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延
>
の
ふりがな文庫
“
延
(
の
)” の例文
親方は、一足はなれて、ほんとうにわたしの言ったとおりであるか、
試
(
ため
)
してみようとした。かれは両手をさし
延
(
の
)
べてへいにさわった。
家なき子:02 (下)
(新字新仮名)
/
エクトール・アンリ・マロ
(著)
横笛今は心を定め、ほとほとと
門
(
かど
)
を音づるれども答なし。玉を
延
(
の
)
べたらん如き纖腕
痲
(
しび
)
るゝばかりに
打敲
(
うちたゝ
)
けども應ぜん
氣
(
け
)
はひも見えず。
滝口入道
(旧字旧仮名)
/
高山樗牛
(著)
「但馬に救いを求めたらしいですな。僕はちっとも知らなかったが、倉橋君は彼のかみさんにも触手を
延
(
の
)
ばしていたんだそうですな」
如何なる星の下に
(新字新仮名)
/
高見順
(著)
昔
(
むか
)
し来た時とはまるで見当が違う。
晩餐
(
ばんさん
)
を済まして、湯に
入
(
い
)
って、
室
(
へや
)
へ帰って茶を飲んでいると、
小女
(
こおんな
)
が来て
床
(
とこ
)
を
延
(
の
)
べよかと
云
(
い
)
う。
草枕
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
何
(
なに
)
として
今日
(
けふ
)
はと
頸
(
うなじ
)
を
延
(
の
)
ばす
心
(
こゝろ
)
は
同
(
おな
)
じ
表
(
おもて
)
のお
高
(
たか
)
も
路次口
(
ろじぐち
)
顧
(
かへり
)
みつ
家内
(
かない
)
を
覗
(
のぞ
)
きつ
芳
(
よし
)
さまはどうでもお
留守
(
るす
)
らしく
御相談
(
ごさうだん
)
すること
山
(
やま
)
ほどあるを
別れ霜
(旧字旧仮名)
/
樋口一葉
(著)
▼ もっと見る
それは
圓
(
まる
)
い
塚
(
つか
)
の
前
(
まへ
)
の
方
(
ほう
)
が
延
(
の
)
びて
四角
(
しかく
)
になつた
形
(
かたち
)
で、ちょっと
昔
(
むかし
)
の
口
(
くち
)
の
廣
(
ひろ
)
い
壺
(
つぼ
)
を
伏
(
ふ
)
せて、
横
(
よこ
)
から
見
(
み
)
たような
形
(
かたち
)
をしてゐるものであります。
博物館
(旧字旧仮名)
/
浜田青陵
(著)
しかし、
時計屋
(
とけいや
)
へ
直
(
なお
)
しにやると、あとでほかに
時計
(
とけい
)
がないので
不自由
(
ふじゆう
)
なものですから、一
日
(
にち
)
、一
日
(
にち
)
延
(
の
)
びてしまうのでありました。
時計とよっちゃん
(新字新仮名)
/
小川未明
(著)
假
(
か
)
りに幾分痩せたとすれば、僕の前途——未だ確定しない前途に對する心配の爲めです——僕の出發が、絶えず
延
(
の
)
ばされて行く爲めです。
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
いかにも
言
(
い
)
はれる
通
(
とほり
)
で、
其
(
その
)
頭痛
(
づつう
)
のために
出立
(
しゆつたつ
)
の
日
(
ひ
)
を
延
(
の
)
ばさうかと
思
(
おも
)
つてゐますが、どうして
直
(
なほ
)
してくれられる
積
(
つもり
)
か。
何
(
なに
)
か
藥方
(
やくはう
)
でも
御存
(
ごぞん
)
じか。
寒山拾得
(旧字旧仮名)
/
森鴎外
(著)
二三本の赤い
芥子
(
けし
)
の花を見せてやったさ、小供の心はすぐその花へ来た、小供は手を
延
(
の
)
べて
執
(
と
)
ろうとしたが執れない、そこで
雨夜草紙
