“芥子”のいろいろな読み方と例文
読み方(ふりがな)割合
けし70.5%
からし27.9%
かいし1.6%
(注)作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
其の胆の小なる芥子けしの如く其の心の弱きこと芋殻の如し、さほどに貧乏が苦しくば、いずくんぞ其始め彫闈ちょうい錦帳の中に生れ来らざりし。
下水の桶から発散する臭気や、ねぎや、山椒さんしょうや、芥子けしなどの支那人好みの野菜の香が街に充ち充ちた煙りと共に人の嗅覚を麻痺させる。
沙漠の古都 (新字新仮名) / 国枝史郎(著)
鉄条網の間から赤い芥子けしの花が夏草の中に交って咲き出ているのも、血を連想させるというよりはもっと深い意味に於いて美しく感じられた。
ヴェルダン (新字新仮名) / 野上豊一郎(著)
五町ほど沖合に、芥子けしの花のような薄赤い色が浮き沈みしている。波にゆりあげられてチラと見えたと思うと、すぐ次の波のしたに沈んでしまうのだった。
キャラコさん:01 社交室 (新字新仮名) / 久生十蘭(著)
「お手の筋だ。しかし、売女ばいたのお品と江戸前のお綱とは芥子けし牡丹ぼたんほどの違いがある。すぐ片ッ方は追い返してしまった」
鳴門秘帖:01 上方の巻 (新字新仮名) / 吉川英治(著)
彼女は食事中にやれ芥子からしの壺を取って呉れの、水が飲みたいのと新吉に平気で世話を焼かせ、あとはまた新吉を越してベッシェール夫人と話し続けて行く。
巴里祭 (新字新仮名) / 岡本かの子(著)
医者は芥子からしを局部へる事と、足を湿布しっぷで温める事と、それから頭を氷で冷す事とを、応急手段として宗助に注意した。
(新字新仮名) / 夏目漱石(著)
けた粘土があり、流れる泉があり、堅い岩があり、専門の科学で俗に芥子からしと言われる柔らかい深い泥土でいどがある。
さうして自分じぶん芥子からしいて、御米およねかたからくびけてれた。
(旧字旧仮名) / 夏目漱石(著)
窒息性のホスゲンは堆肥くさく、催涙性のクロル・ピクリンはツーンと胡椒こしょうくさく、糜爛性のイペリットは芥子からしくさいから、瓦斯のあるなしはすぐわかるのだ。
空襲警報 (新字新仮名) / 海野十三(著)
この性は早くもわが穉き時に、畠の中なる雜草の如く萌え出でゝ、やうやく聖經に見えたる芥子かいしの如く高く空に向ひて長じ、つひには一株の大木となりて、そが枝の間にわが七情は巣食ひたり。