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乗
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の
ふりがな文庫
“
乗
(
の
)” の例文
旧字:
乘
そのとき、
露子
(
つゆこ
)
は、いうにいわれぬ
懐
(
なつ
)
かしい、
遠
(
とお
)
い
感
(
かん
)
じがしまして、このいい
音
(
おと
)
のするオルガンは
船
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
ってきたのかと
思
(
おも
)
いました。
赤い船
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
若者
(
わかもの
)
は、
近所
(
きんじょ
)
で
布
(
ぬの
)
一
反
(
たん
)
の
代
(
か
)
わりに、
手綱
(
たづな
)
とくつわを
買
(
か
)
って
馬
(
うま
)
につけますと、さっそくそれに
乗
(
の
)
って、またずんずん
歩
(
ある
)
いて行きました。
一本のわら
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
一廻
(
ひとまはり
)
くるりと
環
(
わ
)
にまはつて
前足
(
まへあし
)
をついて、
棒杭
(
ばうぐひ
)
の
上
(
うへ
)
へ
乗
(
の
)
つて、お
天気
(
てんき
)
を
見
(
み
)
るのであらう、
仰向
(
あをむ
)
いて
空
(
そら
)
を
見
(
み
)
た。
晴
(
は
)
れるといまに
行
(
ゆ
)
くよ。
化鳥
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
『怒りはしない。迷信を
嗤
(
わら
)
ったのだ。いや、迷信があるのは、かえって倖せかもしれぬ。おそらく、あの馬に、
乗
(
の
)
り
人
(
て
)
はなかろう』
新・平家物語:02 ちげぐさの巻
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
それかと云って、
厚着
(
あつぎ
)
をして
不形恰
(
ぶかっこう
)
に着ぶくれた
胴
(
どう
)
の上に青い小さな顔が
乗
(
の
)
って居る此の
変
(
へん
)
な様子で人の集まる処へ
出掛
(
でか
)
ける気もしない。
秋風
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
▼ もっと見る
其日
(
そのひ
)
は
風
(
かぜ
)
が強く
吹
(
ふ
)
いた。
勝
(
かつ
)
は
苦
(
くる
)
しさうに、
前
(
まへ
)
の
方
(
ほう
)
に
曲
(
こゞ
)
んで
馳
(
か
)
けた。
乗
(
の
)
つてゐた代助は、二重の
頭
(
あたま
)
がぐる/\回転するほど、
風
(
かぜ
)
に吹かれた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
先
(
ま
)
づ
検疫船
(
けんえきせん
)
が
来
(
き
)
て
検疫医
(
けんえきい
)
が
乗
(
の
)
り
込
(
こ
)
む。一
等
(
とう
)
船客
(
せんかく
)
一
同
(
どう
)
大食堂
(
だいしよくだう
)
に
呼
(
よ
)
び
集
(
あつ
)
められて、
事務長
(
じむちやう
)
が
変
(
へん
)
な
所
(
ところ
)
にアクセントをつけて
船客
(
せんかく
)
の
名
(
な
)
を
読
(
よ
)
み
上
(
あ
)
げる。
検疫と荷物検査
(新字旧仮名)
/
杉村楚人冠
(著)
最初
(
さいしょ
)
私
(
わたくし
)
は
馬
(
うま
)
に
乗
(
の
)
るのが
厭
(
いや
)
でございましたが、
良人
(
おっと
)
から『
女子
(
じょし
)
でもそれ
位
(
くらい
)
の
事
(
こと
)
は
要
(
い
)
る』と
言
(
い
)
われ、それから
教
(
おし
)
えてもらいました。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
と
慌
(
あわ
)
てゝ手探りに枕元にある小さな
鋼鉄
(
くろがね
)
の
如意
(
にょい
)
を取って
透
(
すか
)
して見ると、
判然
(
はっきり
)
は分りませんが、
頬被
(
ほうかぶ
)
りをした奴が上へ
乗
(
の
)
しかゝっている様子。
菊模様皿山奇談
