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蕎麥粉
「えゝから、
此れつ
切ぢやきかねえのがんだから」
勘次はおつぎを
呶鳴りつけた。
彼は
更に
袋の
蕎麥粉を
桶へ
明けて
畢つて
猶ぶつ/\して
居た。
持て來し
國土産と心も
厚き
紙袋蕎麥粉饂飩粉取揃へ長庵の前へ差出せば然も
嬉しげに禮を
演湯の中に
誂へ
置し
酒肴を
居間へ
並べサア
寛々と久し
振にて何は無とも一
献汲んと弟十兵衞を
卯平は
蕎麥粉を
大事にして、
勘次が
開墾に
出た
後で
藥罐の
湯を
沸しては
蕎麥掻を
拵へてたべた。
其の
頃は
彼の
提げて
來た二
罎の
醤油はもう
無くなつて
居た。