっていたが
くまと車掌 (新字新仮名) / 木内高音(著)
そこでようやく地主じぬしは、はらのむしがおさまりました。けれど、あまりどなりちらしたので、からだがふるえるとみえて、二、三べん自転車じてんしゃりそこね、それからうまくのって、ってしまいました。
牛をつないだ椿の木 (新字新仮名) / 新美南吉(著)
かの女の生涯の口癖は「ママママか」
生々流転 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
すばやくへいえて突進とっしんする
あるとき、一のつばめは、ふねろうとおもって、とおいところから、いそいでんできましたが、すでにふねってしまったあとでした。
赤い船とつばめ (新字新仮名) / 小川未明(著)
一体いつたい東海道とうかいだう掛川かけがは宿しゆくからおなじ汽車きしやんだとおぼえてる、腰掛こしかけすみかうべれて、死灰しくわいごとひかへたから別段べつだんにもまらなかつた。
高野聖 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
これはかみなりがあんまり調子ちょうしって、くもの上をまわるひょうしに、あしみはずして、の上にちて、目をまわしたのでした。お百姓ひゃくしょう
雷のさずけもの (新字新仮名) / 楠山正雄(著)
聞いて見ると、玄関にあつた車は、ちゝきやくつてたものであつた。代助はながゝらなければ、きやくの帰る迄たうと思つた。
それから (新字旧仮名) / 夏目漱石(著)
手綱たづなにそうとう要意ようい覚悟かくごをもてば、自分とて、こんなところをり落とすことができないではないが、帰る場合ばあいにどうしよう?
神州天馬侠 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
あみシャツの人は、馬にって、またかけて行ったし、子どもらは、ぼくらの仲間なかまにはいろうと、きしすわってっていた。
さいかち淵 (新字新仮名) / 宮沢賢治(著)
ひとこころこころって、いよいよ調子ちょうしづいたのであろう。茶代ちゃだいいらずのそのうえにどさくさまぎれの有難ありがたさは、たとえ指先ゆびさきへでもさわればさわどくかんがえての悪戯いたずらか。
おせん (新字新仮名) / 邦枝完二(著)
ガチョウのせなかにっかって、はじめて空を飛んだとき、スコーネの土地が市松いちまつもようのぬののように見えたことを、そのとき、ふと思いだしました。
し掛り斬ろうとする処へ、馬子の作藏が與助のわきから飛び出して、突然いきなり足を上げて與助を蹴りましたからたまりません、與助はウンといって倒れました。
真景累ヶ淵 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
調度類ちょうどるい前以まえもっ先方せんぽうおくとどけていて、あとから駕籠かごにのせられて、おおきな行列ぎょうれつつくってんだまでのはなしで……しきはもちろん夜分やぶんげたのでございます。
松井田にて西洋人のりしとき、車丁の荷物にもつを持ちはこびたると、松井田より本庄まで汽車きしゃのかよわぬ軌道を、洋服きたる人の妻子婢妾にとおらせ、猶きたらでか
みちの記 (新字新仮名) / 森鴎外(著)
さうすれば自然しぜんあのかたのお名前なまへにもきずのつくことでございますから、ふねにおりになるまで、我慢がまんしてゐたはうが、双方さうはう利益りえきだらうと、あにもさうまうしますものですから。
彼女の周囲 (新字旧仮名) / 徳田秋声(著)
或はまた山に九曲まがりくねりあるには、くだんのごとくにくゝしたるたきゞそりり、片足かたあしをあそばせて是にてかぢをとり、船をはしらすがごとくして難所なんじよよけて数百丈のふもとにくだる、一ツもあやまつことなし。
うしろの方につづいてる車では、もうってるおきゃくたちもたいていうとうととねむってるころで、あたりはしいんとした山の中の夜で、ただ私たちだけがおきていて、かまに石炭せきたんの火をたき
ばかな汽車 (新字新仮名) / 豊島与志雄(著)
おもい、にまぎれて、へいえて、魔法まほうつかいのにわはいり、大急おおいそぎで、を一つかみいてて、おかみさんにわたすと、おかみさんはそれでサラダをこしらえて、うまそうにべました。
うまつて
お月さまいくつ (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
汽船きせんがこのしまきました。そのふねには、一人ひとり大金持おおがねもちがっていましたが、上陸じょうりくすると、庭園ていえん主人しゅじんのところにやってきました。
花咲く島の話 (新字新仮名) / 小川未明(著)
さかづきをさめるなり汽車きしやつていへ夫婦ふうふ身体からだは、人間にんげんだかてふだか区別くべつかない。遥々はる/″\た、とはれてはなんとももつきまりわるい。
神鑿 (新字旧仮名) / 泉鏡花泉鏡太郎(著)
「ああん、ああん、瓜子姫子うりこひめこるかごに、あまんじゃくがって行く。瓜子姫子うりこひめこるかごに、あまんじゃくがって行く。」
瓜子姫子 (新字新仮名) / 楠山正雄(著)