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芥子
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からし
ふりがな文庫
“
芥子
(
からし
)” の例文
それからパンの方へバターを塗りその上へ溶いた
芥子
(
からし
)
を塗ってパンの間へ牛肉のロースか鳥のロースを挟んで小さく切っても出来ますが
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
だがほかのやつらはなっちゃねえ、
芥子
(
からし
)
のきいてそうなやつは一人もいやしねえ。悠二郎は張合のないような気持で、幾たびもふんと鼻を鳴らした。
桑の木物語
(新字新仮名)
/
山本周五郎
(著)
勝重の妻はまた、まだ娘のような手つきで、
茄子
(
なす
)
の
芥子
(
からし
)
あえなぞをそのあとから運んで来る。
胡瓜
(
きゅうり
)
の新漬けも出る。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
溶
(
と
)
けた粘土があり、流れる泉があり、堅い岩があり、専門の科学で俗に
芥子
(
からし
)
と言われる柔らかい深い
泥土
(
でいど
)
がある。
レ・ミゼラブル:08 第五部 ジャン・ヴァルジャン
(新字新仮名)
/
ヴィクトル・ユゴー
(著)
窒息性のホスゲンは堆肥くさく、催涙性のクロル・ピクリンはツーンと
胡椒
(
こしょう
)
くさく、糜爛性のイペリットは
芥子
(
からし
)
くさいから、瓦斯のあるなしはすぐわかるのだ。
空襲警報
(新字新仮名)
/
海野十三
(著)
▼ もっと見る
これが私の青白い小さな
妖女
(
フエアリイ
)
だらうか? これが私の
芥子
(
からし
)
の
種子
(
たね
)
だらうか? 頬にゑくぼのある、薔薇色の唇をした、襦子のやうなつや/\した
淡褐色
(
たんかつしよく
)
の髮と
ジエィン・エア:02 ジエィン・エア
(旧字旧仮名)
/
シャーロット・ブロンテ
(著)
それから、御介抱申す時、お足に湯たんぽをあてて差上げお胸に
芥子
(
からし
)
をはって差上げたことをお話しますと、旦那様は一層恐ろしい眼付で私を御覧になりました。
碑文:――近代伝説――
(新字新仮名)
/
豊島与志雄
(著)
芥子
(
からし
)
壺に関して中傷されたことはあるが、しかしそれは
鍍金
(
めっき
)
の品に過ぎないことがわかった。自分はさっきの証人を七八年来知っている。それは単に暗合に過ぎない。
二都物語:01 上巻
(新字新仮名)
/
チャールズ・ディケンズ
(著)
彼女は食事中にやれ
芥子
(
からし
)
の壺を取って呉れの、水が飲みたいのと新吉に平気で世話を焼かせ、あとはまた新吉を越してベッシェール夫人と話し続けて行く。新吉は苦笑した。
巴里祭
(新字新仮名)
/
岡本かの子
(著)
老姉
謀
(
はか
)
ってその身に
芥子
(
からし
)
と胡麻の油を塗って死骸に似せ(シェッフネルの『西蔵諸譚』にこうある。唐訳には大黄を塗って死人の色のごとくすと出づ)、林中へ
舁
(
か
)
き往かしむ。
十二支考:09 犬に関する伝説
(新字新仮名)
/
南方熊楠
(著)
裏縁に引いた山清水に……
西瓜
(
すいか
)
は
驕
(
おご
)
りだ、和尚さん、小僧には
内証
(
ないしょ
)
らしく冷して置いた、
紫陽花
(
あじさい
)
の影の映る、青い
心太
(
ところてん
)
をつるつる突出して、
芥子
(
からし
)
を利かして、冷い涙を流しながら
縷紅新草
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
頭を床の間の方へ向けて、左の頬と
芥子
(
からし
)
を貼った
襟元
(
えりもと
)
が少し見えるところも朝と同じであった。
呼息
(
いき
)
よりほかに現実世界と交通のないように思われる深い
眠
(
ねむり
)
も朝見た通りであった。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
茯苓
(
ぶくりょう
)
、
肉桂
(
にっけい
)
、
枳穀
(
きこく
)
、
山査子
(
さんざし
)
、
呉茱萸
(
ごしゅゆ
)
、
川芎
(
せんきゅう
)
、
知母
(
ちぼ
)
、
人参
(
にんじん
)
、
茴香
(
ういきょう
)
、
天門冬
(
てんもんとう
)
、
芥子
(
からし
)
、イモント、フナハラ、ジキタリス——幾百千種とも数知れぬ薬草の繁る中を、
八幡
(
やわた
)
知らずにさ迷い歩いた末
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
食卓掛
(
てーぶるかけ
)
の白き布は下女によりて掛けられたり、
硝子
(
がらす
)
のバター
器
(
いれ
)
塩壺
(
しおつぼ
)
ソース
芥子
(
からし
)
の
器
(
うつわ
)
なんど
体裁好
(
ていさいよ
)
く卓上に配置せられたり。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
茯苓
(
ふくりやう
)
、
肉桂
(
にくけい
)
、
枳殼
(
きこく
)
、
山査子
(
さんざし
)
、
呉茱萸
(
ごしゆゆ
)
、
川芎
(
せんきう
)
、
知母
(
ちぼ
)
、
人蔘
(
にんじん
)
、
茴香
(
ういきやう
)
、
天門冬
(
てんもんとう
)
、
芥子
(
からし
)