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
お馬のジヤンコジヤンコもおもしろいでせう。それにまた、「そりやまだ
若
(
わか
)
い。
若船
(
わかぶね
)
に
乗
(
の
)
つて、
唐
(
から
)
まで
渡
(
わた
)
れ。」(紀伊)といふのもあります。
お月さまいくつ
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
子どもは
乗
(
の
)
った。
舟
(
ふね
)
がまん中ごろに来たとき、おらは見ないふりしてよく子供を見た。きちんと
膝
(
ひざ
)
に手を
置
(
お
)
いて、そらを見ながらすわっていた。
ざしき童子のはなし
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
松井田より汽車に乗りて高崎に
抵
(
いた
)
り、ここにて
乗
(
の
)
りかえて新町につき、人力車を
雇
(
やと
)
いて本庄にゆけば、上野までの汽車みち、阻礙なしといえり。
みちの記
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
或
(
あるひ
)
はラブがなかつた
故
(
せい
)
かも
知
(
し
)
れぬ。
妻
(
つま
)
が
未
(
ま
)
だ
心
(
しん
)
から
私
(
わたし
)
に
触
(
ふ
)
れて
来
(
く
)
るほど、
夫婦
(
ふうふ
)
の
愛情
(
あいじやう
)
に
脂
(
あぶら
)
が
乗
(
の
)
つて
居
(
ゐ
)
ない
故
(
せい
)
かも
知
(
し
)
れぬ。
背負揚
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
『
今頃
(
いまごろ
)
は
馬車
(
ばしゃ
)
にでも
乗
(
の
)
って、
郊外
(
こうがい
)
へ
行
(
い
)
ったらさぞいいでしょう。』と、イワン、デミトリチは
赤
(
あか
)
い
眼
(
め
)
を
擦
(
こす
)
りながら
云
(
い
)
う。
六号室
(新字新仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
大
(
おお
)
きく
頷
(
うなず
)
いた
伝吉
(
でんきち
)
は、
折
(
おり
)
から
通
(
とお
)
り
合
(
あわ
)
せた
辻駕籠
(
つじかご
)
を
呼
(
よ
)
び
止
(
と
)
めて、
笠森稲荷
(
かさもりいなり
)
の
境内
(
けいだい
)
までだと、
酒手
(
さかて
)
をはずんで
乗
(
の
)
り
込
(
こ
)
んだ。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
ところが、このブナの木は、ほかの木の枝に
乗
(
の
)
りうつることができるほど高くはなかったのです。といって、もちろん、下へおりる気にはなれません。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
そうしてこういうことが、
自己
(
じこ
)
の
天職
(
てんしょく
)
からみてもかえってとうといのじゃないかなど考えながら、ますます
乗
(
の
)
り
気
(
き
)
になって農民に
親
(
した
)
しむことをつとめた。
老獣医
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
橇
(
かんじき
)
にて
足
(
あし
)
自在
(
じざい
)
ならず、雪
膝
(
ひざ
)
を
越
(
こ
)
すゆゑ也。これ冬の雪中一ツの
艱難
(
かんなん
)
なり。春は雪
凍
(
こほり
)
て
銕石
(
てつせき
)
のごとくなれば、
雪車
(
そり
)
(又
雪舟
(
そり
)
の字をも用ふ)を以て
重
(
おもき
)
を
乗
(
の
)
す。
北越雪譜:03 北越雪譜初編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
「女王」といふのは
毎歳
(
いつも
)
の村祭に、
山車
(
だし
)
の上に
乗
(
の
)
さつて花輪を捧げ持つ、子供達の王様を謂ふのでした。
女王
(新字旧仮名)
/
野口雨情
(著)
ある時なんかは、
城
(
しろ
)
の中に
飼
(
か
)
ってある
象
(
ぞう
)
の
背中
(
せなか
)
に
乗
(
の
)
って、
裏門
(
うらもん
)
から町へでて行こうとまでしました。
強い賢い王様の話
