仰臥あおむけ)” の例文
書記は仰臥あおむけに倒れて手足を突張り、のどには匕首あいくちが突刺さって、顔色は紫色に変っていた。そして口からは一線の生血がタラタラと流れて
水晶の栓 (新字新仮名) / モーリス・ルブラン(著)
そして、其の大きな男のうしろにもおうこで差し担ったあじかが来ていたが、それにも人夫の一人が頭と一方の足端あしくび衣片きれでぐるぐる巻きにして仰臥あおむけに寝かされていた。
海神に祈る (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)
茂之助は仰臥あおむけになって横目で二人の様子を見ながら、空鼾そらいびきを掻くうちに、あとの二人もグウー/\と寝て居ます。
霧陰伊香保湯煙 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
宿泊人とまりゅうどいびきがぐう/\、往来も大分だいぶ静かになりますと、ボンボーン、ばら/\/\とのきへ当るのはみぞれでも降って来たように寒くなり、襟元から風が入りますので、仰臥あおむけに寝て居りますと
菊模様皿山奇談 (新字新仮名) / 三遊亭円朝(著)
権兵衛は仰臥あおむけになっていた。夜はもうしらじらと明けていた。
海神に祈る (新字新仮名) / 田中貢太郎(著)