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仰
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の
ふりがな文庫
“
仰
(
の
)” の例文
机を置いてこれに対し、浴衣に
縮緬
(
ちりめん
)
の
扱帯
(
しごき
)
を
〆
(
し
)
めて、
肱
(
ひじ
)
をつき、
仰
(
の
)
けざまの目を
瞑
(
ねむ
)
るがごとくなるは、謂うまでもなく鴨川であった。
三枚続
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
いかに感情の激越を表現するのでも、ああまでぶざまに顔を引き
歪
(
ゆが
)
めたり、唇を曲げたり、
仰
(
の
)
け
反
(
ぞ
)
ったり、もがいたりしないでもいい。
蓼喰う虫
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
と、相手の飛躍に
空
(
くう
)
を打たせるたびごとに身を
仰
(
の
)
け
反
(
ぞ
)
らしつつ叫んだが、うんもすんも、二つの人影はもとより答えもしないのだ。
私本太平記:09 建武らくがき帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
傷は一刀の下に斬下げた、見事な後ろ
袈裟
(
げさ
)
、
虚空
(
こくう
)
を掴んで
仰
(
の
)
け
反
(
ぞ
)
った太吉の顔は、
夥
(
おびただ
)
しい出血に、紙よりも白くなっております。
銭形平次捕物控:062 城の絵図面
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
振りかぶった刀の下に、お梅は肩先から乳の下にかけてザックと一太刀、
虚空
(
こくう
)
を掴んで
仰
(
の
)
けぞると息は
脆
(
もろ
)
くも絶えた。
大菩薩峠:03 壬生と島原の巻
(新字新仮名)
/
中里介山
(著)
▼ もっと見る
「おれは行くよ。おぬしらは六十、七十まで生きのびて、馬鹿な
苦
(
く
)
の世界で、いいだけ
仰
(
の
)
っつ
反
(
そ
)
っつするがよかろう。冥土の
明窓
(
あかりまど
)
から見ていてやるぞ」
ボニン島物語
(新字新仮名)
/
久生十蘭
(著)
そうしてその瞬間に吾れにもあらず眼を開いた時に、女は丸
卓子
(
テーブル
)
から離れて弓のように
仰
(
の
)
け
反
(
ぞ
)
っていた。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
途端にもし私が身をねじらなかったならば、私は風を切って飛んで来たその重い物体を
真正面
(
まとも
)
に身に受けて向うより先にこちらが
仰
(
の
)
け反らなければならなかったであろう。
陰獣トリステサ
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
八重は鞴の把手と一処に、わざと床とすれ/\になる位に
仰
(
の
)
け
反
(
ぞ
)
つて
南風譜
(新字旧仮名)
/
牧野信一
(著)
金五郎は後へ
仰
(
の
)
けぞったが、直ぐ跳ね起きて外へ走り出た。
偶人物語
(新字新仮名)
/
田中貢太郎
(著)
水棹
(
みずさお
)
を取り上げて、ガバと打ってかかるのを、身を開いて、ツ、ツ、ツ、懐へ入ると見るや当身一本、船頭は苦もなく
水垢
(
あか
)
の中に
仰
(
の
)
け
反
(
ぞ
)
ります。
銭形平次捕物控:010 七人の花嫁
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
男のふところ深くへ細やかな
襟頸
(
えりくび
)
を曲げ、また
仰
(
の
)
け
反
(
ぞ
)
っては、狂わしげに唇をさがしぬく黒髪にたいして、彼は意地わるく唇を与えないのだった。
新・水滸伝
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
俥の上で何の気もなく少しうしろへ
仰
(
の
)
け
反
(
ぞ
)
ると、そのまゝ車台が梶棒を天に冲して仰向けに打つ倒れ、私は往来へ叩きつけられてイヤと云ふほど後頭部を打つた。
青春物語:02 青春物語
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
百人長は
猿臂
(
えんぴ
)
を伸ばして美しき
犠牲
(
いけにえ
)
の、白き
頸
(
うなじ
)
を
掻掴
(
かいつか
)
み、その
面
(
おもて
)
をば
仰
(
の
)
けざまに神崎の顔に押向けぬ。
海城発電
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
眼の前に火薬庫が破裂したかのように、思わず両手を顔に当てて丸
卓子
(
テーブル
)
の前に
仰
(
の
)
け
反
(
ぞ
)
った。
暗黒公使