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
「おお、わたしを帰してください」と、わたしはいまの
優
(
やさ
)
しいことばに
乗
(
の
)
って、
泣
(
な
)
き
声
(
ごえ
)
を出した。
家なき子:01 (上)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
羽搏
(
はばた
)
く
元気
(
げんき
)
もしだいに
減
(
へ
)
つて、たゞ
疲
(
つか
)
れはてたからだは、はげしい
霧
(
きり
)
のながれに
乗
(
の
)
つて
漂
(
ただよ
)
つてゐた。そのとき、ラランの
悪
(
わる
)
はずつとペンペを
離
(
はな
)
れて、
上
(
うへ
)
の
方
(
ほう
)
を
飛
(
と
)
んでゐた。
火を喰つた鴉
(新字旧仮名)
/
逸見猶吉
(著)
あなたがお
出
(
でい
)
になるたんびに、
絹紐
(
きぬひも
)
を一
本
(
ぽん
)
宛
(
ずつ
)
持
(
も
)
って
来
(
き
)
て
下
(
くだ
)
さい、ね、あたしそれで
梯子
(
はしご
)
を
編
(
あ
)
んで、それが
出来上
(
できあが
)
ったら、
下
(
した
)
へ
降
(
お
)
りますから、
馬
(
うま
)
へ
乗
(
の
)
せて、
連
(
つ
)
れてって
頂戴
(
ちょうだい
)
。
ラプンツェル
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
道子
(
みちこ
)
は
上野
(
うへの
)
から
省線電車
(
しやうせんでんしや
)
に
乗
(
の
)
り
松戸
(
まつど
)
の
駅
(
えき
)
で
降
(
お
)
りたが、
寺
(
てら
)
の
名
(
な
)
だけは
思出
(
おもひだ
)
すことができたものゝ、その
場処
(
ばしよ
)
は
全
(
まつた
)
く
忘
(
わす
)
れてゐるので、
駅前
(
えきまへ
)
にゐる
輪
(
りん
)
タクを
呼
(
よ
)
んでそれに
乗
(
の
)
つて
行
(
ゆ
)
くと
吾妻橋
(新字旧仮名)
/
永井荷風
、
永井壮吉
(著)
ローズ・ブノワさんは、その
楽園
(
らくえん
)
にある花の
名前
(
なまえ
)
を
全部
(
ぜんぶ
)
と、その
方舟
(
はこぶね
)
に
乗
(
の
)
っていた
獣
(
けもの
)
の名前を全部
知
(
し
)
っています。それから、ジャンセエニュ
先生
(
せんせい
)
と同じ数だけのお
伽話
(
とぎばなし
)
を知っています。
母の話
(新字新仮名)
/
アナトール・フランス
(著)
潮騒
(
しほさゐ
)
に
伊良虞
(
いらご
)
の
島辺
(
しまべ
)
榜
(
こ
)
ぐ
船
(
ふね
)
に
妹
(
いも
)
乗
(
の
)
るらむか
荒
(
あら
)
き
島回
(
しまみ
)
を 〔巻一・四二〕 柿本人麿
万葉秀歌
(新字新仮名)
/
斎藤茂吉
(著)
あれと云う間に、
孱弱
(
かよわ
)
い冬子は落葉の上に
捻倒
(
ねじたお
)
されると、お葉は
乗
(
の
)
し
掛
(
かか
)
って
其
(
そ
)
の
庇髪
(
ひさしがみ
)
を掴んだ。七兵衛は
胆
(
きも
)
を潰して、
直
(
すぐ
)
に
背後
(
うしろ
)
から抱き
縮
(
すく
)
めたが、お葉は一旦掴んだ髪を放さなかった。
飛騨の怪談
(新字新仮名)
/
岡本綺堂
(著)
始発駅
(
しはつえき
)
で、さけのつみこみを
終
(
おわ
)
って、戸をしめるすきにはいりこんだものだろうが、なにしろひとりで汽車へ
乗
(
の
)
りこんだくまもめずらしいというので、
駅員
(
えきいん
)
たちがだいじに
飼
(
か
)
っていたが
くまと車掌
(新字新仮名)
/
木内高音
(著)
そこでようやく
地主
(
じぬし
)
は、はらのむしがおさまりました。けれど、あまりどなりちらしたので、
体
(
からだ
)
がふるえるとみえて、二、三べん
自転車
(
じてんしゃ
)
に
乗
(
の
)
りそこね、それからうまくのって、
行
(
い
)
ってしまいました。
牛をつないだ椿の木
(新字新仮名)
/
新美南吉
(著)
かの女の生涯の口癖は「
乗
(
の
)
る
(
ママ
)
か
逸
(
そ
)
る
(
ママ
)
か」
生々流転
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
すばやく
塀
(
へい
)
を
乗
(
の
)
り
越
(
こ
)
えて
突進
(
とっしん
)
する
