“仰臥”のいろいろな読み方と例文
読み方割合
ぎょうが71.2%
あおむけ6.1%
ぎやうぐわ6.1%
あおむ4.5%
3.0%
あふぎふ1.5%
あおのけ1.5%
あふぶ1.5%
あふぶし1.5%
うつぷ1.5%
ぎようが1.5%
(注) 作品の中でふりがなが振られた語句のみを対象としているため、一般的な用法や使用頻度とは異なる場合があります。
右にも左にも向くことができず、舌がもつれてものもいえず、仰臥ぎょうがしたままいたずらに意識ばかりはっきりしてる母の手をとって一日を暮す。
母の死 (新字新仮名) / 中勘助(著)
書記は仰臥あおむけに倒れて手足を突張り、のどには匕首あいくちが突刺さって、顔色は紫色に変っていた。そして口からは一線の生血がタラタラと流れて
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
その冷却した透明な波の上に、少しも腐蝕する事なき四肢ししを形ちよくそろへた老婆の屍体は、仰臥ぎやうぐわの姿で唯だ一人不定の方向へとただよつてゐた。
アリア人の孤独 (新字旧仮名) / 松永延造(著)
父親の牛九郎の方は仰臥あおむけしたまま、禿上った前額部の眉の上を横筋違よこすじかいに耳の近くまでザックリと割られて、にわとりの内臓みたような脳漿のうみそがハミ出している。
巡査辞職 (新字新仮名) / 夢野久作(著)
妙見島へ上って枯草の上に仰臥て微風の温かい陽を身に浴びた。よき運動だった、「弘高」第九場を書き上げた。骨が折れる。もう寝る、平和吾が上にあれ。(二五八九、三、一)
彼はこれのみ開封せずして、やがて他の読壳よみがらと一つに投入れし鞄をはたと閉づるや、枕に引寄せて仰臥あふぎふすと見れば、はや目をふさぎてねむりを促さんと為るなりき。されども、彼はねぶるを得べきか。
金色夜叉 (新字旧仮名) / 尾崎紅葉(著)
彼はうえと疲れでがっくりと仰臥あおのけになったまま、暗い蒼穹おおぞらにきらめく星屑をうち眺めた。
乞食 (新字新仮名) / モーリス・ルヴェル(著)
熊岳城ゆうがくじやうかりわたるなり仰臥あふぶしに春寒きの砂湯にぞをる
夢殿 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
逆光の玉の白菊仰臥あふぶしに見つつはなげけやがて見ざらむ
黒檜 (新字旧仮名) / 北原白秋(著)
本を讀む事も、新聞を讀む事も大儀で、今でもクロロホルムのさめ切らないやうな氣持で仰臥うつぷしてゐるばかりで、苛立たしい心持を恥ぢながら、それを免れる事が出來ないのである。
彼女は童女のやうに円く肥つて眼をつぶり口を閉ぢ、寝台の上に仰臥ぎようがしたままいくら呼んでも揺つても眠つてゐた。呼吸もあり、体温は中々高い。
智恵子抄 (新字旧仮名) / 高村光太郎(著)