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
『まあよかった……。』その
時
(
とき
)
私
(
わたくし
)
はそう
思
(
おも
)
いました。いよいよとなると、
矢張
(
やは
)
りまだ
気
(
き
)
おくれがして、
少
(
すこ
)
しでも
時刻
(
じこく
)
を
延
(
の
)
ばしたいのでした。
小桜姫物語:03 小桜姫物語
(新字新仮名)
/
浅野和三郎
(著)
馬鹿
(
ばか
)
に
降
(
ふ
)
つてばかし
居
(
ゐ
)
た
所爲
(
せゐ
)
か
幹
(
から
)
ばかし
延
(
の
)
びつちやつて、そんだがとれねえ
方
(
はう
)
でもあんめえが、
夏蕎麥
(
なつそば
)
とれる
樣
(
やう
)
ぢや
世柄
(
よがら
)
よくねえつちから
土
(旧字旧仮名)
/
長塚節
(著)
寒中のは殊にすなほに挙るですが、此の位になると、さう無雑作にからだを見せず、矢張鯉などの様に、暫くは水底でこつ/\
延
(
の
)
してるです。
元日の釣
(新字旧仮名)
/
石井研堂
(著)
そしてたうたう
手拭
(
てぬぐひ
)
のひと
足
(
あし
)
こつちまで
行
(
い
)
つて、あらんかぎり
首
(
くび
)
を
延
(
の
)
ばしてふんふん
嚊
(
か
)
いでゐましたが、
俄
(
には
)
かにはねあがつて
遁
(
に
)
げてきました。
鹿踊りのはじまり
(新字旧仮名)
/
宮沢賢治
(著)
緑の
隧道
(
トンネル
)
の遥か彼方に大
斜面
(
スロープ
)
が延びていたがすなわち富士の山骨であって、大森林、大谿谷、谷川、飛瀑を孕みながら空へ空へと
延
(
の
)
している。
神州纐纈城
(新字新仮名)
/
国枝史郎
(著)
要するに、予の
半生
(
はんせい
)
将死
(
しょうし
)
の気力を
蘇
(
そ
)
し、やや
快
(
こころよ
)
くその
光陰
(
こういん
)
を送り、今なお
残喘
(
ざんぜん
)
を
延
(
の
)
べ得たるは、
真
(
しん
)
に先生の
賜
(
たまもの
)
というべし。
瘠我慢の説:05 福沢先生を憶う
(新字新仮名)
/
木村芥舟
(著)
戸倉老人は、かん高い声で叫ぶと、手を
延
(
の
)
ばそうとした。しかし手足は、椅子車に厳重にしばりつけられてあって、手を延ばすどころではない。
少年探偵長
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
今の真宗坊主が毛を少し
延
(
の
)
ばして
当前
(
あたりまえ
)
の断髪の真似をするような
訳
(
わ
)
けで、内実の医者坊主が半髪になって刀を
挟
(
さ
)
して
威張
(
いば
)
るのを嬉しがって居る。
福翁自伝:02 福翁自伝
(新字新仮名)
/
福沢諭吉
(著)
一般には、とかく悪い意味に用うるも、文字より考えれば必ずしも悪い意味のみでなく、
延
(
の
)
びひろがり
繁
(
しげ
)
る意味である。
自警録
(新字新仮名)
/
新渡戸稲造
(著)
「はつ‥‥」と、
田中
(
たなか
)
はあわてて
路上
(
ろじやう
)
を
腹這
(
はらば
)
ひになつて
手
(
て
)
を
延
(
の
)
ばした。が、
手
(
て
)
はなかなか
届
(
とど
)
かなかつた。
手先
(
てさき
)
と
銃身
(
じうしん
)
とが
何度
(
なんど
)
か
空間
(
くうかん
)
で
交錯
(
かうさく
)
し
合
(
あ
)
つた。
一兵卒と銃
(旧字旧仮名)
/
南部修太郎
(著)
あゝ、
不吉
(
ふきつ
)
の
上
(
うへ
)
にも
不吉
(
ふきつ
)
。
賓人
(
まれびと
)
よ、
私
(
わたくし
)
の
心
(
こゝろ
)
の
千分
(
せんぶん
)
の
一
(
いち
)
でもお
察
(
さつ
)
しになつたら、どうか