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
それを最後に
瞠
(
どう
)
と
仰
(
の
)
け反った。
グリュックスブルグ王室異聞
(新字新仮名)
/
橘外男
(著)
水棹
(
みずさお
)
を取り上げて、ガバと打ってかかるのを、身を開いて、ツ、ツ、ツ、懐へ入ると見るや当身一本、船頭は苦もなく
水垢
(
あか
)
の中に
仰
(
の
)
け
反
(
ぞ
)
ります。
銭形平次捕物控:010 七人の花嫁
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
百人長は
猿臂
(
えんぴ
)
を伸ばして美しき
犠牲
(
いけにえ
)
の、白き
頸
(
うなじ
)
を
掻掴
(
かいつか
)
み、その
面
(
おもて
)
をば
仰
(
の
)
けざまに神崎の顔に押向けぬ。
海城発電
(新字旧仮名)
/
泉鏡花
(著)
と、時平は体を
仰
(
の
)
け
反
(
ぞ
)
らして、さすがにいくらか照れ臭いらしく、例の豪傑笑いをした。
少将滋幹の母
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
その
切先
(
きっさき
)
に身を投げかけるようにして来た相手は、そのまま懐剣を取落して
仰
(
の
)
けぞった。両手の指をシッカリと組み合わせたまま、あおのけに倒おれると、膝頭をジリジリと引き縮めた。
斬られたさに
(新字新仮名)
/
夢野久作
(著)
仰
(
の
)
けぞるばかりに
仰天
(
ぎょうてん
)
して、なんの
躊躇
(
ためら
)
いもなく、六尺棒を小脇にしたまま、正面六、七段の石だんを、トン、トン、トンと勢いよく馳け上がってゆきましたが——それとほとんど同時に
江戸三国志
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
子分のガラッ八が差出した
提灯
(
ちょうちん
)
の
覚束
(
おぼつか
)
ない明りにすかして見ると、若い
芸妓
(
げいしゃ
)
が一人、
銀簪
(
ぎんかんざし
)
を深々と右の眼に突っ立てられて、
仰
(
の
)
け
様
(
ざま
)
に死んでいたのです。
銭形平次捕物控:004 呪いの銀簪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
と言うより
身震
(
みぶるい
)
せしが、
俯伏
(
うつむけ
)
にゆらめく
挿頭
(
かんざし
)
、真白き
頸
(
うなじ
)
、手と手の間を抜けつ、
潜
(
くぐ
)
りつ、前髪ばらりとこぼれたるが
仰
(
の
)
けざまに倒れかかれる、
裳
(
もすそ
)
蹴返し
踵
(
かかと
)
を空に、下着の
紅
(
くれない
)
宙を飛びて
照葉狂言
(新字新仮名)
/
泉鏡花
(著)
と云ったなり、往来のまん中へ
仰
(
の
)
け
反
(
ぞ
)
って了いました。
幇間
(新字新仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
妙子は袂の片方を空へ振って
仰
(
の
)
けざまに笑っていた。
私本太平記:06 八荒帖
(新字新仮名)
/
吉川英治
(著)
お六は鉄砲玉のように石榴口から飛出すと、流しに滑って物の見事に
仰
(
の
)
け
反
(
ぞ
)
りました。
銭形平次捕物控:033 血潮の浴槽
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
すうつとうしろへ
仰
(
の
)
け
反
(
ぞ
)
つてしまはれた。
泉先生と私
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
仰
(
の
)
け
反
(
ぞ
)
る弁次郎。逃げ出すところを、ガラッ八に足の間へ
薪
(
まき
)
を
投
(
ほう
)
り込まれたのです。
銭形平次捕物控:101 お秀の父
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
すうつとうしろへ
仰
(
の
)
け
反
(
ぞ
)
つてしまはれた。
青春物語:02 青春物語
(新字旧仮名)
/
谷崎潤一郎
(著)
仰
(
の
)
け反る辨次郎。逃げ出すところを、ガラツ八に足の間へ
薪
(
まき
)
を投り込まれたのです。
銭形平次捕物控:101 お秀の父
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
見事に
仰
(
の
)
け
反
(
ぞ
)
つて、手燭は消えます。
銭形平次捕物控:046 双生児の呪
(旧字旧仮名)
/
野村胡堂
(著)
見事に
仰
(
の
)
け
反
(
ぞ
)
って、手燭は消えます。
銭形平次捕物控:046 双生児の呪
(新字新仮名)
/
野村胡堂
(著)
仰
常用漢字
中学
部首:⼈
6画
“仰”を含む語句
仰向
被仰
仰臥
仰山
仰反
仰付
仰々
欽仰
仰有
大仰
渇仰
御仰
仰言
有仰
仰聞
仰天
振仰
随喜渇仰
讃仰
渇仰者
...