、イモント、フナハラ、ジキタリス——幾百千種とも數知れぬ藥草の繁る中を、八幡知らずにさ迷ひ歩いた末
銭形平次捕物控:001 金色の処女
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
醫者
(
いしや
)
は
芥子
(
からし
)
を
局部
(
きよくぶ
)
へ
貼
(
は
)
る
事
(
こと
)
と、
足
(
あし
)
を
濕布
(
しつぷ
)
で
温
(
あたゝ
)
める
事
(
こと
)
と、
夫
(
それ
)
から
頭
(
あたま
)
を
氷
(
こほり
)
で
冷
(
ひや
)
す
事
(
こと
)
とを、
應急
(
おうきふ
)
手段
(
しゆだん
)
として
宗助
(
そうすけ
)
に
注意
(
ちゆうい
)
した。さうして
自分
(
じぶん
)
で
芥子
(
からし
)
を
掻
(
か
)
いて、
御米
(
およね
)
の
肩
(
かた
)
から
頸
(
くび
)
の
根
(
ね
)
へ
貼
(
は
)
り
付
(
つ
)
けて
呉
(
く
)
れた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
そこここの
百目蝋燭
(
ひゃくめろうそく
)
の
灯
(
ほ
)
かげには、記念の食事に招かれて来た村の人たちが並んで膳についている。寿平次はそれを見渡しながら、
箸
(
はし
)
休めの
茄子
(
なす
)
の
芥子
(
からし
)
あえも精進料理らしいのをセカセカと食った。
夜明け前:03 第二部上
(新字新仮名)
/
島崎藤村
(著)
今差上げた料理の中に甘いと鹹いのは勿論、
胡椒
(
こしょう
)
や
芥子
(
からし
)
の辛いのがあり、梅干や蜜柑の酸いのがあり、百合や蜜柑の皮の苦いのがあって五味になる。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
医者は
芥子
(
からし
)
を局部へ
貼
(
は
)
る事と、足を
湿布
(
しっぷ
)
で温める事と、それから頭を氷で冷す事とを、応急手段として宗助に注意した。そうして自分で芥子を
掻
(
か
)
いて、御米の肩から
頸
(
くび
)
の根へ貼りつけてくれた。
門
(新字新仮名)
/
夏目漱石
(著)
山葵と鮪は合い物だ。ちょうど西洋料理で牛肉に
芥子
(
からし
)
が合い物になっている通りだ。その山葵と鮪と合った味で胃を刺撃するから食慾が非常に進む。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
枕元
(
まくらもと
)
の
朱塗
(
しゆぬり
)
の
盆
(
ぼん
)
に
散藥
(
さんやく
)
の
袋
(
ふくろ
)
と
洋杯
(
こつぷ
)
が
載
(
の
)
つてゐて、
其
(
その
)
洋杯
(
こつぷ
)
の
水
(
みづ
)
が
半分
(
はんぶん
)
殘
(
のこ
)
つてゐる
所
(
ところ
)
も
朝
(
あさ
)
と
同
(
おな
)
じであつた。
頭
(
あたま
)
を
床
(
とこ
)
の
間
(
ま
)
の
方
(
はう
)
へ
向
(
む
)
けて、
左
(
ひだり
)
の
頬
(
ほゝ
)
と
芥子
(
からし
)
を
貼
(
は
)
つた
襟元
(
えりもと
)
が
少
(
すこ
)
し
見
(
み
)
える
所
(
ところ
)
も
朝
(
あさ
)
と
同
(
おな
)
じであつた。
門
(旧字旧仮名)
/
夏目漱石
(著)
イザ食べようという時
小口
(
こぐち
)
から
極
(
ご
)
く薄く切って
溶
(
と
)
き
芥子
(
からし
)
を添えるのだ。一つ試してみ給え、一番
軽便
(
けいべん
)
の豚料理だ。
食道楽:春の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
だから咳が出ると
生姜
(
しょうが
)
と水飴を混ぜて飲むではないか、
芥子
(
からし
)
の辛いのは人を逆上させて秘結せしめるが
大根卸
(
だいこんおろ
)
しの辛いのは下剤になって逆上を引下げる。
食道楽:秋の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
丁子
(
ちょうじ
)
や胡椒や
芥子
(
からし
)
は大概日本製の詰換です。舶来の壜へ詰め換えた品を食品屋から一壜二十銭で買う位なら
薬種屋
(
やくしゅや
)
へ行って同じ分量を一袋で買うと六銭でくれます。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
それと反対に椎茸酒といって椎茸を酒へ入れて
燗
(
かん
)
したり初茸や松茸を食べながらお酒を飲むと双方とも同じ性質だから酔いが激しゅうございます。
唐辛子
(
とうがらし
)
や
芥子
(
からし
)
でお酒を飲んでもその通り。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
これへ野菜を附合せにして
芥子
(
からし
)
ソースをかけるとなお美味しくなります。
食道楽:冬の巻
(新字新仮名)
/
村井弦斎
(著)
“芥子”の意味
《名詞》
(かいし、がいし、からし)カラシナの種子。香辛料、薬用に用いる。特に漢方医学では「がいし」と呼ばれる。
(けし)ケシ科ケシ属に属する一年草。阿片の原料。
(出典:Wiktionary)
芥
漢検準1級
部首:⾋
7画
子
常用漢字
小1
部首:⼦
3画
“芥子”で始まる語句
芥子粒
芥子坊主
芥子菜
芥子粉
芥子焼
芥子玉
芥子種
芥子園画伝
芥子劫
芥子屋