奧樣
(
おくさま
)
と
日出雄樣
(
ひでをさま
)
を
助
(
たす
)
けると
思
(
おも
)
つて、
今夜
(
こんや
)
の
御出帆
(
ごしゆつぱん
)
をお
延
(
の
)
べ
下
(
くだ
)
さい。
海島冒険奇譚 海底軍艦:05 海島冒険奇譚 海底軍艦
(旧字旧仮名)
/
押川春浪
(著)
ファットマンは、その長い強い鼻をぐいと
差
(
さ
)
し
延
(
の
)
べて、新吉のからだをふわりと
宙
(
ちゅう
)
で受け止めてしまったのです。
曲馬団の「トッテンカン」
(新字新仮名)
/
下村千秋
(著)
しかし今前足を見ると、いや、——前足ばかりではありません。胸も、腹も、
後足
(
あとあし
)
も、すらりと上品に
延
(
の
)
びた
尻尾
(
しっぽ
)
も、みんな
鍋底
(
なべそこ
)
のようにまっ黒なのです。
白
(新字新仮名)
/
芥川竜之介
(著)
何分
(
なにぶん
)
男
(
をとこ
)
づくであつて
見
(
み
)
れば、
差當
(
さしあた
)
り
懷中
(
ふところ
)
都合
(
つがふ
)
が
惡
(
わる
)
いから、
日
(
ひ
)
を
延
(
の
)
ばしてくれろとも
言
(
い
)
へなからうではないか。
一席話
(旧字旧仮名)
/
泉鏡花
、
泉鏡太郎
(著)
それ
食
(
じき
)
は、
色
(
いろ
)
を
増
(
ま
)
し、
力
(
ちから
)
をつけ、
命
(
いのち
)
を
延
(
の
)
ぶ。
衣
(
ころも
)
は、
寒
(
さむ
)
さをふせぎ、
暑
(
あつさ
)
を
支
(
さ
)
え、
恥
(
はぢ
)
をかくす。人にものを
施
(
せ
)
する人は、人の
色
(
いろ
)
をまし、
力
(
ちから
)
をそへ、
命
(
いのち
)
を
續
(
つ
)
ぐなり。
尼たちへの消息:――よく生きよとの――
(旧字旧仮名)
/
長谷川時雨
(著)
ただ平安朝時代の貴族の廣い
館
(
やかた
)
のやうで、裏には古い塚の傍にこれはまた清らかな水を滿々と湛へた泉があつた。雜草は
丈
(
せい
)
延
(
の
)
びて枯葉の中から生え上つてゐた。
草の中
(旧字旧仮名)
/
横光利一
(著)
老母あはれみて
四四
をさなき心を
肯
(
う
)
け給はんや。左門
歓
(
よろこ
)
びに
堪
(
た
)
へず。母なる者常に我が孤独を
憂
(
うれ
)
ふ。
信
(
まこと
)
ある
言
(
ことば
)
を告げなば、
齢
(
よはひ
)
も
延
(
の
)
びなんにと、
伴
(
ともな
)
ひて家に帰る。
雨月物語:02 現代語訳 雨月物語
(新字新仮名)
/
上田秋成
(著)
祭文語りから
延
(
の
)
し上げて、両国の小屋持になった長次、今では親分とか親方とか言われて居りますが、根が根で、金の事となるとツイ悪党の地が出てしまいます。
新奇談クラブ:06 第六夜 人形の獄門
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
今晩、東光院さんで
淨瑠璃
(
じやうるり
)
がござりまんがな、
何
(
な
)
んなら聽きにお
出
(
い
)
でやしたら。……其の
間
(
ま
)
にお
床
(
とこ
)
延
(
の
)
べときます。……
素人
(
しろうと
)
はんだすけど、
上手
(
じやうず
)
やちう評判だツせ。
東光院
(旧字旧仮名)
/
上司小剣
(著)
しかしユリの想像語原では、ユリの
茎
(
くき
)
が高く
延
(
の
)
びて重たげに花が咲き、それに風が当たるとその花が
揺
(
ゆ
)
れるから、それでユリというのだ、といっていることがある。
植物知識
(新字新仮名)
/
牧野富太郎
(著)
腰が
延
(
の
)
びないほど
疼
(
うず
)
いたけれ共、お金の思わくを察して、堪えて水仕事まで仕て居たけれ共、しまいには、眼の裏が燃える様に熱くて、手足はすくみ、頭の