一九三二・二・二六:―白テロに斃た××聯隊の革命的兵士に―
(新字旧仮名)
/
槙村浩
(著)
あるとき、一
羽
(
わ
)
のつばめは、
船
(
ふね
)
に
乗
(
の
)
ろうと
思
(
おも
)
って、
遠
(
とお
)
いところから、
急
(
いそ
)
いで
飛
(
と
)
んできましたが、すでに
船
(
ふね
)
の
立
(
た
)
ってしまった
後
(
あと
)
でした。
赤い船とつばめ
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
一体
(
いつたい
)
東海道
(
とうかいだう
)
掛川
(
かけがは
)
の
宿
(
しゆく
)
から
同
(
おなじ
)
汽車
(
きしや
)
に
乗
(
の
)
り
組
(
く
)
んだと
覚
(
おぼ
)
えて
居
(
ゐ
)
る、
腰掛
(
こしかけ
)
の
隅
(
すみ
)
に
頭
(
かうべ
)
を
垂
(
た
)
れて、
死灰
(
しくわい
)
の
如
(
ごと
)
く
控
(
ひか
)
へたから
別段
(
べつだん
)
目
(
め
)
にも
留
(
と
)
まらなかつた。
高野聖
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
これは
雷
(
かみなり
)
があんまり
調子
(
ちょうし
)
に
乗
(
の
)
って、
雲
(
くも
)
の上を
駆
(
か
)
け
回
(
まわ
)
るひょうしに、
足
(
あし
)
を
踏
(
ふ
)
みはずして、
地
(
ち
)
の上に
落
(
お
)
ちて、目を
回
(
まわ
)
したのでした。お
百姓
(
ひゃくしょう
)
は
雷のさずけもの
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
聞いて見ると、玄関にあつた車は、
父
(
ちゝ
)
の
客
(
きやく
)
の
乗
(
の
)
つて
来
(
き
)
たものであつた。代助は
長
(
なが
)
く
懸
(
か
)
ゝらなければ、
客
(
きやく
)
の帰る迄
待
(
ま
)
たうと思つた。
それから
(新字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
手綱
(
たづな
)
にそうとう
要意
(
ようい
)
と
覚悟
(
かくご
)
をもてば、自分とて、こんなところを
乗
(
の
)
り落とすことができないではないが、帰る
場合
(
ばあい
)
にどうしよう?
神州天馬侠
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
網
(
あみ
)
シャツの人は、馬に
乗
(
の
)
って、またかけて行ったし、子どもらは、ぼくらの
仲間
(
なかま
)
にはいろうと、
岸
(
きし
)
に
座
(
すわ
)
って
待
(
ま
)
っていた。
さいかち淵
(新字新仮名)
/
宮沢賢治
(著)
人
(
ひと
)
の
心
(
こころ
)
が
心
(
こころ
)
に
乗
(
の
)
って、
愈
(
いよいよ
)
調子
(
ちょうし
)
づいたのであろう。
茶代
(
ちゃだい
)
いらずのその
上
(
うえ
)
にどさくさまぎれの
有難
(
ありがた
)
さは、たとえ
指先
(
ゆびさき
)
へでも
触
(
さわ
)
れば
触
(
さわ
)
り
得
(
どく
)
と
考
(
かんが
)
えての
悪戯
(
いたずら
)
か。
おせん
(新字新仮名)
/
邦枝完二
(著)
ガチョウのせなかに
乗
(
の
)
っかって、はじめて空を飛んだとき、スコーネの土地が
市松
(
いちまつ
)
もようの
布
(
ぬの
)
のように見えたことを、そのとき、ふと思いだしました。
ニールスのふしぎな旅
(新字新仮名)
/
セルマ・ラーゲルレーヴ
(著)
乗
(
の
)
し掛り斬ろうとする処へ、馬子の作藏が與助の
傍
(
わき
)
から飛び出して、
突然
(
いきなり
)
足を上げて與助を蹴りましたから
堪
(
たま
)
りません、與助はウンといって倒れました。
真景累ヶ淵
(新字新仮名)
/
三遊亭円朝
(著)
調度類
(
ちょうどるい
)
は
前以
(
まえもっ
)
て
先方
(
せんぽう
)
へ
送
(
おく
)
り
届
(
とど
)
けて
置
(
お
)
いて、
後
(
あと
)
から
駕籠
(
かご
)
にのせられて、
大
(
おお
)
きな
行列
(
ぎょうれつ
)
を
作
(
つく
)
って
乗
(
の
)
り
込
(
こ
)
んだまでの
話
(
はなし
)
で……
式
(
しき
)
はもちろん
夜分
(
やぶん
)
に
挙
(
あ
)
