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夏蕎麥
馬鹿に
降つてばかし
居た
所爲か
幹ばかし
延びつちやつて、そんだがとれねえ
方でもあんめえが、
夏蕎麥とれる
樣ぢや
世柄よくねえつちから
「そんでも
厭だよ、
俺らさうい
噺ぢや
聞きたくもねえ」
勘次は
素氣なくいつてすいと
庭へ
立つて
復た
夏蕎麥へ
手を
掛けた。
「
夏蕎麥でもとれんなかうい
鹽梅ぢや
粒も
大え
樣だな」おつたは
庭を
見た
儘復た
第一に
目に
觸れる
蕎麥に
就ていつた。