“潮騒”のいろいろな読み方と例文
旧字:潮騷
読み方割合
しおさい54.8%
しおざい22.6%
しほざゐ12.9%
しほさゐ6.5%
しほざい3.2%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
そのカークの言葉を身にむように聴きながら、座間はくらい海の滅入るような潮騒しおさいとともに、ひそかにむせびはじめていたのだ。
人外魔境:01 有尾人 (新字新仮名) / 小栗虫太郎(著)
——が、その雲脚くもあしの如き勢も、城の間近まで来たかと思うと、ぴたと止って、ただ遠く潮騒しおさいに似た喊声かんせいが聞えて来るのみだった。
三国志:09 図南の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
お庭をわたる松風のと、江戸の町々のどよめきとが、潮騒しおさいのように遠くかすかに聞こえてくる、ここは、お城の表と大奥との境目——お錠口じょうぐち
丹下左膳:03 日光の巻 (新字新仮名) / 林不忘(著)
行手に当って、真黒な潮騒しおさいのような、何とも言えずすさまじいわめき声が、地をうようにひびいているのだ。
雪之丞変化 (新字新仮名) / 三上於菟吉(著)
そのザブ(雑沓)のざわめきが、暗い池の端に立った俺の耳には何か遠い潮騒しおさいのようだった。
いやな感じ (新字新仮名) / 高見順(著)
ただはるかな山すそから、干潮になった無月の潮騒しおざいが、海妖かいようの単調な誘惑の歌のように、なまめかしくなでるように聞こえて来るばかりだ。
生まれいずる悩み (新字新仮名) / 有島武郎(著)
敬二郎は驚きの目をみはって言った。彼の胸は潮騒しおざいのようにせわしく乱れていた。彼は紀久子の顔から、いつまでも目を離すことができなかった。
恐怖城 (新字新仮名) / 佐左木俊郎(著)
風が出たとみえて、庭の立樹たちきがゴウッ——潮騒しおざいのように鳴り渡って、古い家である、頭のうえで、家棟やむね震動しんどうがむせび泣くように聞えてくる。
魔像:新版大岡政談 (新字新仮名) / 林不忘(著)
墓地の草の葉を撫でていく湿った海風は誰のためだろう? 潮騒しおざいのような風の音、滲みだすようにひびいてくる爆音は誰のためだろう? それは墓の前に坐っているあたしのためだ。
だいこん (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
頭の上ではざあざあと降りしきる雨の中に、荒海の潮騒しおざいのような物すごい響きが何か変事でもわいて起こりそうに聞こえていた。
或る女:2(後編) (新字新仮名) / 有島武郎(著)
太初はじめから「生命」を知らぬ砂山と、無窮に醒めて眠らぬ潮騒しほざゐの海との間に、三人の——生れたり死んだりする三人の男が居る。
漂泊 (新字旧仮名) / 石川啄木(著)
日あたりに杉の落葉を燃しつけて酒わかすの晴れの潮騒しほざゐ
風隠集 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
おきつ潮騒しほざゐすべりゆくふなばた近くむれつどふ。
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
南湖院潮騒しほざゐひくし春もややけにつつありて人は果てたり
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
心もともに、はためきて、潮騒しほざゐ高く湧くならむ、
海潮音 (新字旧仮名) / 上田敏(著)
潮騒しほさゐ伊良虞いらご島辺しまべふねいもるらむかあら島回しまみを 〔巻一・四二〕 柿本人麿
万葉秀歌 (新字新仮名) / 斎藤茂吉(著)
草塚にこもるこほろぎ潮騒しほさゐのとどろ立つ夜を鋭声とごゑしきりに
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
朔風さかかぜにうらぶれた潮騒しほざいです
ジンタ (新字旧仮名) / 森川義信(著)