頂上
(
てっぺん
)
から
栄蔵の死
(新字新仮名)
/
宮本百合子
(著)
「しかし
蛇
(
じゃ
)
の道は
蛇
(
へび
)
です。忽ち
看破
(
かんぱ
)
されてしまって、
延
(
の
)
っ引きならないところを取っ捉まりました」
冠婚葬祭博士
(新字新仮名)
/
佐々木邦
(著)
つくづくと首
延
(
の
)
し見れば、こちごちの
濃霧
(
こぎり
)
のなびき、渓の森、端山の
小襞
(
こひだ
)
黒ぐろとまだ
気
(
け
)
ぶかきに、びようびようと猛ける遠吠、をりからの
暁闇
(
あかつきやみ
)
を続け射つ
速弾
(
はやだま
)
の音。
観想の時:――長歌体詩篇二十一――
(新字旧仮名)
/
北原白秋
(著)
なんでもここんところでもう一押しグンと
延
(
の
)
して一儲けせんならんと申して、その秋はことに仕入れの方も踏ん張りますつもりで出掛けてまいったのでございました。
蒲団
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
其所
(
そこ
)
で、
入口
(
いりくち
)
を
入
(
い
)
ると、
其所
(
そこ
)
の
横幅
(
よこはゞ
)
が九
尺
(
しやく
)
四
寸
(
すん
)
ある。それから
突當
(
つきあた
)
りの
奧壁
(
おくかべ
)
まで一
丈
(
ぢやう
)
四
尺
(
しやく
)
の
長
(
なが
)
さがある。
奧壁
(
おくかべ
)
の
處
(
ところ
)
の
横幅
(
よこはゞ
)
は、
入口
(
いりくち
)
より
少
(
すこ
)
しく
延
(
の
)
びて一
丈
(
ぢやう
)
一
尺
(
しやく
)
五
寸
(
すん
)
ある。
探検実記 地中の秘密:29 お穴様の探検
(旧字旧仮名)
/
江見水蔭
(著)
そこに、
烟
(
けむ
)
ったい主人夫婦の帰った後の、解放された
延
(
の
)
びやかな心持が、もくもく
湧返
(
わきかえ
)
って来た。
九月一日
(新字新仮名)
/
水上滝太郎
(著)
すなわちかれの快楽というのは電車の中の美しい姿と、美文新体詩を作ることで、社にいる間は、用事さえないと、原稿紙を
延
(
の
)
べて、一生懸命に美しい文を書いている。
少女病
(新字新仮名)
/
田山花袋
(著)
此処まで
延
(
の
)
してしまつたのだが、かうなることゝ分つてゐたら外套を着て来ればよかつたのに、
厚司
(
あつし
)
の下に毛糸のシヤツを着込んだだけでは、流石に寒さが身に沁みる。
猫と庄造と二人のをんな
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その
栗
(
くり
)
の
木
(
き
)
の
虫
(
むし
)
から
取
(
と
)
れた
糸
(
いと
)
を
酢
(
す
)
に
浸
(
つ
)
けて、
引
(
ひ
)
き
延
(
の
)
ばしますと、
木小屋
(
きごや
)
の
前
(
まへ
)
に
立
(
た
)
つ
爺
(
ぢい
)
やの
手
(
て
)
から
向
(
むか
)
ふの
古
(
ふる
)
い
池
(
いけ
)
の
側
(
わき
)
に
立
(
た
)
つ
友伯父
(
ともをぢ
)
さんの
手
(
て
)
に
屆
(
とゞ
)
くほどの
長
(
なが
)
さがありました。
ふるさと
(旧字旧仮名)
/
島崎藤村
(著)
『百
年
(
ねん
)
てさうも
行
(
ゆ
)
かんでせうが、二十
年
(
ねん
)
や
其邊
(
そこら
)
は
生
(
い
)
き
延
(
の
)
びますよ。』ハヾトフは
慰
(
なぐさ
)
め
顏
(
がほ
)
。『
何
(
なん
)
んでも
有
(
あ
)
りませんさ、なあ
同僚
(
どうれう
)
。
悲觀
(
ひくわん
)
ももう
大抵
(
たいてい
)
になさるが
可
(
い
)