げたのでございます。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
松井田にて西洋人の
乗
(
の
)
りしとき、車丁の
荷物
(
にもつ
)
を持ちはこびたると、松井田より本庄まで
汽車
(
きしゃ
)
のかよわぬ軌道を、洋服きたる人の妻子婢妾にとおらせ、猶
飽
(
あ
)
きたらでか
みちの記
(新字新仮名)
/
森鴎外
(著)
さうすれば
自然
(
しぜん
)
あの
方
(
かた
)
のお
名前
(
なまへ
)
にも
傷
(
きず
)
のつくことでございますから、
船
(
ふね
)
にお
乗
(
の
)
りになるまで、
我慢
(
がまん
)
してゐた
方
(
はう
)
が、
双方
(
さうはう
)
の
利益
(
りえき
)
だらうと、
兄
(
あに
)
もさう
申
(
まう
)
しますものですから。
彼女の周囲
(新字旧仮名)
/
徳田秋声
(著)
或はまた山に
九曲
(
まがりくねり
)
あるには、
件
(
くだん
)
のごとくに
縛
(
くゝ
)
したる
薪
(
たきゞ
)
の
輴
(
そり
)
に
乗
(
の
)
り、
片足
(
かたあし
)
をあそばせて是にて
楫
(
かぢ
)
をとり、船を
走
(
はしら
)
すがごとくして
難所
(
なんじよ
)
を
除
(
よけ
)
て数百丈の
麓
(
ふもと
)
にくだる、一ツも
過
(
あやまつ
)
ことなし。
北越雪譜:06 北越雪譜二編
(新字旧仮名)
/
鈴木牧之
、
山東京山
(著)
後
(
うしろ
)
の方につづいてる車では、もう
乗
(
の
)
ってるお
客
(
きゃく
)
たちもたいていうとうとと
眠
(
ねむ
)
ってる
頃
(
ころ
)
で、あたりはしいんとした山の中の夜で、ただ私たちだけがおきていて、かまに
石炭
(
せきたん
)
の火をたき
ばかな汽車
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
と
思
(
おも
)
い、
夜
(
よ
)
にまぎれて、
塀
(
へい
)
を
乗
(
の
)
り
越
(
こ
)
えて、
魔法
(
まほう
)
つかいの
庭
(
にわ
)
へ
入
(
はい
)
り、
大急
(
おおいそ
)
ぎで、
菜
(
な
)
を一つかみ
抜
(
ぬ
)
いて
来
(
き
)
て、おかみさんに
渡
(
わた
)
すと、おかみさんはそれでサラダをこしらえて、
旨
(
うま
)
そうに
食
(
た
)
べました。
ラプンツェル
(新字新仮名)
/
ヤーコプ・ルートヴィッヒ・カール・グリム
、
ヴィルヘルム・カール・グリム
(著)
お
馬
(
うま
)
に
乗
(
の
)
つて
お月さまいくつ
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
汽船
(
きせん
)
がこの
島
(
しま
)
に
着
(
つ
)
きました。その
船
(
ふね
)
には、
一人
(
ひとり
)
の
大金持
(
おおがねも
)
ちが
乗
(
の
)
っていましたが、
上陸
(
じょうりく
)
すると、
庭園
(
ていえん
)
の
主人
(
しゅじん
)
のところにやってきました。
花咲く島の話
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
盃
(
さかづき
)
を
納
(
をさめ
)
るなり
汽車
(
きしや
)
に
乗
(
の
)
つて
家
(
いへ
)
を
出
(
で
)
た
夫婦
(
ふうふ
)
の
身体
(
からだ
)
は、
人間
(
にんげん
)
だか
蝶
(
てふ
)
だか
区別
(
くべつ
)
が
附
(
つ
)
かない。
遥々
(
はる/″\
)
来
(
き
)
た、と
言
(
い
)
はれては
何
(
なん
)
とも
以
(
もつ
)
て
極
(
きまり
)
が
悪
(
わる
)
い。
神鑿
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
「ああん、ああん、
瓜子姫子
(
うりこひめこ
)
の
乗
(
の
)
るかごに、あまんじゃくが
乗
(
の
)
って行く。
瓜子姫子
(
うりこひめこ
)
の
乗
(
の
)
るかごに、あまんじゃくが
乗
(
の
)
って行く。」
瓜子姫子
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
乗
常用漢字
小3
部首:⼃
9画
“乗”を含む語句
乗掛
乗馬
名乗
上乗
乗客
乗合自動車
乗合
船乗
合乗
相乗
乗組
乗組員
乗出
乗込
乗越
馬乗
便乗
岩乗
乗換
乗切
...