いですぞ。』
六号室
(旧字旧仮名)
/
アントン・チェーホフ
(著)
長い間
延
(
の
)
び延びになっていたのが、この一月程、何の変事も起らず、流石の悪魔も退散したかと思われる程無事な日が続いたので、
漸
(
ようや
)
く約束を果す運びになったのである。
魔術師
(新字新仮名)
/
江戸川乱歩
(著)
「でも皆さんがこゝろよくして下さいますから、一寸も気が置けませんで、
延
(
の
)
んびりして用事でもして居りますのでございますよ。たゞ何かに鈍な私でございますから……」
桑の実
(新字旧仮名)
/
鈴木三重吉
(著)
鎬
(
しのぎ
)
を削つて、追ひつ追はれつ、入り乱れてゐる、電車線の一端が夕日に光つて、火に
舐
(
な
)
められたやうに赤くなりながら、ずん/\森の中まで
延
(
の
)
しかゝつて来た、戸部線の電車が
亡びゆく森
(新字旧仮名)
/
小島烏水
(著)
それがふくれ上がり
延
(
の
)
び広がり、やがて空一面まっ黒になって、ざあーっと
大粒
(
おおつぶ
)
の雨が降り出し、ごろごろと雷が鳴り始めた時、長者は庭の
隅
(
すみ
)
のあずまやの中に出ていきました。
雷神の珠
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
言い
延
(
の
)
べのできるものは言い延べてしまった、月と月との間ぎわ少しのあいだのことだ。
去年
(新字新仮名)
/
伊藤左千夫
(著)
「はてな……時分が時分だから、大抵はこの
宿
(
しゅく
)
で納まるのに、あの侍たちは、まだ東へ
延
(
の
)
す
了簡
(
りょうけん
)
と見える、イヤに急ぎ足で、
慌
(
あわ
)
てているが、ははあ、これもお
差控
(
さしひか
)
え
連
(
れん
)
だな……」
大菩薩峠:24 流転の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
といって、
娘
(
むすめ
)
のふた
親
(
おや
)
は「よもや」をたのみにして、
半時
(
はんとき
)
、一
時間
(
じかん
)
と
延
(
の
)
ばしていました。
しっぺい太郎
(新字新仮名)
/
楠山正雄
(著)
婆やは
肥
(
ふと
)
った身体をもみまくられた。手の甲をはげしく
擦
(
こす
)
る釘のようなものを感じた。「あ痛いまあ」といって片手で痛みを押えながらも、
延
(
の
)
び上って西山さんを見ようとした。
星座
(新字新仮名)
/
有島武郎
(著)
少し間の
延
(
の
)
びた顏をしてゐる者があツたら、
突倒
(
つきたふ
)
す、
踏踣
(
ふみのめ
)
す、
噛付
(
かみつ
)
く、かツ
拂
(
ぱら
)
ふ、
唸
(
うな
)
る、
喚
(
わめ
)
く、慘
憺
(
たん
)
たる
惡戰
(
あくせん
)
だ。だから
汗
(
あせ
)
と
垢
(
あか
)
とが
到處
(
いたるところ
)
に
充滿
(
いつぱい
)
になツてゐて、東京には
塵埃
(
ごみ
)
が多い。
平民の娘
(旧字旧仮名)
/
三島霜川
(著)
孜々
(
しし
)
として東京市の風景を
毀損
(
きそん
)
する事に勉めているが、幸にも雑草なるものあって焼野の如く木一本もない閑地にも緑柔き
毛氈
(
もうせん
)
を
延
(
の
)
べ、月の光あってその上に露の
珠
(
たま
)
の
刺繍
(
ぬいとり
)
をする。
日和下駄:一名 東京散策記
(新字新仮名)
/
永井荷風
(著)
“延”の解説
延(のび)とは中世日本において枡の大小差から発生する計量上の増加分のこと。斗出(はかりだし/とだし)とも。
(出典:Wikipedia)
延
常用漢字
小6
部首:⼵
8画
“延”を含む語句
蔓延
延長
延々
延引
背延
身延
生延
延宝
夜延
延暦寺
延暦
延享
延金
延若
保延
延期
間延
延棒
銀延
引延
...